ゲーム感想|【いちまさん】脱力系ステルスアクション(ホラー風味)
一番怖いのはやっぱヒトよ
(ネタバレあり)
『いちまさん』。プレイヤーは市松人形となり、民家に乗り込んできた強盗を追い払うため、人目をかいくぐりながら、我が家の警報機を目指します。
箱庭探索型のステルスアクションゲームです。
タイトル画面(サムネイルの画像)といい、販売ページのバナーといい、なるほど市松人形がメインのジャパニーズホラーだなこれは…
1|世界観:かすみかくもか
<これは多分、オモチャ・バナシ>
全くホラーではありませんでした。画面が薄暗いのも単純にゲーム内時間が真夜中だからです。
全編ギャグ&コメディでお送りいたします。
ジャンプスケア?ありません。
精神的恐怖?ないですよ。
怖いとしたら人間に追い回される時のドキドキ感ですね。
それでも一番のホラー部分がタイトル画面ってどういうことですか。
前書きに書いた通り、民家に乗り込んできた強盗を追い払うのが主目的です。しかし、自分は市松人形、「いちまさん」なので、文字通り手も足も出ません。
いちまさんとなった主人公は民家に散らばった光、霊力を集めることで行動を続けることができますが、その姿が人間に見つかるとどういう原理なのか一気に霊力が奪われます。(そもそも霊力がとう言う原理なのか。)
霊力が尽きると、動けなくなるので当然ゲームオーバー。霊力が尽きないように、こそこそと引き戸や、ツボの影、梁の上をつたいながら身を潜め、ゴールの警報機を目指します。
それでも見つかりそうなときはどうするかって?
脱力して玩具のフリをするのだ!!
このダラ~ンと気の抜けた姿がシュール。日本人形って今でこそ不気味扱いですが、もとを辿れば子どもの玩具なんですよね。よくよく見るとどの玩具も愛嬌があります。それが自分の意志を持ってひょこひょこ動くのです。
その動きたるや、要所要所で笑かされます。
2|ミニゲーム:いっしょにあそびましょ
<小粒なゲームにノスタルジー>
決して孤独な戦いではなく、こけしや赤ベコ、蚊遣り豚に熊の木彫りなど、そういう置物あったな〜、というのが盛り沢山です。
玩具同士は当然会話可能。それぞれ一言以上話してくれるんですが、その内容がまたウィットに富んでます。ヒントを教えてくれる玩具もいれば、たまに毒づかれたり、いま全く関係ないことを話してくれるやつもいます。
お気に入りはクックパッドなこけし。(おぽのがそう呼んでるだけです。)
見つかるとゲームオーバーなのに人目が多いところに設置されたこけしが、全く必要ないパスタの作り方を懇切丁寧に話してくれるあたりにユーモアを感じました。
ユーモアといえば、『いちまさん』にはミニゲームが結構用意されてます。
ミニカーと頭の文字がDのやつばりのドリフトバトルを繰り広げたり、突然パラパラでサタデー・ナイト・フィーバーが始まったり、時間も忘れてガラケーのアプリで遊んだり。
周囲は薄暗いし、雨はずっと降ってるしバックボーンの物語はうら寂しい感じなのに、こんな感じに終始賑やかな心霊現象が続きます。
3|ゲーム性:うしろのしょうめんだあれ?
<唸れ!えんぴつロケット!>
そんなおちゃらけたゲームですが、メインのステルスアクションもしっかり作り込まれてます。
玩具という目線なので人間は遥かに巨大な存在ですが、ツボを落として脅かしてみたり、鉛筆を射出して射抜いてみたり、タライに頭をぶつけて気を失ってもらったり、翻弄するのがとても楽しい。
相手は強盗だからこそ、遠慮なく何してもいい感じで素敵です。金目のものなんてなさそうなのに物騒よね…。
玩具ならではの通り道があって面白い。たとえ走ってる時に見つかっても霊力が尽きない限り、アレヤコレヤで抵抗できます。ちゃんと玩具なりの人間との駆け引きができてスキなポイントです。
ステージクリア型のゲームですが、それぞれのステージが同じ家の中での出来事なので、物語がつながってる場所もあります。あっちのモノをこっちに持ってきて〜とか、そういうバラバラに見えるものがつながってる遊び心が大好き。
難易度も難しすぎず軽い気持ちで遊ぶのにいい感じ。
仄暗い室内をバックに童謡のアレンジがBGMとして鳴り響きます。特に最初のステージのアップテンポミュージックはこの作品をよく現してるなと。パラパラもスキです。
いたるところに散りばめられた小ボケに見事に引っ掛かりました。どんどん続きを遊びたくなる作品…。