アドベンチャーランド1「フレンチクォーター(南部コロニアル)様式」
ワールドバザールを抜けて左手に入ると現れるアドベンチャーランド。多くの人々はこのエリアを訪れる際に人気アトラクション「カリブの海賊」をめざして歩みを進めるのではないでしょうか。
しかし、ここで逸る気持ちをぐっとこらえ、アドベンチャーランドの建造物に目を向けてみましょう。
アドベンチャーランド、とりわけカリブの海賊〜チャイナボイジャー付近までは、アメリカ南部の街であるルイジアナ州「ニューオリンズ」の街並みが再現されています。
ニューオリンズには「フレンチクォーター地区」というものが存在します。これは、アメリカ合衆国が今のような形になる以前、フランスやスペインが南西部を「植民地」として支配していた時代の名残で、この地区にはそうした国々の文化が混在した建造物(コロニアル建築)が数多見られるのです。(脱線ですが、ルイジアナ州(Louisiana)の“Louis”とはかの有名なフランス国王“ルイ14世”のことです)
バルコニーの手すりや支柱を彩る曲線的な透かしの装飾は、フランス植民地時代の影響を強く反映しています。
それに対抗するように、目が行くのが鮮やかなオレンジ色に塗られた外壁です。こちらはその後スペイン植民地時代の影響によるものです。
ムシムシ暑い亜熱帯気候のニューオリンズとスペイン風の鮮やかなカラーリングがマッチしています。
この写真は実際のフレンチクォーター地区の建造部です。カリブの海賊の建物とそっくりなことがわかるでしょうか?
手すりの透かし、外壁の色まで一致しています。
こうして歴史を追って見ると、ディズニーランドというテーマパークがいかに「アメリカ的」かということがわかると思います。
一見フレンチ・スペイン風でアメリカ合衆国が成立する以前のもの、今日のアメリカとはさほど関連がないように思えるかもしれませんが、アメリカ人からしてみれば自分たちのルーツにあたる部分がここニューオリンズに存在するのです。
ウォルト・ディズニーがなぜ南部にこだわったのかという考察は、また次の機会にお話しします。
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