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ゲーム感想|【真・三國無双 ORIGINS】御覧じろ、真・無双アクション
真の三國無双とは私のことよ
©コーエーテクモゲームス
(ネタバレあり)
相手を圧倒する様に対して「無双する」という表現を定着させたのかもしれない「真・三國無双」シリーズから『真・三國無双 ORIGINS』が発売されました。
一騎当千無双アクションが売りであるこのシリーズを長年追いかけていた身としては、発売を楽しみにしていた一本。
さすがにまだまだ楽しんでいる方も多いだろうし、もう少し時間をおいてから…とも思ったのですが、気持ちが高ぶっているまさに今。書ききっちゃってもいいでしょう。
ただシナリオ方面にはあまり踏み込まないようにいたします。それはまた別の機会に。一つだけ言っていいのだとしたら…赤壁の戦いで、曹操軍は孫権・劉備連合軍に負けます。
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1|アクション:行雲流水の如し
<つながれ俺コンボ>
無双と言えば?と聞かれると遊んだこともない人でも「なんか大勢の敵をボタン連打で倒すゲームでしょ?」と返すほどに圧倒的な敵の量を薙ぎ倒す、「無双アクション」を楽しむゲームであります。
そう、お手軽にボタン連打。とにかく□△あるいはXYを連打、連打連打。
見る見るうちに増えていく敵の撃破数カウント。笑っちゃうぐらい瓦解していく敵の軍勢。プレイヤーはその圧倒的な力に酔いしれます。
ただ、昨今のゲーム事情を鑑みると、やはりそれだけでは…面白くなりにくい。
残念ながら爽快だった「無双アクション」から得られる楽しさはだんだんと
減っている、と感じることもありました。
だがしかし!
待ったをかけたのが今回、今作の『ORIGINS』です!
何を鼻息荒くしているんだとおっしゃられるかもしれませんが、まあお聞きください。
今作は、爽快感はそのままに、アクションの駆け引きがクローズアップされています。
プレイヤーキャラが敵武将との戦闘中にとれる行動は攻撃の他、ジャンプ、回避、ガード、武芸と種類があります。それらはよくあるアクションであり、もちろん過去作にも存在していましたが、今作は一味違うと感じていました。
今回の戦闘は、敵の攻撃を避けたり、受け流したり、タイミングよくはじき返して一転攻勢に出たりと、アドリブでとったアクションがそのまま次のアクションにつながっていくのです。
敵が攻撃に対して、自分でどの行動をとるか瞬時に判断し実行する。うまくいくと、自分の攻撃が流れるようにつながっていきます。つまり…
”どんな行動からも"攻撃がつながる!敵を圧倒してる!楽しい!!
ってなわけです。
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逆に失敗したとき。今回敵武将はモブですらそれなりのパワーを持っているので、手痛いダメージをもらうこともしばしば。作中最強の武人である「呂布」との対峙など、これまで以上に緊張感が違います。
守りに徹して安定した行動をとるか、リスク承知で反撃のため敵の攻撃をギリギリまで引き付けるか、あるいは敵わないとみて一旦退き味方と一緒に取り囲むか。
取った行動が攻撃につながり、つながった攻撃がさらに次の行動を呼ぶ。こういう流れるようなアクションのサイクルを特徴的に感じていました。
<武芸百般やれぬ事などない>
今作はプレイヤーは、いつもの歴史上、伝説上の「無双武将」ではなく、オリジナルキャラクターをメインに使うことになります。キャラについては後程語るとして、ここではアクションの面白さだけ。
武器が剣や槍、棍など9種類ほどあり、そのすべてのアクション、およびボタン入力の方法が異なっています。武器ごとにため攻撃ができたり、軽い攻撃をボタン長押しで続けたり、武器ごとの特性がまるで違う。
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好きな武器を使い続けるのも良いですが、武器に対する習熟度というものが存在しており、習熟度が上がると基本のステータスも上昇するので、まず始めはいろいろな武器を触って自分のしっくりくるものを探すのがベスト。
戦い方がガラッと変わるのがいい。
また先に述べた「武芸」というのは必殺技のようなもので、武器にそれぞれに数十種類の武芸があるので、その選択にも個性が出てきます。
カウンターだったり、大ぜいを巻き込む技だったり、通常攻撃の間に挟むことで強力なコンビネーションを生んだりととにかく特徴的。
