藤原ちからの欧州滞在記2024 Day52
月曜日。昼前に目覚めて、12時から日本にいるアソシエイト・メンバーおぼこさんとzoomミーティング。先日の定例会で申し出てくれたことがあったので、今後の関わってもらい方についてお話する。そのあと最後のインタビューを陽平さんにしてから、中心街までバスで出て、ステファンに紹介してもらったAnitaさんにお会いする。彼女はクヌート・ハムスン・センターで働いていて、同僚がスタムスンのフェスにも行ってるとは聞いていたけど、ついに現地では会わなかった……と思っていたら、え、クヌート・ハムスン……あ、その話をした人たちがスタムスンにいたじゃん、マリアナとインゲのことだ!とようやく繋がった。会ってたし挨拶したしそれなりに話したのだった。やっぱり疲れていたのかな……。もちろん今もフェス終わりの疲れはあるけど、あくまでも祭りの後の心地よい疲れで、精神面も体調面もだいぶ上向いてはきた。クヌート・ハムスンは彼らによるとcontroversialな作家で、ノーベル賞を受賞しながら、ナチスを礼賛し続けたことで戦後評価がガタ落ちした作家らしい。それでも記念館のようなものが作られたのは国王の肝煎りとのことだけど、とはいえ彼の存在をキャンセル・抹殺するのではなく、あくまでも歴史に名をとどめながらそれを批判的に検証していこうとする姿勢、だって誰だって今後ハムスンと同じことをしうるのだから、というアニータさんの考え方はとても興味深いし、賛同もできる。彼女はこの数日はオスロ近郊の文学フェスティバルに参加していたらしい。そういえば前から気になってたんですけど、文学フェスティバルってなんですか……。たぶんそれは日本の文学フリマともアートブックバザールとも違うものらしい。かなり興味があるし、実は「演劇クエスト」との相性もよいのではないか、という話も何度か持ち上がっているので、いずれちゃんと考えないといけないことかも。
お腹がはらぺこになったのでSPARで半額になっていたカレーを近くの路上のテーブルで食べる。陽平さんとある話をしていて、彼は突然泣いた。もちろんフェスの疲れもあるのだろうけれど、そのトピックが彼にとってすごく大きなことなのだ、ということは感じた。この一週間、ずっと一緒じゃないにしてもかなりの時間を共に過ごして、じわじわと、彼の思想や、彼が大事にしたいことが、全部じゃないにしてもわかってきた気がする。
夜は居酒屋ごっこアゲイン。ノルウェー名物らしいPeppermakrell(鯖)や、トナカイのサラミなど。そして、うどん! まったりと話す。