ロサンゼルス、批判を受けた家賃凍結措置を再検討──山火事を受けて
反対派は「賃借人保護措置が被災地の開発を妨げる可能性がある」と主張
ロサンゼルスの指導者たちは、市全域で家賃の凍結や特定の種類の立ち退きを一時停止することを検討している。これは、最近の山火事で被災した住民を支援するための措置である。
家賃凍結措置の見直し
ロサンゼルス市当局は、批判を受けた家賃凍結措置の再考を進めている。この措置は、最近の山火事で被害を受けた住民を保護するために提案されたものであり、アパートの家賃を凍結し、一部の立ち退きを1年間禁止する内容であった。
市議会は、この提案を住宅・ホームレス問題委員会に差し戻し、さらなる検討を求めることを決定した。この条例が成立すれば、特定の立ち退きを禁止し、市内のすべての賃貸物件に対し、2026年1月31日まで家賃値上げのモラトリアム(停止措置)が実施されることになる。
反対意見:「投資環境を悪化させる」
第12区の市議会議員ジョン・リーは、次のように懸念を表明した。
リー議員は、この提案を委員会に差し戻すことを支持し、議会でのさらなる審議を求めた。
山火事の影響と価格高騰
過去3週間で、ロサンゼルス郡ではおよそ60平方マイル(約155平方キロメートル)が焼失し、12,000以上の建造物が破壊された。88,000人以上が自宅から避難を余儀なくされている。その一方で、一戸建て住宅の価格高騰に関する報告が相次ぎ、当局はこの状況を注視している。
州政府は、住宅価格の吊り上げを防ぐため、臨時の価格操作規制を3月8日まで延長した。今回の条例案も、こうした違法な住宅価格吊り上げを抑制するための地元対策の一環として提案された。
条例案は、今後、5名で構成される住宅・ホームレス問題委員会でさらなる分析と修正が加えられる予定である。提案の支持者である第13区のヒューゴ・ソト=マルティネス市議会議員は、反対意見を受け入れ、修正を加える意思を示している。
住宅供給への影響
この提案は、カリフォルニア州がロサンゼルスに対し、2029年までに450,000戸の新規住宅を建設するよう求めている状況下で提案された。そのうち半分は、地域の中央値所得の30%〜60%の収入層向けの「低価格住宅」として提供される予定であり、州全体の住宅供給を増やし、コスト負担を軽減する取り組みの一環である。
賛成派・反対派の主張
賛成派は、この措置が火災によって家を失った住民に安定をもたらし、家賃凍結と立ち退きの制限が彼らをロサンゼルス市内に留める助けになると主張している。
ロサンゼルス・コミュニティ・アクション・ネットワークの活動家アダム・スミスは、議会の公聴会で次のように発言した。
一方、反対派は、この措置が一律に適用されることで、小規模な大家に深刻な影響を及ぼす可能性があると指摘している。彼らは、パンデミック時の家賃増額規制ですでに収益が圧迫されていると訴える。
リー議員は、次のように述べた。
不動産市場への影響
ロサンゼルスの集合住宅市場は、すでに「Measure ULA(マンション税)」による悪影響を受けている。この税は、5.15百万ドル以上の不動産取引に課されるものであり、不動産業界からは投資を冷え込ませる要因として批判されている。
不動産仲介業者によると、ロサンゼルスにおける集合住宅の建設件数は過去1年間で12%減少した。一方、同規模の市場であるボストンでは12%、マイアミでは8%の増加が見られている。さらに、南カリフォルニア大学(USC)ソル・プライス公共政策学院の調査によれば、5.15百万ドル以上の不動産取引件数は、税の導入後70%減少したという。