奇跡を起こす3人の校長先生たち。
2019年8月、福岡・飯塚市の嘉穂劇場で開催されたイベント「みんなちがってみんなイイ!」に参加してきましたー!
✽大阪市立大空小学校 初代校長 木村泰子 氏
✽千代田区立麹町中学校 校長 工藤勇一 氏
✽学校法人立花学園 立花高等学校 校長 齋藤眞人 氏
お名前は聞いたことがあったけど、
恥ずかしながら
どんな方々なのか分かっていないまま
参加してしまった。
参加してみて分かった。
とにかく凄い方たちだった。
行きたかった~!という声も頂いたし、
いろんな人に知ってほしい!とも実感したので、
私が特に印象的だった内容にフォーカスしつつ
講演内容を紹介したいと思います~。
(その代わり超長文なのはご了承を・・・)
このお三方の何が凄いのか。
いじめ、クラス崩壊、
発達障がいのある子の増加、不登校、
受験過熱、先生たちが心を病んで
退職増加などなど、
学校が荒れ課題山積みな現状の中、
圧倒的なこどもファーストの校長先生たちが
どうやって子どもたちにとって
居心地が良い魅力的な学校へ
変革していったのか。
その一端が感じられる講演だったのだ。
今回、この講演で話して頂いた内容は
全部素晴らしかったのだけど、
より深く話して頂いた大テーマは
「子どもに宿題は必要?」だったように思う。
登壇者の千代田区立 麹町中学校の工藤校長。
(工藤先生インタビュー記事→
https://www.itmedia.co.jp/business/spv/1905/08/news022.html)
工藤校長先生は、麹町中学の特徴を
こう教えてくれた。
「千代田区というのは、
山の手で昔は武家屋敷があった地区。
この中学校に来る子たちというのは、
その殆どが中学受験に失敗した子たち、
傷ついた子たちが通う中学。
この地域は裕福な家柄の方が多く、
関東の受験戦争は加熱する一方であり
私立中学を目指して
夜23時くらいまで塾で勉強をし、
受かった半数が私立中学校に行く。
さらに残った半数が中高一貫校に行く。
そして残った1/4の子たちが
千代田区にあるもう一つの
区立中学校か、麹町中学校へ通う。
中学1年生として入学してきた子たちは、
まずはうちの学校ではリハビリ期間。
これまで保護者や周囲の大人たちに
『勉強しなさい』と言われ
行動を押しつけられてきて、
その通り頑張ってき続けた子どもたちが
どうなるかというと…
まずは、いじめをし始める。
出たクイを打ちたがる、
なんにでも文句を言い始める。
なので入学して1年半くらいは
徹底的に自己決定をさせ続けます。
今までは『これしなさい!』と
言われてきた子たちに、
『これはどうする?』と聞く。
最初は出る杭は打たれると
知っているので何も言えない子たちが、
しばらくして何をしても
杭を打たれないとわかると
長い子でも1年半くらいはかかるけど、
3年生のころには、
皆が手を挙げて発言できるようになる。
だから3年間うちでは宿題を出さない。
彼らが通ってきた学校生活で初めて
『思いっきり遊べ』と、
宿題のない夏休みを過ごすことになるんです」
工藤校長先生はさらに続ける。
「世の中、多くの人が批判を繰り返し、
人のせいにする。
それは学校もそうで、職員は子どもを批判する、
家庭では学校や子どもを批判する、
子どもは先生に不満を言う。
でもそれだけでは何も生まれない」
工藤校長先生は嘆くのではなく、
そこから行動を開始した。
「最初にやったことは、
『ありのままを悲しまない』。
たとえ批判が蔓延する学校だったとしても、
それをありのまま受け入れて、
今の課題を出した。
すると、山のように出てくる。
改善する権限をどんどん先生たちに渡して
全員を当事者にするようにした。
すると今度はどうなるかというと、
自分のやりたいことをやる先生が出てくる。
過去、これでうまくいったからと
経験を持ちだしてくる。
受験戦争で「1点でも多く」テストで
点を取れるようにと
補講をしたがるんです。
対立はあっていい。ただそこから、
全員がOKを出せるように対話をして
最上位の目的を見つけることが大事。
たとえば体育祭。
いろいろな問題が持ち上がるけど
子どもたちが見つけた最上位の目的は
「皆が安全に楽しめる体育祭にする」という
答えで、それを叶えるために
あとは行動するだけ」
そして今回の講演会は、
聴講者からの質問を受けて
3人の先生方が答えてくださる
参加型でより有意義な時間となった。
質問者は4~5人いて、
うち半数くらいが学校の教師をしているという
先生たちだった。
個人的に面白いなぁと思ったのが、
その先生たち2名の質問が
「宿題を出さなくて本当に大丈夫か?」と
いうことだった(笑)。
工藤校長先生だけでなく、
木村校長先生も宿題を
一度も出したことがないという。
木村校長先生は映画「みんなの学校」として
http://minna-movie.jp/trailer
映画化された大阪・住吉区にある「大空小学校」の校長先生だった。
発達障がいのある子や、
自分の気持ちのコントロールが得意では
ない子など、特別支援教育の必要な児童も
同じ教室で学んでいる学校として紹介された。
木村校長先生は、
工藤先生と前世で双子だったんじゃないかという
くらい、考え方が似ていると笑って話す。
「私も最初にやったことは、課題を出すこと。
大量に出た。それを対応しようとすると
先生たちにとって負担が増えることでもあり
やりたくないと考え始めてしまうんです。
でも、教員全員にとって、
最上位の目的を見つけ出した。
それは
『すべての子どもの学習権を保障する』と
いうこと。すると、先生たちにとって
負担がどうのという気持ちが消えていく。
たとえば宿題。
分からないことがあればお家の人に聞きます。
でも、家で教えてもらえない子はどうなるん?
