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藤原ちからの欧州滞在記2024 Day 73

月曜日。朝、再び劇場に向かい、カフェでグレゴーと話す。公演のレコードとか、お土産もいただいてしまった。ありがとう。カフェには朝からPCを開いている若者たちがたくさんいる。しばらくブレーメンの町を散歩してみる。例によって実里さんはここで『演劇クエスト』を作るとしたら……と構想しているフシもある。市場で買った野菜ジュースが美味しい。
 

電車でハンブルクに向かう。中央駅ではなく、Hamburg-Harburgという駅でSバーンに乗り換えて、Vedell駅のホームでミヒャエルと落ち合う。2016年に横浜の象の鼻テラスが企画したPort Journeyプロジェクトがこのハンブルクで開催されて、その時のホストがミヒャエルと彼の組織Hyper Cultural Passengers(HyCP)だった。ちょうどその頃わたしはデュッセルドルフに滞在していたので、よかったらハンブルクに来ませんか?と声をかけていただいたのが最初のご縁。
 
HyCPは拠点を移して、フェデル(Vedell)と呼ばれる場所に移っていた。おそらく埋め立て等を経て今の形になった人工島だと思われる。今は約60種類の言語が話される移民街らしい。韓国・安山のウォンコック街もそれに近い言語数だったけど、ここは今のところ、安山のように多国籍のレストランが大々的に展開されているわけではないように見える。泊めていただくHyCPの部屋に案内してもらい、路上に椅子とテーブルを出して、ミヒャエルの淹れてくれた美味しいコーヒーをいただく。横浜での彼のプロジェクトのことや、彼の家族の大事な話など……。路上を人々が歩いていく。いろんな出自を持っていそうな子供たちの、学校帰りの時間帯らしい。ひとり、奇抜な髪型と服装をした人が通りがかって目が合い、なんとなく話が始まる。すぐ近くに住んでいるデザイナーらしく、木曜にやるイベントに誘ってみる。彼は手帳を取り出して、そこにメモをする。
 
橋を渡り、バスに乗って西の方へ。実里さんの盟友であるTam Phamがハンブルクに長年住んでいて、今夜ちょうどコンサートがあるとのこと。会場はカフェの庭みたいな場所で、タムさんと3人のミュージシャンたちによる音のしらべを聴く。HyCPのクリスディアンがちらっと寄ってくれて、今夜サッカーの試合が観られそうなバーをいくつか紹介してもらう。その地図を頼りにまずひとりでバーに入り、イタリア対クロアチアの劇的な試合を観る。後から実里さんとタムさんも合流。ふたりは、木曜のイベントで「2x2 WindowS」の即興パフォーマンスをやることにしたらしい。

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