企業のコンテンツマーケティング成功事例10選
Webマーケティングの一つに「コンテンツマーケティング」という手法があります。良質な顧客を増やす方法として知られていますが、どのように運用すればいいのかわからず、悩んでいるマーケターも多いのではないでしょうか。
効果的な運用方法やアイディアを見つけるために、今回はコンテンツマーケティングの最新動向と企業の成功事例を紹介していきます。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、顧客に役立つ情報を提供し続け、売上向上などビジネスに繋げていく手法です。
ユーザーの問題を解決し、興味を満たすことでブランドのファンになってもらい、最終的に商品やサービス購入を促します。
そのため、コンテンツマーケティングで成功している企業は、
「顧客はどのようなことに困っているのか?」
「その悩みを解決できる方法は何か?」
「どのようなコンテンツが喜んでもらえるのか?」
これらを考えコンテンツに落とし込んでいます。
顧客に「価値あるコンテンツだ」と思ってもらうため、何よりも徹底的に顧客の立場になって考えることが必要です。
コンテンツマーケティングの4つの手法
コンテンツマーケティングは大きく4つに分類されます。
それぞれの特徴から、自社のサービスやターゲットに合わせて適切なコンテンツを選ぶことが重要です。
1.エデュケーショナル型
2.コンテンツSEO型
3.ネイティブ広告型
4.面白コンテンツ型
コンテンツマーケティングの最新動向
スマートフォンやインターネットの普及により、必要な情報はすぐに手に入るようになりました。また、新しい生活様式の導入により、顧客の情報収集元はよりオンラインへと移行しました。そのような状況の中で、従来の広告だけでなく、コンテンツマーケティングへの期待はさらに高まっています。
近年、VRやAR、ゲームなど、ユーザーの行動に対して反応することで、双方向でコミュニケーションをとることができる「インタラクティブコンテンツ」が注目されています。
インタラクティブコンテンツでは、ユーザーが体感的に楽しみ理解できる要素を盛り込むことで、長くコンテンツに集中してもらうことができます。
そこから、ユーザーの興味を掘り起こし、次のアクションが期待できるのです。
BtoBでもEBOOKやサービス概要動画など、リード獲得手段としても活用が進んでいます。
BtoBコンテンツマーケティング、BtoCとの違いは何か?
企業(組織)をターゲットとするBtoBと、不特定多数の個人をターゲットとするBtoCでは、意思決定をする人、購入までの検討期間などに違いがあります。
・意思決定者が異なる
買い手の立場でいうと、BtoCでは個人が意思決定者で決裁権を持っています。このため、意思決定者にダイレクトにアプローチしやすいという特徴があります。
一方BtoBの場合、企業が商品やサービスを購入するときは、組織として合意を取っていることが条件となります。財務部門、購買部門、事業部門など多数の部署が関わり、ニーズ・予算・納期について経営的な合意が得られて初めて購入にいたります。
・検討期間や取引期間が異なる
BtoCは、商材にもよりますが、たいていの場合、個人がすぐに判断して購入します。
BtoBでは検討期間は比較的長く、また一度取引があると長期にわたってその関係が続くことになります。特に機械やシステムなど設備投資に関する取引は、額も大きく減価償却期間も掛かるため、検討期間も取引期間も長期化します。業務であるため失敗は許されないという心理も働きます。
・ターゲット層の絞り込みが異なる
BtoCは、売り手から不特定多数の一般消費者に対するマーケティングがポイントになります。
一方でBtoBは、意思決定者という個人は特定できませんが、自社製品のターゲットとなる業種・業態はある程度絞り込めます。
コンテンツマーケティング成功事例紹介BtoC5選
それでは、実際のコンテンツマーケティング成功事例を見ていきましょう。BtoCから5つご紹介いたします。
・Lidea(ライオン株式会社):コンテンツSEO型
ライオンは「リディア(Lidea)」を生活情報メディアと位置づけ、 健康的な家族生活を提案するため、ライオンの調査や研究から導き出された暮らしに役立つアイデアや情報を発信しています。
コンテンツマーケティングとして重要な「売込」「プロモーション」になり過ぎないように、「役立つ情報」を発信することをメインテーマとしています。
自然検索による流入から顧客に様々な生活アイデア、ノウハウを広く提供することで、ファミリー層を中心としたファンの獲得を図っています。
https://lidea.today/
・土屋鞄製造所:エデュケーショナル型