学校に行けなくなるんですよ。
この2~3年だけでも不登校が3倍、
1~2年だけでも
特別支援クラスの子が3倍に増えている。
それでも宿題を出すという先生たちに言ったのは
じゃあそれぞれの子の学習理解度に合わせて
30人いるなら、30通りの宿題を出せばいい。
でも正直これは無理なんです。
先生たちの業務時間、負担を考えると。
最上位の目的と照らし合わせれば
宿題は必要ないとした」
そんな木村校長先生の話の後に、
それでも「とはいえ、それは木村先生や工藤先生のような校長がいるからこそ」と
考えているようで、
質問者の先生はさらに質問する。
「他のクラスの先生が出しているのに
自分のクラスだけ
宿題を出さないわけにはいかない。
今年出さなくても
来年自分の担当じゃないクラスになった際に、
子どもが困るんじゃないか。
他の先生にも迷惑をかけてしまう」
ふむふむ・・・
現場としてはそうだろうなぁー(笑)
そこで工藤先生が答える。
「もし自分が新人の立場で学校に赴任して
学校全体では宿題をさせる、
という意向が強いとき、どうするか。
それは最上位のものを優先にします。
学校で宿題をさせないことで
他の先生たちと揉めるというのは
本意ではないし、
そこに時間をかけすぎることになってしまう。
『宿題』というのは、
分からないものを分かるようにするということ
だと思っている。それが勉強の面白さであり、
学力を上げることになる。
それであれば、分からない問題を
1個やっておいで、という。
それも宿題だから」
そして最後に、学校法人立花学園 立花高等学校の齋藤校長先生。
(齋藤校長先生のお人柄が伝わる講演動画→https://www.youtube.com/watch?v=bzdNv2htzFg)
福岡市東区にある不登校生徒の自立を支援する
学校であり、この10数年で3倍ほどに
生徒数が増えているそうです。
「うちの学校は、『入試で名前さえ書けば受かる』と言われています。
噂ではなく実話です(笑)。
うちの学校の生徒の8割が
中学校のころに不登校を経験しています。
入試のときに、付き添ったお母さんが
入口で泣き崩れたことがありました。
『子どもと2年半ぶりに外出できた』と。
『名前さえ書けば受かる』という風に
言う大人もいれば
『よう頑張って名前書いたね』という
大人もいるんです。
学校は坂道というより山道を登った先にある。
生徒が登校してくるのを見るだけで毎朝「よう来たね」と泣けるくらいです。
『学校行くのが当たり前』
その当たり前を疑っていたい。
でも大人も人間なので当たり前に
思ってしまうことだってある。
それでいいんです。
でも自分を一度振り返ってみてほしい。
あと5分寝ていたいって
朝起きるときに想いませんか?
這うように仕事にいくことがありませんか?
大人も頑張っている。
同じように、子どもがどれだけ頑張っているか
分かりませんか?
先生が体調不良で休んだとき、
うちの生徒が先生になんて言ったか分かります?
「休むのも勇気ったい」って言ったんですよ。
子どもたちは自分が不登校を経験して
甘えて休んだわけじゃない
苦労して学校を休んだ子だったから
出てきた言葉だったんです。
大分の学校に勤めていたころ、
朝の登校挨拶で子どもが
『先生おはよー』と言ってきたときに
当時は私は竹刀を持って立っていて
『年上には"ございます"をつけんか!』と
怒鳴るような教師でした。
でもうちの学校の先生は
「おはよう」と言った生徒に
なんて言ったと思います?
『私今日ね体調が悪くて学校に
本当に来るのがきつかった。
でも○○ちゃんが笑顔で
挨拶してくれて本当に来てよかったよ』と
抱きしめたんですよ。
どちらの生徒が
挨拶するようになると思いますか?
先生や大人は子どもに「急げ!!!」と言うけど
「よう急いだね」って言ってあげてますか?
たとえば全校集会で騒ぐ生徒を嘆くより、
よく出てきたねと褒めてあげたい」
齋藤校長先生のお話には涙腺崩壊でした・・・。
気づいたら、お母さんがあちらこちらで
ハンカチ出して泣いてて…。
お母さんたちってハンカチ準備率、
はんぱないなぁとちょっと笑ってしまった(笑)。
学校の先生たちと闘ってきたお母さんたちこそ
こんな先生がいること、本当に救いになるだろうなと。
東京、大阪、福岡でそれぞれ
大活躍される先生たち。
めちゃめちゃカッコイイ大人の姿を見せてもらった時間でした。
4月に「この講演会を地元の飯塚市でやりたい。それも参加費は無料で!」と、
言語聴覚士の相本先生が
奔走してくださったおかげで、
それぞれ単独講演もされているような先生方のお話を同時に聴けるという、本当に貴重な時間に参加できました。
ありがとうございました!
そしてお疲れ様でした~~😆
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