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ゲーム感想|【Cult of the Lamb】迷える子羊による運命の選択

子羊よ、神なき世界で神となれ


(ネタバレあり)
新興宗教をテーマにした街づくりシミュレーションローグライクアクションの2つのゲーム要素を行ったり来たりします。デフォルメされた可愛い動物達が織りなす、ダークでダーティなカルト教団いう取り合わせの作品です。


1|キャラクター

言葉では伝わらないのでぜひとも公式のPVアニメを見てほしい。

二頭身でクリクリの目、白い毛並みでふわふわボディの子羊が主人公です。ちっちゃな王冠とマントを羽織って、旧き信仰の神々が住む恐ろしい「聖域」を駆け巡ります。

苦難を超えて苦しむ人々を救い(たまに見捨て)、自分の教団を徐々に徐々に育てていきます。背信者だろうがなんだろうが入れてしまえばこっちのものです。自分だけのケモ・ハライソはもうすぐ。

ある日の晩餐。GIFでお見せしたい…。

主人公も名ありNPCもモブも、敵ですら、そのモーションの一つ一つが、彼らが持つ可愛さをアピールするかのように作り込まれています。単純な動きばかりですが見ていて本当に飽きません。パートナーを増やしまくって、拠点巡回ついでにキスして回るキス魔の教祖様も、いたはず。

お年寄りとダンスで交流。GIFでお見しせたい…。

カワイイからこそ徹底的に守り通すか、カワイイからこそひどい目に合わせるかはプレイヤーに委ねられています。どちらも正解であるように作られているあたりが邪悪。


2|世界観

魚眼レンズ越しのような丸い画面。

一つ一つはファンシーなのに、常にどこか死の影が漂い、グラフィック全体を覆い尽くす仄暗い色彩と怪しげな草花。教団の本拠地ではメインテーマ『Praise the Lamb』の歌声がこだまします。法と秩序が失われ、道徳や倫理が忘れられた、正しく混沌の世界でしょう。

その世界で自分は人々をどう教え導いていくのか。そのロールプレイこそが、『Cult of the Lamb』真のメインコンテンツと言っても過言ではありません。

街づくりシミュらしく?登場人物はみんな俗っぽいので、うまく彼らをコントロールしてやる必要があります。すなわち、衣食住を揃え、衛生環境を整備し、娯楽と労働を与え、困難を取り除いてあげなくてはなりません。

力を与えられただけでそれを振るわなければ誰もついてこない、という教訓が潜んでいることを深読みしたくなりますね。


3|ゲーム性

ここまでも軽く触れてきましたが、このゲームはかなりの回数の選択を迫られます。ストーリー展開としての選択はもちろん、アクションパートの自己強化、拠点パートの運営方針、一つを選ぶと他の選択肢は選べなくなることが非常に多いです。

新しい建築物が作れるようになるにはツリーから開放。

といっても身構える必要はなく、上でも書きましたがどれを選んでいても正解になります。そのため、ゲームとしてはアクションもシミュレーションもやや大味気味で、やりこみの高難易度はあるものの、自分の操作スキル以外は一通り遊んだ段階で頭打ちになってしまいます。

もう一つ言いたいのは、お仕事。人が増えると楽になる…と思いたいのですが、むしろ教祖様が立ち向かうべき課題は比例して膨れ上がっていきます。

ゲームは時間の概念があり、朝に出発したアクションパートで探索に行っているうち夜を迎えることも多いです。

何が起こるか。信者は一切食事を取りません、うんちも流しません、離反者が出れば住民同士のトラブルも頻発します。命に関わることなのにあんまり命を大事にしてくれないのです。

そのため、朝を迎えれば教会で教えを説き、離反者を教化して、食事を作り、各種作業指示をして出発することになります。実は信者を使役しているのではなく、使われているのは自分の方なのかもしれません。

信者のお悩み相談。懺悔室なんかもあります。

アクション側にも目を向けると、オーソドックスな2Dゼルダのワンボタンワンアクションで動かせます。攻撃、回避、特殊技を駆使して敵の教団の地を侵略していく聖戦を行います。

この際のローグライク要素が、「支給される武器がランダム選択」「占いで能力強化をしてくれる謎の鳥クラウネック」「エリアクリア後に先へと進むルートの選択」「エリアごとに発生するランダムイベント」と、毎度毎度違った強化や変化を与えてくれます。

ローグライクということもあり能力が安定せず、アクションが苦手だとそれなりに苦戦するかもしれません。しかしそこは選択のゲーム。一度引き返して信者から“力”をもらい何度でもリベンジすることが出来ます。

君の祈りが私の力になる。

4|センシティブ

夜更かしの儀式。血涙が出るほど充血している。

取り扱うテーマと、ところどころのショッキングな描写をある程度許容できるかが、このゲームを楽しめるかにかかってきます。血と死と汚物は結構な頻度で目の当たりにするので、気になるけどネガティブ要素が我慢ならない場合はストリーマーのプレイ動画を見るのが吉です。

中でもこのゲームは動画配信サービスのTwitchと連携することができ、視聴者は配信している側にモブとして参加させてもらう機能を搭載しています。操作はできないけど裁判投票とかはできるそうな。これはまた違った楽しみ方がありそうですが、今も絶えずアップデートが行われているとはいえ発売から結構時間がたっていることと、自分の推しがTwitchで丁度このゲームをやっていないといけないので、中々貴重な体験かもしれません。(おぽのは一人で遊んでます。)

敵も多眼、何かの液体が滴っているのは当たり前で、大ボスともなるとなんだか意味ありげに包帯を巻いていたりします。何かが刺さっていたり痛々しげな見た目で、どちらかというと一人でのんびり遊ぶほうが合っているかもしれませんね。

ヘカテさん。よく見ると愛嬌もあるんだけど。

メインビジュアルやキャラクターの愛くるしさはビビっときたなら触れてみてもいいかもしれません。時には目的のため、非情にも自ら切り捨てる判断を行い、不可逆の選択を続ける、ということがこのゲームの没入感を生み出しています。

今年もまだまだアップデートが行われるうえ、追加のストーリーも予定されているようですね。

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