大宮門街はなぜイマイチなのか?
大宮駅東口初の再開発事業として生まれた大宮門街ですが、正直鳴かず飛ばずの状況です。
そんな大宮門街がのぶりんというYouTuberの方(2024年8月現在登録者数約8万人)に”発見”され、動画が公開8日で46万回再生とヒットしています。
※10月7日時点で71万回再生
私はこの再開発事業に大いに期待し、そして落胆した一人ですが、この動画をきっかけに改めて大宮門街の何がイマイチなのかという点について、まとめてみたいと思います。
なお、私は再開発関係者でもありませんし、商業施設の運営や建築・建設には明るくない人間ですので、憶測や誤りなど多々あろうかと思いますがご容赦ください。また、X(Twitter)などで見かけた意見も大いに参考にさせていただきました。
引用も含めて13,000字を超える記事になってしまいました。長くなりますがお読みいただけると嬉しいです。
経緯と現状
大宮門街は「大宮駅東口大門町2丁目中地区第一種市街地再開発事業」として2009年から具体的な取組が進められ、2022年にまちの新たな顔として竣工しました。2022年4月から順次開業、2023年の年明けに”本格開業”しています。
一時はNHKさいたま放送局が浦和から移転し入居するという案もありましたが、2015年に撤回。最終的にはオフィス、市民会館、商業施設(飲食、クリニック等)が入居する複合施設となっています。
この大宮門街、なんと総事業費約658億円のビッグプロジェクトです。吉田一郎市議によると491億円の税金が投入されたそうですが、さいたま市は門街の現状に対してどこか他人事のような印象があります。
今回は一般市民が一番お世話になる商業施設部分にフォーカスを当てて、なぜ門街は批判されるのか、私の疑問点を挙げていきます。
ちなみにオフィス棟の入居率は100%だそうです!課題は商業系ですね。
構造上の疑問・願望
1.ワクワクしないデザイン
初っ端から主観丸出しですみません。
イメージ図の変遷を見ていくと次第に曲線やガラス面が減り、シンプルに(悪く言えばダサく)なりました。
NHKさいたま放送局の撤退による設計変更や、建築費の高騰など様々な制約があったのだと思いますが、内情を知らない私からすると見た目の魅力に欠ける建物になってしまいました。
例えば、門街と同じ2022年開業のライトキューブ宇都宮は、隈研吾建築都市設計事務所による広場を中心とした設計で、栃木県の特産物である大谷石も活用されています。決して奇抜ではありませんが、解放感のある素敵なデザインだと思います。
大宮門街の設計は(株)山下設計という会社で、数々の施設を手掛ける一流企業のようです。ただ、公共施設の受注が多く、商業施設の設計はあまり多くなさそうです。
また、外壁に看板(テナントサイン)が多く貼られている上に、色彩が統一されていないところもごちゃごちゃしていて、大きい雑居ビルのような印象ですです。せめてJRさいたま新都心ビルのようにモノトーンで統一されているとよかったのですが。
2.門街広場が解放感に欠ける(太陽光)
大宮門街のメインエントランスの広場である「門街広場」(旧称?:辻広場)はイベントスペースにもなっています。広場でイベントを開催すれば通行人が足を止め、施設に入ってくれるきっかけになると思います。
しかし、この門街広場は通路からやや奥まっていて、薄暗い雰囲気になってしまっています。一応吹き抜けになってはいますが、エスカレーターが邪魔をして太陽光があまり入ってきません。
このためイベントをやっていても、ふらっと立ち寄りにくいのではないでしょうか。
エスカレーターと吹き抜けの位置関係を図で表してみました。
4階から屋上までの吹き抜けがありますが、3階と4階を結ぶエスカレーター、さらに2階と3階を結ぶエスカレーターで陰になってしまい、1階まで直接光が入ってきません。
仮に3階と4階を結ぶエスカレーターの位置を変更し、東寄り(1階と2階を結ぶエスカレーターの上)に配置した場合、1階から屋上までの吹き抜けが誕生します。
