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2024欧州滞在記 Day 10

月曜日。今日は東京の専修大学で実里さんとorangcosongアソシエイトメンバーの松橋萌さんがゲスト講義をしてるはずなので、少しそわそわする(後で柴田隆子先生から送っていただいた学生さんたちのコメントを読むかぎり、かなり響くものがあったみたいでよかった)。

午前中は教会前のカフェへ。去年に続いてまたもココさんにコーヒーをご馳走になる。ちょうど仲のいい人たちが勢揃いしていたから、渡しそびれていた日本からのお土産(八ツ橋スナック)をスケヴィさんに渡して、ギリシャ語でオススメの食べ方をみなさんに伝えてもらう。先週鬼籍に入ったヤニスさんにも食べてほしかったな。
 

さて、情報を手がかりにマヤを探しにいく。あ……いた! 車の下で半分まどろんでいたその猫は、やがてわたしを思い出したのか、近づいて擦り寄ってくる。間違いない、マヤだった。現在の「飼い主」らしき人が2階のバルコニーから声をかけてくる。「マヤは少し前から、私と一緒にいることを選んだのよ」
  
マヤはもしかしたら何度か「飼い主」を変えてきたのかもしれない。遠くに去るわけではなく、こんなすぐのご近所で。昔観たジム・ジャームッシュの映画にあった「終わりだ、出ていく時だ」という台詞を思い出す。マヤの場合、あんなふうに孤独に浸ったわけではなく、ただの気まぐれかもしれないけれども、それなりに安定していたはずのルーティンを捨てて新しい生活へと移ったのは間違いない。そして人間に飼われているというか、ここで餌をもらっているのは事実だろうけど、あくまでもここにいることを選んでいるのはマヤなのだ。
 
ヨナタンが工具を使って自転車のブレーキを直してくれる。これでようやく自転車に乗れる(今日は乗らないけど)。メキシコからわけあって来ている彼もまた、謎の人物だ。
 
 
陽が沈みかける頃、歩いて中心街へと向かう。リドラ通りの南端にある広場で、缶ビールを一本買って飲みながら芙美子さんを待つ。広場にいるのはほとんどが移民とおぼしき人たちで、猥雑な雰囲気が漂っている。このリドラ通りは関門を挟んで「北」側までまっすぐ続いているけど、その北端にもやっぱり小さな広場があって、こんなふうに誰かがビールを飲んでいる。

裏通りにある、シーシャの吸えるレストランで、芙美子さんにインタビュー。久々にタブレ(パセリサラダ)を食べたけど、やっぱり美味しいなあ……。ハーブの匂いがするウーゾと、それに似たお酒(名前また今度確認しよう)も美味しい。今回もインタビューとはいっても雑談のように話していくスタイル。いろんな人が「芙美子は日本人じゃない、キプロス人だ」と言うのを聞いたことがあるけど、たぶん、彼女の身体/意識が開いているから、そう思わせるんじゃないだろうか。
 
夜の街を歩いて、もう一軒バーにハシゴしてから帰宅。楽しい夜だった。あと数日、どんなふうにして過ごそうか。

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