ゲーム感想・ネタバレ無|【未解決事件は終わらせないといけないから】テキストをほめる回
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アドベンチャーゲームの宿命。それは「語れない」こと。なんなら、ネタバレ無いです!って情報も一種のネタバレと呼ばれてしまう始末です。(「ネタバレを考慮しないといけないほどのネタがあるんでしょ!?」って考え方…めっちゃくちゃわかりますよ…。)
それだけみなさんが、自分の体験として感じたいというのが、テキストアドベンチャーゲームの特徴です。
普段からゲーム感想垂れ流しのおぽのは、そうも言ってられないのでそこらへんフラットに扱います。過去のアドベンチャーゲームも同じような形式で書いていますので。作品の中身まで踏み込む「ネタバレあり」編も、そのうち書こうと思います。(2024/10/19 追記しました!!)
1|ゲーム性:読むのが楽しくなる工夫
<SNS時代に捧ぐ>
冒頭に記載した通り『未解決事件は終わらせないといけないから』のゲームジャンルはテキストアドベンチャーです。表示されるテキストを追いながら、未解決事件の謎と真相を明らかにしていきます。
アドベンチャーでよくあるポイントクリックタイプの「謎解き」がメインではなく、その物語の登場人物たちの証言を読み解きながら、それぞれのつながりを見つけていくロジカルな「会話のパズル」がメインです。
テキストアドベンチャーだとしたら、初めて見るタイプのゲーム画面です。
横軸に登場人物が、縦軸に会話の記録が並びます。ただしそれらは適当に並べられています。プレイヤーは文章を読みながら、それぞれの会話の適切な場所を探し当て、そこに当てはめていく…という遊び方をします。
ただ、ノーヒントというわけではありません。会話中のキーワードが「ハッシュタグ」に、人物名が「@メンション」になっていたりします。それらをクリックすることで、新しい会話の記録、新しい登場人物が展開されるのです。ゲーム画面も相俟ってSNS風ですね。
テキストアドベンチャーって、やっぱり「文章が面白いこと」「内容が引き込まれること」「繰り返し読みたくなること」なんてほぼほぼ小説と同じようなところに醍醐味があるんですよね。
このSNS風のゲーム画面はそれを一気に果たしてくれています。
バラバラとはいえ会話はブロックごとに分かれているので、読み返すのが非常に楽。何に注目すべきかはキーワードではっきり見える。となると、残りの文章は楽しんで読むだけです。
ゲームの長い文章苦手~…140字までしか読めない~…っていうおぽのでもしっかり読めます。読んだうえで個人的に感じていることですが、おそらく「文章の読みやすさ」については相当気を使われていると思います。
2|ローカライズ:読みやすいのは訳がある
<文章の端々に>
「文章の読みやすさ」…
そうそう、日本語で文章を読んだ時の読みやすさの話をしています。
しかし、このゲームは多言語で展開されています。開発の方も韓国の方。11か国語に対応…ローカライズがすごい。テキストアドベンチャーがその楽しい部分を失わず、多様な言語に対応しているということが驚くべきことでしょう。
少なくとも日本語版に機械翻訳チックな文章は出てきません。(「あなたはそれをみてよろこぶでしょう!」のような不自然すぎる文章がない、ということです。)一部の比喩などが伝わりにくいところもありますが、文化の違いということでお一つ。
あと個人的に喜ばしいのが、文中に使われている漢字がちゃんと日本の常用漢字である部分。海外の作者さんでもなかなか気づかない方の方が多いのですが、繁体字、簡体字、日本語の漢字…それぞれ分けて表記してくれています。さすが東アジア文化圏。
ソフトウェア中の漢字表記の問題って結構オミットされがちで、日本人もしっかり読めてしまうんで大きな問題じゃないっちゃないんですが、できれば見慣れた文字がイイですよね。
晩秋に差し掛かり、読書にも飽きてしまった…そんな時、ちょっとした読み物として、この作品をお勧めしたいです。