見えないものを観る力
支援者は五感をフル稼働させながら「事例」を観察している。
「観察」というと、見えるものしか観ていない印象を与えるが、
「見えないもの」にも関心を向けている。
その代表的なものが、「におい」。
「におい」は、オシャレに身にまとうものもあれば、
いわゆる体臭や生活臭もある。
時には、「獣臭」的なものもあったりする。
臭い以外にも、「感じるもの」がある。
家庭訪問した際、室内に入った瞬間に感じるアノ感覚...。
これをどう表現すればよいか難しい。
室内に漂う「風」のようなもの。
「その家」ならではの、独特の空気感。
重く、湿った、どんよりとした肌感...。
センスの良い支援者は、「におい」や「風」に対しても、
観察眼を向ける。
事例の「語り」に傾注するのも重要だが、
どのような空間の中で事例が「語っているか」という視点も重要だ。
私の知る「エキスパートな支援者」には、「第六感」を使う人が多い。
本人がそれを意識しているか否かは別として、
見えないものに、見えないもので対応している。
SV等で報告される事例には、そういう事例が多い。
ついつい見入って(聴き入って)しまう。
これらを記録に残すことは、非常に難しい。
けれど...、エキスパートな支援者は、
情景描写と口頭報告を上手に織り交ぜながら、見事に伝えてくる。
すると、事例のリアリティーが増し、SVもググッ!と深まる。
...実にお見事な事例報告がなされるのである。
冒頭の画像は c6h6n10さんのものをお借りしています。
ありがとうございます。