ゲーム感想|【ゼルダの伝説 知恵のかりもの】ゼルダが紡ぐ伝説
ゼルダの伝説、ついにでる
(ネタバレあり・シリーズバレも少しします)
『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』は最新作にしてシリーズ初となる、ゼルダ姫自身が主人公の作品です。名実ともに『ゼルダの伝説』になりました。(過去のタイトルでも、ちゃんと"ゼルダの伝説"ではあったんですけど、ゼルダ姫を動かせるのはこのタイトルということで一つ。)
舞台はいつも通りハイラル、北に山がそびえたち、中央に平原や湖が並ぶハイラル王国です。この世界を、われらがゼルダ姫は剣…ではなく、謎の精霊「トリィ」の力を借りて、ハイラル各地の問題を解決していきます。
ジャンルはゼルダシリーズらしく謎解きパズルがメイン、アクション…アクションはこの作品ならでは…。
1|ゲーム性:ハイラルの無法者
<ズルをしても良い世界>
シリーズ史上初の民家のツボを割るゼルダ姫。はたまた、お宝をゲットするゼルダ姫。魔物を繰り出し住民を脅かすゼルダ姫。…そら、お尋ね者にもなりますわ。
トリィの力を借りてできるアクション、「カリモノ」の力は、ゼルダ姫自身が覚えたモノをその場に生み出すことができます。ツボやベッド、岩や観葉植物だけではなく、モリブリンやテクタイト、リーデットにタートナックまで生み出すことができます。
弱い魔物は召喚コストが低く、強い魔物は召喚コストが当然高いため、一度に生み出せる量が異なります。魔物をゾロゾロと引き連れてハイラルを練り歩く邪悪なゼルダ姫の姿が見られるのは後にも先にもこれっきりでしょう。
その魔物たちは、単純に戦闘能力が高いものから、"ゼルダの謎解き"に欠かせない、火や水、電撃を放つ魔物、そのもの自体が移動手段になるものなど、実に多種多様です。
ゼルダがそこら中に散らばるモノと魔物を覚えることで、自分で出来ることがどんどん増えていくようなゲームになっています。
色々な手段が使えるようになることで謎解きのアプローチも増える。謎を解くとルピー、ハートのかけらだけでなく、新しい力を持った魔物やご褒美のアクセサリを手に入れられる。メインミッションそっちのけであっちへこっちへフラフラする方がお得といったところでしょう。
謎解きの難易度については…ゼルダシリーズに慣れていれば、目玉スイッチだの燭台だの、"いつものヤツ"がメインミッションに散りばめられ、寄り道した先に少し捻りのきいた仕掛けが待っている印象がありました。
しかしの解き方については、全体的に副題にも書いたように"ズルっこいこと"が許されているゲームでしょうかね。
先にも書いたように、今回のゼルダは「カリモノ」を使って謎を解きます。謎にぶち当たったら能力がぴったり当てはまるカリモノを選ぶのもいいのですが、そういう時はたいてい別のやり方もあったりします。
壁を上る魔物の力で謎解きを完全に無視したり、障害物レースで障害物をどけたり、正攻法以外のアプローチができるのが楽しいトコ。
ひらめいた時は自分の頭の柔らかさをほめたくなります。
特にタイムアタック系、意外と難しいなぁ…と壁にぶち当たったら、少し自分が打てる手を見返してみるのも良いと思います。ゴロンとのレースでショートカットしようが、雪玉を持ち上げて安全なところに移動させてようがお構いなし。
手元に本当に必要なものがなくても、別のものと組み合わせて突破することだってできちゃうのです。『知恵』がテーマ故に「私はこう解きます!」というそれぞれの考え方があって良い。
2|UI/UX:なんでこれ借りたんだろう…
<ゼルダも整頓苦手なの?>
これは語らないわけにはいきますまい。
カリモノを使用するときはYボタンですが、Yボタンにセットされているカリモノ以外を使いたいときは、十字キー右を押して、表示されるリストから新たにセットしたいカリモノを選ぶやり方が基本です。
あれやこれやと様々なカリモノを覚えるので、表示されるリストが横に長~いことになります。順番はある程度ソートできるのですが、最近使った順、コスト順(降順)、カテゴリ順…と少しずつかゆいところに手が届かないソート機能です。
今覚えているカリモノを横一列に並べて表示させるせいでクイック選択が全然クイックではなくなっています。
その結果どうなるか。
いつも使うものが大体固定されてしまい、せっかくの謎解き方法に知恵を絞る余地が減ってしまいます。
おぽのの場合、雑感でもちょっと触れてましたが、「水のかたまり」「ゼルダのベッド」「雲」「床ビュン」、魔物は「ファイアウィズローブ」「ガブフィン」「ブローウィー」あたりを使いまわしてました。
謎解きで使うアイテムの種類が1種類ならまだしも、複数を要求されることも往々にしてあるので、この仕様が大変。
まずこれ出して、切り替えて、次にこれ出して、切り替えて、あっこっち間違えて消しちゃった!じゃあ、さっきのヤツに戻して、これおいて…
そしてもう一つ。
その場限りのカリモノが多いこと…。
謎解きがだいご味なのですが、世界観を保つため、そのダンジョンにあったカリモノを覚えることができます。当然攻略後も使う…ことはなく、それっきり…ということもままにあります。
3|世界観:ゼルダと辿る勇者の軌跡
<『ゼルダの伝説』クリア後の世界>
最序盤でリンクを動かし、そこからゼルダ姫へと主役交代するのですが、これがなかなかどうして粋な感じです。
というのも、リンクがゼルダと初対面する場面を思い返すと、リンクはハート20個の状態で武器もそろっている、「ガノンに挑むときのリンク」なのです。
当然、プレイヤーが知らないそれまでの冒険を繰り広げてきたことでしょう。各地でフードをかぶった剣士、すなわち緑の服を着たリンクの名や姿が知れ渡っており、何か事件を解決して回っていたことが、ゼルダの冒険を通してわかってきます。
この演出はおぽのの好みにとてもマッチしています。なんてったって、リンクはいつものゼルダシリーズならプレイヤーが動かして冒険をするので、別の視点から見るリンクのプレイ記録というのが新鮮でたまりません。
ただでさえ終わった後の世界が好きなのに、ゼルダ好きの要素も加わるので倍増どころじゃありません。
そして、雑感のほうでたびたび口にしてましたが、この『知恵のかりもの』…どこかで見たやつらがたくさん出てきます。
いえ、モリブリンだろうが、ガノンだろうが定番の敵はよく見るのですが、中ボスや隠しボス、地形や街並み…歴代のゼルダシリーズを遊んでいると、「そういえばこんなところあったぞ?」という瞬間が何回かやってきます。
海ゾーラ川ゾーラの話を突然書いたのもそれがきっかけです。
ゼルダ姫を動かせることで、歴代のリンク達の冒険が見渡せるかのようでした。
考察などもできたらしたいのですが、それはファン同士の語らいだけにとどめておきましょう。「トライフォースがあるのに"トライフォース"って単語が一切出てこなかったんですよね~」とか「マスターソードどこに行ったの問題」とか。