土屋鞄製造所は、高品質の革製品を作りだす革製品ブランドです。商品ページでは商品情報だけでなく、シーンに合った使い方など紹介し、ユーザーが身につける姿を具体的にイメージしやすいよう工夫しています。
また、商品を紹介していないページがある点も特徴です。スタッフの日常やコラムなども掲載し、より作り手とユーザーの距離を縮め、コンテンツ自体を飽きさせない工夫が施されています。
通常、少しでも短いプロセスで購買意欲が冷めないうちに購入させたいと考えますが、あえてカートまでにワンクッション置くことで、対面でしか実現できなかった“おもてなし”の精神を持ってWeb接客をしている事例の一つです。
https://www.tsuchiya-kaban.jp/
・北欧暮らしの道具店(株式会社クラシコム):面白コンテンツ型
『北欧、暮らしの道具店』は、雑貨や食器など、暮らしに関わるさまざまなアイテムを、スタッフ自らが情報発信するメディアです。
コンテンツありきで商品を仕入れ、その都度決定する生活テーマに合うアイテムとして紹介するため、広告としての印象があまりなく、継続的にファンを増やしています。
あくまで「生活スタイルの提案をする」という軸からぶれないことがモットーで、商品ページ以外には商品の情報が一切載っておらず、ユーザーは純粋にコンテンツだけを楽しむことができます。
記事を楽しんだユーザーは継続的にサイトを訪れファンと化し、商品が欲しいと思った際には他のサイトではなく、『北欧、暮らしの道具店』から購入するサイクルが生まれ、ユーザーと長期的な関係を築くことに成功しているのです。
https://hokuohkurashi.com/
・くらしの良品研究所(株式会社良品計画):面白コンテンツ型
顧客とのつながりのためにコンテンツマーケティングを行っているのが、くらしの良品研究所です。特定のアイテムに関連する歴史や豆知識などのコラムを中心に、ユーザーが読んで面白いと思えるものを発信し続けています。
メディア内にIDEA PARKという、新商品のリクエストなどを受け付けているコーナーも設けることで、ユーザーからのリクエストにスタッフが直接返信し、より顧客とのつながりを深めています。
https://www.muji.net/lab/
・Lifenet JOURNAL(ライフネット生命保険株式会社):エデュケーショナル型
インターネットでの販売が難しいと言われている保険業界で、成功を遂げたのがライフネット生命です。
ライフネットジャーナルは開始から6ヶ月累計47万PVを達成しました。
生命保険は、結婚や出産などライフステージの変化を機に購入するものであり、日常で生命保険のことを考える人は少ないのが実情です。そこで、ライフネットジャーナルでは、潜在層の人に読んでもらい、認知を促し、接点を増やすことで、いざ生命保険が必要になった際に、ライフネットを思い出してもらうのを目標としています。
そのため、ライフネットジャーナルはSEOにおいて保険関連のキーワードではほとんどが圏外です。その一方で、ライフネット生命本体サイトでは、保険関連のキーワードで上位表示されます。
保険業界がリーチしにくい認知などにあたるカスタマージャーニーの上流にアプローチし、潜在層にファンになってもらい長期的な関係を築く。そして、いざユーザーが保険関連のキーワードで検索してきたときには、ライフネット生命本体ページで受け皿になり、顧客獲得をする。と、まさにコンテンツマーケティングの本質を捉えた成功事例です。
https://media.lifenet-seimei.co.jp/
コンテンツマーケティング成功事例紹介BtoB5選
次にBtoBの事例を見ていきましょう。
・サイボウズ式(サイボウズ株式会社):面白コンテンツ型
サイボウズ式は、ワークスタイルやマネジメントなど、企業のさまざまな分野で起こる問題を提唱する形でユーザーが知りたい情報を発信しています。
インタビュー形式など記事やマンガの活用で、ユーザーが分かりやすくて受け入れやすい様々表現でコンテンツを発信しています。
特に、ITに関心のない消費者層にアプローチするためには、製品の機能ではなく、それによって顧客が得られる価値に焦点を当てています。
その他にも、外部ブロガーの寄稿を掲載し、読み手に伝わりやすい表現にするための工夫を凝らしています。
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/
・WISDOM(日本電気株式会社):エデュケーショナル型
企業色を薄めることによって逆にユーザーの信頼度をあげているのが、NECが運営するWISDOMです。NECの製品に関する情報はなく、あくまでユーザーに押しつけない形でビジネスに関するお役立ちコンテンツを中心に掲載しています。
前面に自社を押し出さないことで、IT関連以外の、マーケティングや経営に関わるユーザーも会員として獲得することに成功し、結果的に潜在的な見込客が増え、顧客の拡大も見込める仕組みを確立しています。
