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藤原ちからの欧州滞在記2024 Day 47

水曜日。ボーデの小さな中心街へ向かい、濱田陽平さんの友人(ヘルシンキから来ている)と合流して、サーミ(この地域の先住民族)の展示を観たり、ランチピクニックをしたり。そしてロフォーテン諸島のスタムスン(Stamsund)へのフェリーに乗り込む。船は、フィヨルド(?)の複雑な入江を不思議なやり方で抜けて大海原へと向かう。遠くに見える島と水面のあたりには白いモヤのようなものがかかっていて、これまでの人生で見たことのないような景色だけれど、それはどこかわたしにとっては現実感を失った景色でもある。自分が北極圏にいる、という事実がまだ呑み込めていない。船の中はビール一杯が115ノルウェークローネ(11ユーロくらい)で、なかなかのお値段ではあるけれど、ま、豪華客船気分もたまにはいいかなと思う。


スタムスンに到着したのは19時20分頃。ここのテアターフェスティバルのワークショッププログラムに参加している陽平さんは、夕食が食べられるのが19時半までとのことなので、駆け足で宿へと向かう。わたしと実里さんはゆっくり埠頭で過ごして、そのまま20時からのWakka Wakkaによる人形劇『Dead as a Dodo』を観劇。まず使用言語が英語で、ノルウェー語字幕がいっさいないことに驚いたけど、それ以上に作品のクオリティが素晴らしくて、すっかり感銘を受けてしまった。実里さんは、人形の動きがちょっと雑に感じられたのと、場面が次々と展開していくのがちょっとどうなのかと感じたようだけど、わたし的には、日本的な繊細さとは違ったダイナミックなカートゥーンっぽい動きや、ノリやグルーヴ感、プロジェクションの使い方のうまさなどに魅せられた。特にメインキャラクターのスケルトン役の声を担当してる人はいい俳優だなあ……黒子だから顔は見えないけど。
 
終わってからチェックイン。なかなか素敵なコテージで、部屋の中はだいぶ暖かい。というか今のところこの北極圏のスタムスンは恐れていたよりもだいぶ暖かい。部屋にWi-Fiがないのは難ありだけど、それもまたデトックスにはいいのかもしれない。

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