このようにしなかったのはなぜなのでしょうか。設計の都合でそうせざるをえなかったのでしょうか。上層階から広場のイベントを眺めることもできません。
ちなみに当初のイメージでは下図のように大きな吹き抜けとすることを考えていたようです。
3.門街広場が解放感に欠ける(メインエントランスの方向)
大宮駅東口の東西方向の人通りは旧中山道で途切れる傾向にあり、駅前通りを東方向に向かう人はさほど多くない印象です。
そこで疑問に思うのですが、この広場(=メインエントランス)を旧中山道側や、髙島屋のスクランブル交差点側に設けるデザインにしなかったのはなぜなのでしょうか。その方が多くの客を呼び込めるような気がします。
例えば、東急不動産による表参道・原宿エリアの再開発事業、オモカド、ハラカドは交差点を意識したデザインになっていて、人が自然に入っていきそうな印象を受けます。
改めて比較してみると、ハラカドやオモカドは商業施設だと分かりやすいデザインですが、大宮門街は一見すると公共施設という印象ですね。(実際公共施設でもありますが)
少し毛色は違いますが、新都心のコクーンシティも角にメインエントランスを設えていて、中に入っていきたくなるデザインになっています。
もしかしたら、一等地であるスクランブル交差点側にみずほ銀行が入っているのも権利関係が複雑と言われる大宮門街の特性なのでしょうか。それとも駅前通りを東方向に向かう人を増やしたかったのでしょうか。
勝手にエントランスを交差点側に持ってきてみましたが、いかがでしょうか?
4.独立した入り口が多い。
路路に面している入り口を数えてみます。(左上から。オフィス棟の門街SQUAREエントランスを除く。)
郵便局入口(No.01)
東西通路入口(西側)
モスバーガー入口(No.02)
補聴器専門店ブルーム入口(No.03)
みずほ銀行入口(No.04)
南西側エントランス
ドトール入口(No.07)
ローソン入口(No.08)
門街広場
旧ザ・ガーデン入口(No.09)
東西通路入口(東側)
南北通路入口(北側)
入口は12か所ありましたが、このうち太字にした3つは他のテナントと繋がっていない完全独立店舗です。
利用者にとっては一見便利に思えますが、言い換えればせっかく入ってきて客が別のテナントを見ることなく帰ってしまうということなので、回遊性が低く、相乗効果が生まれにくいと思います。
例えば金融機関はセキュリティ上独立させておきたいといった事情があるのでしょうか。どのような理由でこのような設計にしたのか気になります。
5.通路や出入口が薄暗い
大宮門街は「周辺街区とのつながり」を意識した設計になっていて、東西南北に抜けられるようになっています。大宮の路地をイメージしたそうです。
とはいえ、通路の幅が狭いですし、照明も薄暗い印象で解放感に欠けます。
また、外から見ても裏口のようで、知っている人でなければ入るのをためらうようなデザインです。大きな庇を付けたり、ロゴマークを付けるとか目立たせる方法はあると思うのですが、このように目立たないようにしているのは何か理由があるのでしょうか。
以下はさいたま市HPから引用した平面図です。1つ目が最終版(若干現況と異なる?)、2つ目が2015年時点のものです。通路の構造が変更されています。
東側(右側)にNHKさいたま放送局が入居する予定だったと思いますので、その撤退に伴う設計変更がなんらかの制約を生み、北東側の裏口感に関係しているのかもしれません。
6.緑化エリアが少ない
2013年のイメージ図では各階の屋上に木々が配置され、緑豊かなデザインになっています。2018年の大宮駅東口大門町2丁目中地区市街地再開発組合のパンフレット(下図参照)では、「8階:屋上庭園」、「6階:フットサルコート+観覧テラス」、「5階:ポケットパーク」、「4階:デッキテラス」などがあります。
ビルの緑化はもはや定番な感もありますが、緑地があるとだいぶ見た目も華やかになりますし、例えば飲食店のテラス席として活用できれば、集客力も上がったのではないでしょうか。
