カリフォルニア大脱出の終焉:合法移民が一役を担う
パンデミック中に経験した前例のない人口減少を受け、カリフォルニア州の人口は回復に向かっている。その主な要因の一つとして、ここ数年間で合法移民の増加が挙げられている。
カリフォルニア州の人口の約4分の1は外国生まれであり、これは全米で最も高い割合である。国勢調査によれば、パンデミックの最盛期にはほぼゼロに近かった外国からの純移民数は、わずか2年で現在の水準まで回復している。この移民の増加は、多くの住民が他州へと移住する現象である「カリフォルニア・エクソダス」の影響を和らげる一因となっている。
人口減少の回復傾向
2024年、カリフォルニア州の人口は3年間の急激な減少の後、わずかに増加に転じた。この人口増加の要因の一つとして、合法移民の流入が挙げられる。これには、一時的な就労ビザで来た人々、難民、亡命申請者、そして永住権を取得するために来た人々が含まれている。
移民の増加が特に大きな影響を与えたのは、カリフォルニア州のセントラルバレーおよび南部の田舎地域である。これらの地域、特に農業が盛んなインペリアルバレーにおいて、移民の流入が顕著である。2023年のインペリアル郡では、住民1,000人あたり純移民数が8人に達した。
トランプ政権の移民政策の影響
トランプ政権下では、移民政策の締め付けが行われた。その影響で、H-1Bビザの取得が困難になった。このビザは、外国生まれのコンピューター科学者やエンジニアといった高度なスキルを持つ労働者が米国に移住することを許可するものである。しかし、これに対して技術業界の支持者であるイーロン・マスク氏を含む一部のトランプ支持者は、H-1Bビザプログラムは米国経済にとって有益であると反論した。
カリフォルニア州内では、サンタクララ郡、アラメダ郡、サンフランシスコ郡、サクラメント郡が移民流入の多い地域であり、それぞれの郡で住民1,000人あたり4人以上の純移民が流入した。ロサンゼルス郡およびオレンジ郡もこれに続き、住民1,000人あたり3人以上の純移民が流入している。
USCの研究者の見解
USC(南カリフォルニア大学)のエクイティ研究所のマヌエル・パスター所長は、パンデミックの影響だけでなく、トランプ政権の移民政策が合法移民の流入を制限したと指摘している。同氏によれば、2015年には自然化申請の処理期間は5〜6か月であったが、2019年までには12〜14か月に延長された。そして、パンデミックがその申請処理をさらに停滞させたのである。
経済への影響
COVID-19後の米国経済の回復は、世界の他国よりも大幅に進んでいる。この回復は労働力の需要を生み出し、新たな労働力の流入によって可能になったとパスター氏は述べている。同氏は、移民が米国経済の「ソフトランディング(軟着陸)」を可能にしたと明言している。
2023年時点で、カリフォルニア州に住む外国生まれの住民の約37%がメキシコ出身である。次いで中国が約10%、フィリピンが約8%となっている。一方、ロサンゼルス郡では、メキシコ出身者が31%、エルサルバドル出身者が12%、グアテマラ出身者が10%を占めている。
カリフォルニア州の回復要因
2021年から2023年にかけての移民の急増は、カリフォルニア州の人口減少を食い止める要因の一つとなった。パンデミック規制が解除されると、同州への移民数は-500人(移民の純減)から約11万5,000人の純増に転じた。また、他州への移住者数も約10万人減少した。さらに、出生数と死亡数の差(自然増加)が、COVID-19による死亡者数の減少に伴い安定した。
ニューサム知事のコメント
2023年6月、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏は「移民遺産月間」に際し、次のように述べた。「今日、カリフォルニア州の子供の半数は、少なくとも一人の移民の親を持つ。私たちの経済、大学、コミュニティは、約1,100万人の移民がカリフォルニアを故郷と呼ぶことによって、より強く、より革新的になっている」。