プレイヤー全員が同じ性能のキャラクターを操作しているはずなのに、戦い方は千差万別。これで決まり!これだけやってればOK!がないところが魅力です。(たぶんネットを詳しく調べれば紹介はされてるでしょうが…)
こうしたアクションの拡張性も夢中になる要素の一つでしたね。
2|シミュレーション:百戦殆からず
<戦場を動かせ>
そういえばこれ、結構忘れがちな要素なのですが…。無双タイトルのジャンルはただの「アクション」ゲームじゃなくて、「タクティカルアクション」と名乗っているんですよね。
無双タイトルを何かしら触られた方はご存じかもしれませんが、各ステージの仕掛けのために東奔西走、縦横無尽に戦場を練り歩くことが多いかと思います。意外とこれが大変で、「これの何がタクティカル(戦術的)じゃ」となるかもしれません。ですが、今回はここもメスが入っています。
従来のシリーズで、フレーバー程度に機能していた「士気」の概念が、今作は特にきっちりで表現されています。
主人公の活躍により士気が盛り上げられるだけでなく、士気の高低差が大きくなればなるほど、彼我の武将がプレイヤーの干渉なくどんどんと敵を薙ぎ倒していきます。戦場の端から端まで走り回るのはほとんど不要。自分が東で活躍していれば西側もやがて戦線を押し上げてくれるのです。
勢いが出ているときのNPC武将の攻撃力はプレイヤーキャラをしのぐほど強い。もちろんこれは敵味方関係ありません。敵が優勢なら当然味方の敗走も驚くほど早いです。
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この人たちを助けなさいと同義。
そんな時プレイヤーは、味方の窮地に駆け付けるか、目の前の敵を倒して士気を盛り上げるか、自分の配下を味方の下へ急行させるか…ともっと盤面を俯瞰した選択を行います。
ミクロの個人の戦いと、マクロな各地の戦線での戦い。これらのバランスを取り見渡しながら判断を下すあたりに「タクティカル」らしさが出ていて、シミュレーション好きとしては非常に楽しい。
3|キャラクター:傾国の美丈夫
<そのヘアセット毎朝どうやるの?>
さて、物語についてはあまり語らないのですが、プレイヤーキャラであるこの、マッシュヘアの塩顔イケメンについて。
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物語スタート時に記憶を失っており、とにかく人助けが大好きなお人好し。ですが、選択肢以外で本当に一言も発しません。というかボイスがついているのにボイスは戦闘中しか聞こえません。
プレイヤーキャラは自分で名づけができますデフォは「無名」。さすがに味気なさ過ぎておぽのは「武松」としました。中国四大奇書『水滸伝』に出てくる武侠の一人ですね。虎退治と仇討ちが有名なエピソードの人です。
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このプレイヤーキャラクターですが、まぁとにかく、各国の武将と仲良くなります。人材マニア曹操、侠の劉備、若大将孫権はおろか、武将、軍師、在野の水賊あっちからもこっちからも「内の陣営に来なよ!!」と勧誘の嵐。
本気で彼だけで国が傾きかねないぐらいのラブコールをみんなから受け取ります。そう歴戦の猛者たちから。一人は甘い言葉で、一人は照れながら、もう一人は労ってやろう…とか高圧的に。
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蛾か何かみたいに常にフェロモンでも出してるんでしょうか?
みんながみんなこちらに好意的な態度を取ってくれます。しかも何段階にも会話が分かれ、軽い世間話で始まったと思ったのに、最後のほうはカウンセラーにする並みの重めの話をしてくれるような間柄になります。
ちなみに、ウェットな雰囲気は置いといて、会話のエピソードは最新の歴史研究をもとに構築してるっぽいので、へぇそうなんだ…というトリビアが結構含まれてて三国志ファンも満足。
あと数名だけいる女性キャラクターからも割と恋愛寄りの反応をいただけるのですが、「そういってもあなたの旦那さんは●●さんじゃん」という感情が邪魔をして歯の浮くようなセリフも話半分で聴いてしまいました。
まあね「初恋の人」「憧れのお兄さん」ぐらいのポジションには入れたかもね…。
随所から「あっ。いつも通りだけどいつもと違う!!」という印象を受けました。とにかく愉快、爽快、痛快です。
ゲーム内のシナリオについてもあれやこれといいたいことはありますがが、ここはいったんセーブ。機を見て書いていきましょう。
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