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藤原ちからの欧州滞在記2024 Day 58
日曜日。デュッセルドルフの空港からプラハに向かう。フライトはわずか1時間ほどだから、雲の上に出る感じすらない。なぜ一時的にチームを離れてひとりでプラハに来たかというと、ASEF(Asia Europe Foundation)が主催する「ASIA-EUROPE CULTURAL DIPLOMACY LAB 2024」に参加するためだった。
https://asef.org/news/asef-linkup-2024-participants-announced/
きっかけは去年の12月、横浜でのYPAMエクスチェンジで「持続可能性/循環/エコシステム」をテーマにしたラウンドテーブルを開催した時に、ASEFのジウリアさんが興味を持ってくださって、よかったら参加しませんかと声をかけてくださったのだった。もしかしたら、たまたまラボの開催時期にヨーロッパにいるからとか、わたしがそこそこ英語を話せるから、という理由もあったのかもしれないけど、ここまでのやりとりからすると、それなりに国際交流の経験があり、かつアジアとヨーロッパの双方の文脈に興味がある人物を探していた……ということかもしれない。本当のところはジウリアさんに聞いてみないとわからない。
プラハに到着した瞬間に驚いたのは、蒸し暑い……ということ。町には半袖半ズボンの人すらいる。マジか……。ちょっと前まで北極圏にいたから戸惑ってしまう。でもとにかく、暑いのは大歓迎。バスとトラムを乗り継いでホテルに到着。ホテルは古めかしい重厚な雰囲気の4つ星ホテル。ものすごい寝不足が続いていて、飛行機で少し寝たとはいえ全然足りない。ベッドで少し眠る。
ラボの参加者でディナーに行きたい人は19時にロビー集合らしい。今日はひとりで休んだほうがいいだろうと思いつつ、後ろ髪を惹かれてもいた。というのも、明日から公式に始まるラボでいきなりフォーマルなディスカッションに参加するよりも、カジュアルな場でまず何人かの考えや英語の癖を知っていたほうが、場に馴染みやすいと思ってもいたからだ。このラボの人たちはたぶん大人だからそんなことはないだろうと思いつつも、すでに知り合った人たち同士でつるまれたりしたら面倒だ(余計なエネルギーを使う)という気持ちもあった。20人くらいの参加者の中で、わたしの知り合いはササピンと、数年前のミャンマーでちょっとだけ話したズンさんしかいない。迷った挙句、集合時間の2分前にWhatsAPPで参加表明する。
ディナーに参加したのは10人ほど。若者が集う学食みたいな場所へ。歩きながらカルラやケリーンと話していた流れで、キプロスの猫のことなど。まだ完成してないこの作品の話をするたびに、少しずつ、実体に近づいていくような感じがする。今日は休肝日にする予定だから、せっかくのチェコ共和国だけどノンアルコールで過ごす。結論からいうと、さっきの心配はまったくの杞憂で、とてもオープンでジェントルな人たちだとわかった。そしていろんな機関の国際交流部門で働いている人たちだけど、基本的にはリベラルな価値観は最低限共有していて、その上でそれぞれ多様で複雑なバックグラウンドを持っている。不思議な感慨に包まれる。そういえば人生のある時期まで、周りには年上の人たちばかりがいて、わたしはいつも最年少で、いろんなことを教えてもらっていたのだった。それがいつの間にか、集団内において大体自分が年長という感じになってしまって、ここ7年くらいのあいだに参加したこういう国際的なラボでも、自分は年長組だったりメンターだったりした。今回は全然違う。この環境は、けっこう楽しいかも。
21時頃、そろそろ明日に備えて先に帰りますね、と言ったら、みんな実は移動で疲れていたみたいで、お開きに。ホテルまでササピンと話しながら帰る。こういう言い方は失礼かもしれないけど、バンコクや横浜で会う彼女とは違って、台北やミラノやここで会う彼女はちょっと少女モードみたいな感じがあって、でももしかしたらわたしにも少年モードみたいなものが訪れているのかもしれなかった。もちろんジェンダー的には、少女とか少年とか名付ける必要はないのだけれども。
ホテルに戻ってから、午前2時過ぎまでかけて昨日までの日記を書く。また睡眠不足が続いてしまうけれど、いったんこのラボに集中するために、それはやり遂げておきたかった。