大宮盆栽村の変遷(1/4) ~今、盆栽園はいくつあるのか~
大宮盆栽村とは
関東大震災(1923年)で被害を受けた都内の盆栽業者が、盆栽の育成に適した土壌を求めて大宮に移り住み、1925年に「大宮盆栽村」が誕生しました。今では盆栽園と緑の多い住宅が立ち並んでいて独特の雰囲気を醸し出しています。
来年、2025年には大宮盆栽村の開村100周年を迎えるということで、大宮盆栽協同組合やさいたま市がキャンペーンを始めていますが、盆栽園の減少が課題になっています。
1936年には盆栽園が35園あったが、今では6園になってしまったとのことです。
一体どのような盆栽園があって、どのように減っていったのか気になり、調べてたところ、想像していた以上に危機的状況にあることがわかりました。
この記事を含め、4回にわたってまとめていきます。長くなりますがお付き合いください。
現在の大宮盆栽村の盆栽園はいくつあるのか?
まずは現状の確認です。現在では6園の盆栽園があるとのことですが、道沿いの案内マップをみると5園しか書いてありません。どういことでしょうか?
大宮盆栽美術館HPでは6園+2園
盆栽美術館のホームページを見ると、さいたま市の盆栽園紹介の欄に「大宮盆栽村には6つの盆栽園」があるとして次の園が紹介されています。(盆栽美術館ホームページ)
九霞園
清香園
藤樹園
芙蓉園
蔓青園
松雪園(東大成町)
東大成町の松雪園も大宮盆栽村に区分されているようです。周辺案内図ではこれらに加えて松濤園の記載があります。(名前が似ていますが別の園です。)
このほか、リンク集には盆栽大野(見沼区片柳)が載っています。
さいたま観光国際協会「大宮盆栽」HPでは6園
公益社団法人さいたま観光国際協会が運営する「大宮盆栽」のホームページを確認します。盆栽美術館と同じ6園が掲載されています。
松雪園は盆栽町ではありませんが「大宮盆栽村」と同様、「大宮盆栽」に区分されるようです。
ただ、松濤園と盆栽大野は載っていません。
さいたま市HPでも6園だが…
市のホームページはどうでしょうか?
残念ながら盆栽園を紹介するページは見つからなかったのですが、「楽楽楽さいたま」というさいたま市の広報誌(平成28年3月発行)のページには「大宮盆栽村」の紹介として以下の6園が載っていますが、盆栽美術館などとは1件違いがあります。(すでに閲覧できなくなっていますが、国立国会図書館のアーカイブで確認できます。)
九霞園
清香園
藤樹園
芙蓉園
蔓青園
松濤園
盆栽美術館の紹介からは省かれている松濤園があります。一方で、松雪園と盆栽大野は載っていません。純粋に盆栽町の盆栽園を載せているということでしょうか。
大宮盆栽村HPは5園
大宮盆栽村のホームページもありました。住民の方によるページのようで、以下の5園が掲載されています。
九霞園
藤樹園
清香園
蔓青園
芙蓉園
このほか、盆栽園の一覧には載っていないのですが、松濤園のページもありました。
大宮盆栽ウィークでは7園
イベントの展示ではどうでしょうか。2024年5月に開催された大宮盆栽ウィークでは大宮盆栽村100周年と題して、以下7園の展示がありました。
九霞園
清香園
藤樹園
芙蓉園
松雪園(北区東大成町)
蔓青園
盆栽大野(見沼区片柳)
盆栽大野が仲間入りしています(ミニ盆栽なので展示位置が違いますが)。松濤園はありません。
まとめ
以上をまとめると次のようになります。
九霞園(盆栽町)
清香園(盆栽町)
藤樹園(盆栽町)
芙蓉園(盆栽町)
蔓青園(盆栽町)
以上の5園が大宮盆栽村の盆栽園として必ず挙げられるもの。
松雪園(北区東大成町)
松濤園(盆栽町)
盆栽大野(見沼区片柳)
以上の3園がまとめ方によって異なるものとなります。
ということで「現在は6園のみ」とされていますが、5園とも8園ともいえるというよく分からない結論になってしまいました。いずれにしても、単にさいたま市北区盆栽町のみが大宮盆栽村というわけではないということのようです。
松雪園や盆栽大野は住所が盆栽町ではないので分かりますが、松濤園が紹介されない理由は不明です。小規模な園なので”盆栽店”みたいな扱いなのでしょうか、それとも大宮盆栽協同組合に入っていないなどの理由があるのでしょうか?
ほかにもさいたま市には、成勝園(西区西遊馬)や磯部緑園(緑区東浦和)などがあります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次の記事では、盆栽町に位置する盆栽園を主眼に置いて、各園の歴史を調べてみます。