気候変動による世界的な損害、2兆ドルに達する
気候変動が引き起こした深刻な天候異常により、過去10年間で世界全体に2兆ドルの損害が発生した。特に米国は被害が大きく、その経済への損失は9,347億ドルに上る。これは国際商業会議所(ICC)とコンサルティング会社オクセラの最新の報告書によって明らかにされた。
この報告書は、29カ国が参加する国連の気候サミット「COP29」がアゼルバイジャンで開催されている最中に発表された。研究者たちは、2014年から2023年までに世界中で発生した約4,000件の気象災害を分析し、約16億人に影響を及ぼしたことを突き止めた。損害が特に大きかった国は、米国、中国(2,679億ドル)、インド(1,120億ドル)である。
「データが示しているのは、気候変動が未来の問題ではなく、すでに実際の経済に影響を及ぼしているという事実だ」と、ICCの事務局長ジョン・デントン氏はコメントしている。オクセラの分析によれば、ここ2年間だけでも世界全体で4,510億ドルの損害が発生しており、物的被害に加え、道路や医療、住宅、農業、エネルギー、食料供給など、さまざまな分野に悪影響が出ている。
また、ハリケーンや山火事などの気象災害が原因で、米国内の多くの地域では不動産保険の料金が上昇している。大手保険会社の中には、カリフォルニア、フロリダ、ルイジアナの一部で新規の保険契約を停止している会社もある。
最近では、カリフォルニア州で大規模な山火事が発生し、200棟以上の建物が被害を受けた。この火災は、ハリケーン「ヘレン」と「ミルトン」がフロリダ州や東海岸の他の州に被害をもたらしてから1か月も経たない時期に発生した。
カリフォルニア州ベンチュラ郡では、大規模な火災が2万エーカー以上を焼き尽くし、多くの家屋や事業所が損害を受け、数千人が避難を余儀なくされたと当局が発表している。被害総額の集計はまだ完了していないが、農業の損害だけでも240万ドルに達しており、さらに増える見込みである。