そう思って、Googleマップを見てました。どうやら、エアコンの室外機などの施設管理系の機械に多くのスペースを割かざるを得なかったようです。
具体的に見ていくと、8階の旧屋上庭園については、大ホール2階席の横にありますが、出入りはできないように見えます。
6階の旧フットサルコート+観覧テラスについては、一部テラス席のようなものが確認できます。ホームページを確認したところ、12名が利用できるテラス席になってるいようです。ただ壁に囲まれて木々を眺める感じではなさそうです。(引用しませんでしたが、食べログに写真がありました。)
5階の旧ポケットパークについては、Googleマップではきれいに整備されているように見えます。SHABAの裏手と思われますが、利用されているのかは分かりませんでした。
結局当初の想定どおり実現したのは4階のデッキテラスだけと寂しい結果になってしまいました。
せっかく段差のあるデザインが特徴なので、もう少しテラスや緑を生かした設計だと嬉しかったのですが、維持管理費用との兼ね合いで難しかったのでしょうか。
7.エスカレーターが途中で途切れる
開業後初めて入った時に私は迷いました。エスカレーターで昇って行ってもなかなかレイボックホールにたどり着かないのです。迷路の中をぐるぐる歩かされている印象でした。
まず、実態を理解するためにエスカレーターのイメージ図を書いてみました。
エスカレーターを乗り換えないとホールにたどり着かず、結構複雑です。
これは大ホールからの動線を分け、混雑を緩和する目的だったのでしょうか?(赤→青(West)の動線と赤→緑(East)→オレンジの動線に分ける)
それとも、大ホール利用者が5階のレストラン街に足を運ぶことを目指していたのでしょうか?(赤→青(West)の流れを呼び込む)
実際には、大ホール利用者は市民会館側のエスカレーター(緑)で4階の市民会館ロビーまで降り、中央のエスカレーター(オレンジ)に乗り換える人が多いのではないでしょうか?
そうすると、商業施設を全く通らずに帰れるので、単にエスカレーターを乗り換えるだけになってしまっています。
(イベント開催時の規制などを承知していないので実態に即していなかったらすみません。)
せめて東側のエスカレーター(緑:East)が1階から5階まで続いていれば一気にホールまで通じ、東側(門街East内)で回遊性が生まれると思います。実際には3階、三井不動産などが入るフロアで途切れてしまっています。
余談ですが、5階から7階へのエスカレーターは南の窓に面していて街を見下ろすことができます。ここはまぁまぁ解放感があって好きです。
8.眺望が楽しめそうで楽しめない
これまで書いたことと重なりますが、全体的に閉塞感のある建物になっている印象です。せっかく大宮東口では珍しい高層ビルなのでもう少し眺望を楽しめるような設計だったらよかったのにと思います。
やや低層階ではありますが、3階と4階にデッキがあり、ここからは外の景色が望めます。ここが飲食店フロアであれば、テラス席として活用する手もあったかもしれませんが、実際にはクリニックのフロアですので活用されている様子は見えません。
ちなみに、大宮駅東口大門町2丁目中地区市街地再開発組合パンフレット(2018年)には以下の記述がありました。(5Fとあるが4Fの誤り?)
当初はここも賑わうスペースとして考えられていたのですね。
9.一階の扉の多くが開き戸になっていて狭く、段差がある
東西通路に面する扉がなぜか開き戸になっています。しかもドアノブ(レバーハンドル)を回すタイプです。
私が知る限り、商業施設でこのような扉は見たことがありません。開け閉めの手間がかかる上に、重いですし、段差もあります。なぜ自動ドアにしなかったのでしょうか。もしくは手で押すだけのドア(下の画像参照)にしなかったのはなぜでしょうか。
