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ゲーム感想|【Moncage -箱庭ノ夢-】気づきとひらめきのパズルボックス

バラバラな世界をつなぎ合わせる


パズルゲームなので画像はなるべくヒントにならないようなものを選びます。

目の錯覚を利用した絵合わせパズルです。立方体の五面それぞれ映し出される、異なる風景の中から他の面とぴったり合うものを見つけるギミックが特徴的です。難しくて手づまりを起こしそうなときもヒントを確認できるなど優しい作りになっています。どこかもの悲しさを感じるBGMとストーリー性を感じてしまう風景が病みつきになります。

全然違う風景が各面に表示されます。

1|ゲーム性

絶対に交わらないはずの場面を見て回っていると、ほかの場面とくっつくものが存在していることに気づきます。それらを視覚的に「くっつける」ことで、それぞれの世界にちょっとした変化が起きて、ゲームが先へと進んでいきます。一見何も関連性がないようでも、ぐるぐると動かしているうちに「こことここがくっつくのでは?」とひらめきが舞い降りてくるのが楽しいですね。

このパズルは「くっつける」ことで進む。
進んできたけど壊れた橋の向こうにはどう行けば?

このぴったり合った時が何といっても最高に気持ちい。ゲームが進めば進むほど合わせるには工夫を要求され、それが解けたときは快感もひとしお。しかし逆に、ほぼ答えが見えているのにどうやってもぴたっ!と合わずに途方に暮れてしまうということもあります。

盤面に動きがなくしばらくたつと、助け舟を出すように右上の◇に?マークが表示され、3~4個のヒントを一つずつ要求することができます。おぽのは変にプライドが高いので意地になって使わなかったですが、それでも大丈夫なように作られています。ヒントになるようなものはゲーム内に散りばめられていますし、それを見つけた時も、「なるほど!」と脳に刺激が走ります。ちなみにこの作品は途方もない絵合わせを要求されるのではなく、こちらからインタラクトできるものや、パズルのキーになるものは強調表示されるようにできています。

解けなくてイライラ…みたいな感情が湧きにくいようにできていて、作品の随所から優しさを感じます。

優しい絵を見て落ち着こうね。

2|UI/UX

Switch版でプレイしたうえでの感想になります。いくつか画面を出している通り、HUDなどの操作ガイドの類は一切メイン画面に表示されません。メニューボタンが右上に表示されているだけです。こういった目の前のパズルだけを強調するため、UIの表示を極限まで削っているのは一人用パズルゲームの世界では意外と見かけると思います。

基本的に「ゲーム画面は必要な情報だけ表示すればよい」という考えなので、おぽのとしてはパズルゲームのこういった心遣いがうれしいですね。

触れる部分は光ってくれる。

強調表示モードのトリガーを押し込むと、今見えている範囲で動かせるもの、詳しく見えるものが光ります。さらに、ハイライトの強弱がつけられており、「その画面で今関係あるもの」と「触れるけど今の画面では関係ないもの」をプレイヤーへ気づかせてくれます。

そして、ハッとする気づきの要素の一つとして、も関わってきます。

始めたときにお勧めしてきます。

しっとりとしたBGMも良いですが、このゲームは見えていない面でも変化が起きると、そこからかすかに車の音や水の音などSEや、別の面に変化があったことを知らせるジングルが流れてきます。ちゃんと左右の音の位置も識別しているので、おすすめされた通りヘッドホンやイヤホンでプレイをすると、「今左のほうで何かあったな?」ということが分かるようになるかもしれません。

『Moncage』では何かを発見する、思いつくことのとっかかりになる要素が自然に盛り込まれており、悩んて止まってしまいそうになっても必ずたどり着けるようになっているところが良いですね。

肝心の操作性ですが、コントローラーよりもマウス操作のほうがよさそうでした。というのも、このゲームでは中央に鎮座する立方体を360度余すところなく眺めることになるのですが、その視点移動の操作が思っているよりも感度が悪い。感度最大にしてもちょっと遅く感じてしまうほどです。PC版も発売されているので、「寝転んで遊ぶかどうか」という観点で購入バージョンを検討してもいいかもしれません。


3|物語性

この作品一つ一つの画面が進むとともに、ある親子の物語が少しずつ明らかになっていきます。立方体の各面では一切つながりを感じさせないチグハグな情景が描かれています。

この船なんだろう…?

ステージが進むごとにそれぞれの風景の関係性が何となく見えてきて、パズルと同じく一筋縄ではいかないような世界があることに気づいていくと思います。

言葉での説明は一切ないため、物語の細部まではつかむことが難しいと思います。ただ、それぞれの風景で描かれるドラマのようなものはパズルを通して追っていくことができるようになっています。

そして、その物語をより深く感じるとれるようになれる要素が、イースターエッグとして各画面の中に隠された、ある時の写真たちです。パズル画面には人間が一切表示されないのですが、この写真では何人かの登場人物が描かれており、その表情からその時の感情の一片を想像することができるでしょう。それぞれの断片が人ずつ合わさっていくと一つの物語が見えてくるかもしれません。

息子の写真を撮る写真。
「ALBUM」「MEDALS」でコレクションとして保管されます。

このゲームはパズルだけではなく、様々な要素がくっつきあい、それぞれの関係性に気付いていけるようにできています。クリアまでの時間は短めなのでボリュームとしては少ないながらもそれを感じさせないほどのひらめきの楽しさがありました。

珍しく土曜日に書いています。落ち着いてかける一方で全体的にちょっと固い感じがしますね。

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