多岐にわたるトピックのなかでも、歴史からビジネスのヒントを学ぶ「歴史の変革者たち」やアメリカのトレンド情報を紹介する「米国発、ITトレンド」が人気シリーズになっています。
https://wisdom.nec.com/
・Money Forward Bizpedia(株式会社マネーフォワード):エデュケーショナル型
消費者向けの家計簿アプリや、個人事業主や中小企業、フリーランサー向けの各種会計ソフトを提供する株式会社マネーフォワード。
同社のオウンドメディアでは、会計に関する記事を発信しています。
右サイドバーや記事下に設置したバナーやホワイトペーパーに誘導することで、リード(見込み顧客情報)を獲得する一方で、同メディア内で詳細記事を発信し、見込み顧客の顧客化、顧客のロイヤルティ上昇につなげています。
https://biz.moneyforward.com/blog/
・経営ハッカー(freee株式会社):エデュケーショナル型
経営ハッカーは『クラウド会計ソフト freee』を提供するfreee株式会社のオウンドメディア。
経営ハッカーの特徴は、『経営×テクノロジー』最先端を切り開くメディアとあるように会計のこと以外のインタビューやコラムコンテンツが充実していることです。
経営ハッカーの記事はそれぞれ非常にクオリティーが高く、そのジャンルは、後継者不足の問題や、会社の上手なたたみ方、法人クレジットカードの活用方法など多岐にわたり、様々な角度から経営について書かれています。
このように、経営やビジネスに関する情報を発信し続けることで、ビジネスに関心のある人にファンになってもらう。そして、経営やビジネスとは切っても切り離せない関係にある会計の問題に直面した際に、freeeを思い出してもらい顧客獲得に繋げる。
顧客と長期的な関係を築くことに成功している経営ハッカーは、BtoBにおける成功事例の一つです。
https://keiei.freee.co.jp/
・ナイルのSEO相談室(ナイル株式会社):エデュケーショナル型
企業のSEO担当者に向けて発信しているのが、ナイル株式会社のSEO相談室です。
SEO対策を重要視する企業は増加の一途をたどっていますが、担当者が具体的な知識を持ち合わせていないケースも多々あります。そのような担当者や企業に向けて、SEOの基本的な知識から応用部分までを網羅的に情報提供しています。
検索エンジンのアルゴリズムは頻繁にアップデートされているため、常に新しい情報が必要とされている領域でもあります。
そのなかで、Webマーケティング担当者の課題に常に答え続けることで見込み顧客との接触ポイントをつくることは、コンテンツマーケティングにおける基本のひとつです。
コンテンツマーケティングを成功させるためのポイント
広告出稿などと異なり、コンテンツマーケティングは結果が出るまでに時間がかかります。
まずは、中長期的にコンテンツマーケティングに取り組める環境構築からはじめる必要があります。
誰が何を目的にしてコンテンツを作り展開していくのか、まずはKGI・KPIを定めることから始めましょう。
BtoCの場合は、必ず「どんなユーザーのどんな課題を解決したいか」「ユーザーにどんな行動をして欲しいか」を考えるようにしましょう。
前述した成功例は、すべてユーザーの日常生活に寄り添って、ユーザーの目線に立って、生活を豊にする知恵を提供し「素敵な自分」を描かせることで、そのブランドや企業を少しずつ好きになってもらい、リピーターへと育てています。
また、BtoBの場合は経営やビジネス上のノウハウや担当者が困るであろうポイントの解決策を提示し、「○○に困ったらこの企業」と連想させる仕組みを作っています。
製品を紹介することは一切せずに、顧客が得られる価値に重点を置くことで、信頼を与え安心してサービスを検討してもらいリードにつなげていく手法をとっています。
最後に
コンテンツマーケティングは、ただ情報を発信することを指しているわけではありません。さまざまな形でユーザーが必要な情報を継続的に提供し、興味を持ってもらうことが重要です。紹介した成功事例を参考に、自社に適したコンテンツマーケティングとはなにかを検討してみてはいかがでしょうか。
クロストレックスではBtoBマーケティング従事者に向けた戦略設計のアドバイスやコンテンツ制作のサポートを行なっています。
コンテンツマーケティングをより実りのあるものにするため、良質な見込み顧客に情報を届けるためにお悩みを抱えている企業様は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
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