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ロサンゼルス、「マンション税」による影響を巡る議論

市の不動産市場の回復を阻害する一方、住宅支援への期待も

2024年12月24日、ロサンゼルスで施行されている「マンション税(Measure ULA)」が市の不動産市場や住宅支援に与える影響について、さまざまな意見が交わされている。この税は、500万ドル以上の不動産売買に課されるもので、2023年4月から適用が開始され、これまでに約4億4,300万ドルを集めたとされている​。


税の目的とその成果

マンション税は、富裕層や高額不動産所有者から税を徴収し、手頃な価格の住宅開発やホームレス対策に資金を充てる「ロビンフッド的な政策」として支持されている。税収のうち約58%が高額住宅の売却から、42%が商業不動産の売却から生じている。この税による収益はすでに一部使用され、立ち退きの危機にある市民を支援し、停滞していた住宅開発プロジェクトに資本を注入する形で活用されている。

市の住宅部門の戦略担当責任者グレッグ・グッド氏は、「この税は、立ち退きの危機を防ぎ、人々が路上に追いやられるのを防ぐために役立っている」と述べている。また、2024年には高齢者や障害者500人に2万ドルの現金支援を提供することや、賃貸人による立ち退きを防ぐため600万ドルを投じる計画が発表されている​。


市場への影響

不動産業界では、マンション税が市の不動産市場に対して抑制的な影響を与えているとの見解が多い。この税は、500万ドル以上の売却には4%、1,030万ドル以上の売却には5.5%の課税を行うものである。この結果、500万ドル以上の不動産取引件数は、施行前と比較して70%減少しているとされている。

さらに、商業不動産市場全体でも影響が顕著であり、2024年第3四半期までの取引件数は前年同期比で40%減少した。これには、産業用不動産の売上が63%減少し、オフィス物件が45%、小売物件が33%減少したことが含まれる​。


批判と懸念

一部の不動産関係者は、この税が市場に与える負担を「二重の手数料」と表現しており、不動産所有者が売却を躊躇する結果を招いていると指摘している。ナイ・キャピタルのCEOであるクリス・ジャクソン氏は、「この税は、市が期待していた効果とは逆の結果をもたらしている」と述べている。

また、一部の専門家は、経済が安定していない状況で新たな税を導入することは、市場の回復を遅らせる要因になると警鐘を鳴らしている。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの副会長であるマイク・コンダン・ジュニア氏は、「このような税は、経済が安定している時期に導入されるべきであり、現在の不安定な市場状況ではさらなる問題を引き起こす」と述べている​。


今後の展望

マンション税を廃止しようとする動きもあるが、専門家は短期間での撤廃は非現実的であると見ている。一方で、政策の見直しを求める声も強まっており、特に集合住宅物件を課税対象から除外することが提案されている。

市が住宅危機への対応を進める中で、マンション税が市場全体にどのような影響を与え続けるのか、今後も注視されるべきである。

【出典元】https://www.costar.com/article/747808247/los-angeles-is-still-recovering-from-the-pandemic-property-pros-say-mansion-tax-isnt-helping