こういうちょっとした心理的ハードルがお店に入る人を減らすような気がしますし、高齢の方や車椅子の方、ベビーカーを押している方はなおさらだと思います。
さらに、開き戸が通行人にぶつかるのを避けるためかパイロンが設置されているところもあり、見栄えも悪いです。
また、全体的に入口の間口が狭い印象です。大通りに面しているドトールやローソンの入り口も人がすれ違うのは厳しい広さ(1.5mくらい?)です。しかもここも段差があります。
例えば大宮ルミネ2で道路に面した店舗の入口は2mくらいは幅があると思います。
10.駐輪場が二階で、いったん外に出ないといけない
北側にある駐輪場は、自転車専用のエスカレーターで2階に上る構造になっています。このため、高齢の方や、買い物袋など大きな荷物を持っていると利用するのをためらってしまうと思います。
しかも、店舗に行くには一度外に出ないといけません。仮に2階に作らなければいけなかったとしても、せめてそのまま屋内を通って店舗内に入れればだいぶ利便性が違ったと思います。
スーパーマーケットやドラッグストアには自転車で行く近隣住民の方が多いと思うので、この駐輪場はスーパー等を運営する際のハードルになるのではないでしょうか。一時期は門街南側への放置自転車が沢山ありました。規制を強くしたため減りましたが、これが結果的にザ・ガーデンの撤退に繋がってしまったような気もします。
ちなみにほかの施設を例に出すと、浦和パルコも図書館等が入る再開発複合ビルですが、地下2階の駐輪場からエレベーター等で商業フロアに入れます。
運営に関する疑問・願望
現在のテナント
大宮門街のホームページを見ると、2024年8月時点で全53区画のうち41区画(77.4%)が入居済みとなっています。その内訳としては、次のとおりです。
1階 11/16(68.8%)…みずほ銀行、郵便局、飲食店など
2階 11/14(78.6%)…美容室、カフェ、ドラッグストアなど
3階 6/8(75%)…クリニックなど
4階 8/8(100%)…クリニックなど+RaiBoCホール
5階 4/6(66.7%)…飲食店+RaiBoCホール
6階 1/1(100%)…飲食店+RaiBoCホール
計 41/53(77.4%)
いかがでしょうか。冒頭の動画にある「ガラガラ商業施設」という表現は、実際の数字とは異なると思います。
ただ、ガラガラな印象があるのは否めません。これは、特に1階に空き店舗が集中しているのが要因ではないでしょうか。
ちなみに2023年2月21日のさいたま市議会では、「商業系の床については66%の入居率」(さいたま市議会予算委員会)とされていました。面積ベースでの計算でしょうか?
1階 09区画 ザ・ガーデン自由が丘の跡地は?
1階の西側(門街West)モスバーガーやドトールなどで幸い飲食店は埋まっていて、一定の利用者がいるように思えます。
一方、東側(門街East)は、開業時から入居していたザ・ガーデン自由が丘 大宮大門店が2024年3月に閉店し、いまだに空き区画となっています。
一般的に商業施設の運営に当たっては、キーテナント(=専有面積が大きく集客力も大きいテナント)が重要になってくると思います。新都心のコクーンシティであればMOVIX、大宮DOMであればハンズ、浦和のパルコならヤオコーかユナイテッドシネマといったところでしょうか。
おそらく大宮門街ではザ・ガーデンがキーテナントだったのだと思いますが、もともとインパクトが薄かった上に、今後ここにテナントが入らない状態が続くと、さらに門街が廃れている印象を与えかねません。
不動産情報を調べたところテナント募集中になっていましたが、一区画として募集しているだけでなく、分割して借りることも可能なようでした。門街の核となりうる場所ですので、細切れにして貸すのではなくインパクトのあるテナントを誘致してほしいところです。
なお、不動産情報サイトによると、賃料は月9,472,320円(287.04坪、坪単価3.3万円)だそうです。
1階 東西通路(10~15区画)は空き店舗のまま?
大宮門街は東西南北に吹き曝しの通路があります。特に東西の通路は大宮駅東口の大階段を下りた正面、すずらん通りの先にあり、多くの人の流れを呼び込める場所です。
大宮門街は大宮の路地をイメージして設計されたそうで、この部分はまさにその最たる場所だと思います。しかし、ここのエリアのうち12から15区画は、開業以来一度もテナントが入っていません。先述の動画でもここがサムネイルとして採用され、閑散とする門街の象徴になってしまっています。
設計会社によると「通り抜けするだけでも新しい発見を偶発的に誘引し楽しめるような動線とした」(2021年12月24日 日刊建設工業新聞)そうですが、空きテナントでは何も発見できません。
この区画は店舗スペースの奥行きが狭く、入居できる店舗も限られてきそうです。
近隣では、ルミネ大宮LUMINE1の東武野田線改札口方面や、ルミネ大宮LUMINE2のニューシャトル改札口方面がこれに近い造りかと思いますが、いずれも扉がなく通行人が気軽に入店できるようになっています。
一方で大宮門街は屋外ゆえの制約があるのでしょうか、ガラスの壁に覆われていて、しかも扉が開き戸になっているため、入店の心理的ハードルが高くなりそうな構造になっているのも気がかりです。
ここの構造について前段で様々不満点を述べましたが、それでも比較的多くの人が通る場所であることは確かです。そういう場所が開業以来空きテナントというのは問題だと思います。
もし通常のテナントが難しいのであれば、
・市内の特産品陳列スペースにして大宮盆栽や岩槻人形などを展示する
・レイボックホールの市民展示スペースとして貸し出す
・トリエンナーレ(が終わったあとの)の作品を展示するスペースにする
などによって、賑わいを演出するというのも一案だと思います。場合によっては門街に任せるのではなく、さいたま市が借り上げても良いと思います。
ほかにもJR東日本のコワーキングスペース(STATION WORK)のようなスペースとして活用するのもありかと思います。本当は、テイクアウト系の飲食店などがあるといいのですが。
なお、不動産情報サイトによると、賃料は以下の通りです。
No.12 月434,800円(9.71坪、坪単価約4.4万円)
No.13 月1,370,160円(31.16坪、坪単価約4.4万円)
No.14 月298,000円(7.79坪、坪単価約3.8万円)
No.15 月880,000円(18.18坪、坪単価約4.8万円)
参考まで、飲食店ドットコムによると大宮駅周辺の平均坪単価は、23,569円(最高97,362円、最低6,188円)だそうです。賃料相場には全く明るくないのですが、駅チカ、築浅、知名度あり、一階と好条件ではあるので、決して高すぎるわけではないのかなという印象です。
2階 商業フロアにオフィス?
門街Eastの2階、auショップとウエルシアの間にGnext(株式会社ジーネクスト)という会社の本社が入居しています。商業フロアであるはずのここになぜオフィスがあるのでしょうか。(門街にオフィスを構えるのであればオフィス棟の門街SQUAREがありますし。)
調べたところ、モバイルショップの運営などを行う会社で、すぐ隣のauショップ大宮東店もこちらの会社が運営しているようです。
なぜここに集客できるテナントを入れなかったのでしょうか。もしかすると本来オフィス棟のエリアなのだけれど、auショップを運営する都合で特別に商業フロア側にエントランスを設けたのでしょうか?
5階 レストランフロアは少しずつ埋まってきたけど…
現在、6区画中4区画で入居されています。(No.01 叙々苑、No.02 SHABA、No.05牛たん 伊達哉、NO.06鮨政庭。SHABAはまさかの中央デパート直営!)
開業当初は叙々苑だけでしたが、なんとかここまで埋まってきたという印象です。(ちなみに伊達哉はInstagramでビル側とのトラブルを示唆する投稿をして開店がだいぶ延期になっていました。何があったのか気になります…)
ビルの構造の話になってしまいますが、せっかく5階にあるのに窓が少ない印象です。大宮の街を見下ろしながら食事が楽しめるようになっていたら、もっと魅力的だったのではと思います。また、前述のとおり、SHABAの外側には開業前にポケットパークと呼ばれたバルコニー?があります。ここは活用しないのでしょうか?
6階 レストランフロアなの?
個人的に一番謎のエリアです。ほとんどレイボックホールのフロアにちょこんと一か所だけ飲食店(No.01 とこのうしん)が入っています。
外観も「なぜここに飲食店が…?」という感じです。ここは本当に謎でしかありません。ほかにもこういう設計のビルってあるものなのでしょうか?
ただ、今回調べて初めて知ったのですが、前述のとおり、とこのうしんにはテラス席があるようです。それがここの場所に飲食店を構えるメリットなのかもしれません。
個人経営の店がない(?)
入居しているテナントは大手チェーンのお店が殆どで、大宮門街にしかないお店といえるのは、6Fのとこのうしんと5FのSHABAくらいではないでしょうか。チェーン店も良いですが、個人店など独自性のあるお店がもっと増えてほしいです。
冒頭に紹介した動画では、出店の審査が厳しく意欲のある店(個人店)が出店しづらいという話もありましたが、実際のところどうなのでしょうか。
また、個人店ではないかもしれませんが、市内の有名スイーツ店(新都心のアングランパ、浦和のアカシエなど)や、有名ラーメン店(北大宮の狼煙、浦和の一瑳など)などが出店してくれていたら独自色・ローカル色が出て面白かったかもしれません。せっかく大宮の路地感をイメージしてつくったのですから。
少し話が逸れますが、テナントの誘致というのは素人の我々が想像する以上に難しいことなのかなと思います。
以前、テレビ東京の「ガイアの夜明け」で、東京ミッドタウン日比谷を開業する際、担当者が6か国を飛び回って日本初出店のレストランを誘致したり、2年前から目を付けていた小さなレストランの口説き落として移転させたりといったエピソードが紹介されていました。
中央デパートも開業2年半前にはコレド室町に視察に行くなどしていたようです。以下、当時の中央デパートのブログ記事です。
運営形態・運営方針
冒頭の動画でも言及されていましたが、管理組合が18団体で構成されていてかなり複雑なようです。
駅側(西側)の大宮門街WESTを(株)中央デパートが、氷川参道側(東側)の大宮門街EASTを大栄不動産(株)が運営しています。
さらに1階東西通路の空きテナントはNo.12をACRE株式会社、No.13を(株)ビルバンク、No.14を(株)二幸不動産、No.15をタイセーホームズ(株式会社 大成総合不動産)が取り扱っているなど、複雑なのがよくわかります。(不動産を取り扱っているだけでオーナーなのかは分かりません。)
再開発事業の宿命なのかもしれませんが、このように権利者が多くいるとそれだけ責任も分散してしまい、全体として魅力ある施設にしていくという意欲が湧きにくいのかもしれません。(すごく失礼なことを言ってすみません。数多くある空きテナントの一つに過ぎないという感じなのかもしれません。)
ちなみに中央デパートとしては、開業時、テナントについて次のように認識していたようです。たしかに飲食、医療、美容などバランスは取れていますが、まだまだ魅力アップする余地がある気がします。
さいたま市の認識は次のとおりです。
まずは、2022年6月、開業当初の議会答弁です。今後商業施設が順次開業していけば賑わいが生まれると言っていました。
次に、”本格開業”したあと、2023年2月の答弁です。「魅力的な商業展開をしていく予定と権利者のほうから伺っております。」ということで、権利者におまかせで市としての考えはなさそうです。
開業から2年、本格開業から1年以上経って、改めて市として現状をどのように認識しているのか気になるところです。
まとめ
思い返してみると、開業時にテナントが揃っていないことについて次のように説明されていました。私はてっきり資材調達の問題で"開業時点では"テナントが埋まっていないだけだと思い込んでいました。
結局、開業から2年たってもテナントが埋まらず、挙句の果てに「生ける廃墟」とまで言われるようになるとは思いませんでした。
ビルの構造については、もはやどうすることもできないことが殆どですが、運営についてはまだまだ期待しています。
一階の飲食店は結構賑わっていますし、ホールでのイベント開催時には多くの利用者を見かけます。開業当初と比べればだいぶ人が増えてきた印象で、ポテンシャルはあると思います。
大宮門街が今後軌道に乗るかどうかは、大宮駅東口の再開発やGCS構想にも(ひいては埼玉県全体の魅力アップにも)繋がってくると思うので、引き続き運営者さんには頑張ってほしいです。
また、多くの税金を投入したさいたま市も、建てて終わりではなく、住民の税金を預かる立場として、またホールを持つ権利者として、しっかりと関与していただき、魅力ある大宮門街を作りあげていってほしいと思います。(市のHPでも「まちの新たな顔」と言っているのですから…)
※素人が得意げに不満を沢山述べて申し訳ありません。誤りなどありましたら修正します。
参考:今後機会があったら読みたいもの
月刊「近代建築」 2022年4号
大宮駅東口大門町2丁目中地区第一種市街地再開発事業 大宮門街(オオミヤカドマチ)
建築設備技術者協会 会誌「建築設備士」2022年9月号
大宮門街 ((株)山下設計?)
一般社団法人 建築設備綜合協会 「BE建築設備」2023年3月号
新建築・新設備 大宮門街 (株)山下設計