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リベルタパフュームの感想1

リベルタといえばフルオーダー(雑)。
公式HPに「リベルタパフュームは、日本初のパーソナライズ x フレグランスブランドとして2020年に誕生しました」とある通り、自分オリジナルの香りをオーダーメイドしようとしたらまっさきに思い浮かぶのがこのブランド。

とはいえ、去年おととし頃は金銭感覚が今ほどガバでなかったため、オーダーメイドってお高いんでしょう? と8mlをちまちま買うだけの日々。
しかし8mlとかの少量ボトルってめちゃくちゃ福祉の世界よな。企業からしたらそれ単品で買われても利益あんまないけど、コレをきっかけにブランドを好きになってネ💝のメッセージを感じる。この恩恵に乗っかるだけではなく、いつかはBIGボトルを買いたい……そう思って幾星霜。

それと同じ感じで、キッズメニューを置いてる飲食店を見ると本当に感謝の気持ちでいっぱいになる。こんな小さいだけで手間は一人前の飯を500円だか600円で提供する、食材と作業時間考えたら利益いくらやねんの世界。子供と一緒に来ていいんですよという店からのメッセージを思うだけでちょっと泣きそうになる(精神…)。ミニサイズを提供するっていうのは何産業にしろとても尊い姿勢だなッッて思います。

でフルオーダーの話に戻る。オーダー代の最低価格はフルボトル(50ml)¥16,478。いろんな香水のミニボトルを買って浅瀬でチャプチャプしていたはずが、知らぬ間に沼に浸かって3万4万とかのアビス<深淵>に耐えるようになると、とたんにこの価格設定のありがたみが理解<わか>ってくる。まあ実際作るとこの最低価格では済まないんですけど……

アルコールランプみたいでかわE

リベルタのフルオーダーは、あらかじめ既存ラインのパーソナルコレクションから好きな香りを見つけておいて、それを構成している要素(ベース)を元に組み立てを考えていく形式。
パーソナルコレクションって何?というと、なんか質問に答えていくとリベルタが「お前はコレや」とおすすめの香りを出してくれるやつ。オタクはこういうネットの診断が大好きなのよね~~~も~~~

ちなみにこの診断、自分は何回やっても絶対に「フレッシュフローラル」が出る。使ってる香水、好きな香料、飲み物、使う時間帯、何を変えても必ずフレッシュフローラル。フレッシュフローラル以外出ないバグある?と思ったけど他の人は全然ウッディとか出してる。そこまで一択で猛プッシュしてくる香りとは一体どれほどのものなのか??


フレッシュフローラル

というわけで最初の感想はこれ。フルオーダーの話するんじゃないのかよ。
結論から言うと、嫌いじゃないけどそこまで超好きでもないって感じ。
キービジュアルほどレモンの存在を感じないし、マグノリアとイランイランの甘さが個々の要素を感じさせないレベルで溶け合って、その辺の薬局で売ってる芳香剤みたいに感じる。
ノートに書かれている要素(レモン、ミュゲ、イランイラン、マグノリア、ゼラニウム、ムスク)は好きなんだけど、作品として総体で見ると合わない場合があるんだなあ。その逆(苦手な香料入ってても好きな作品)もあるから香水って面白いね。

アロマティック

それならもうアロマティックに行くしかないっしょ。
ラベンダー、ローズマリー、リーフィーグリーン。最近ハーブティーにハマって全身から草を生え散らかしてるわたくしにぴったりですわ。ちなみに最近のおすすめ茶はテテリアのミントブレンドティー。苦味なくクリアなハーブが夏の疲れを癒やしてくれますの。

??? なんかビート板の匂いがする……
トップノートは綺麗なハーブなんだけど、つけて5分後くらいから塩素+ビニール+水みたいな謎展開に。優雅なアフタヌンティーだと思ったら……市民プールでした! チクショー! 誰か解説求む。

ソフトフローラル

上記2つが全然合わなかったので、しばらくリベルタとは距離をおいていた。今年こそ阪急メンズの長期ポップアップで気軽に全商品を試せるが、去年は短期ポップアップが韋駄天のように走り去るのをただ見ていることしかできず……。10月のサロンドパルファンでやっと全商品を試香し、こんなに良いやついっぱいあったんだと驚き。中でも好きだったのがこれ。

店員さんが「主宰の山根さんが奥様のために作った香り」と説明してくれて、そんな恐れ多い……私のような馬骨野郎が買ってもいいんですか? と思いながら購入(これソフトフローラルの話であってる? 聞き間違いだったらごめんなさい)。

説明に「触れるとパラパラとくずれてしまいそうな、気品のある繊細さ」とあるとおり、ある種神経質な感じすらある、とても静かな香り。
白一色の店内で、コットンとリネンだけでできた白ワントーンの服を一着10万で売ってる近寄りがたい服屋みたいな感じ。崇高すぎて気軽には触れられないが、目を離した瞬間すぐに消えてしまいそうな儚さがあり、違う世界のものとは分かっていても何とか手に入れたい、そばに置いておきたいと思わせる不思議な引力。

香水ではなく、その纏った人の雰囲気(世界観)となる、新次元のなにかという感じがする。病院とか車のような香水ご法度空間でも、これつけてNG食らうことはまずないと思います。今まで出会った全香水の中で個人的ベスト5に入る。

ソフトオリエンタル

次に好きだったのがこれ。これは写真のイメージ通りの香りな気がする。イリス! クマリン! ムスク!(タトバタトバ)ひたすらパウダリー。
パウダリーなのに甘くなく、オリエンタルなのに液色が透明。この神秘的な雰囲気に魅せられ、つい何度も手に取ってしまう。春の妖精の羽ばたきが起こす小さな風のような香り。

サクラマグナ

液色から大体想像つくと思うんですが、ド派手。もう派手派手だ。外国人が考えたナンチャッテ日本に出てくる桜で間違いないと思います。
とか思ってたのに公式の説明に「日本人の記憶に宿る『桜』」「日本人の感性で創るこの香りこそが、(略) この世の中にあるべき「桜」の香水」ってめちゃくちゃ念押しされてる……エセ日本とか言ってごめんなさい。

個人的な桜イメージとしてはKO-GUのサクラが儚さ・瑞々しさを押し出していて解釈一致なんですが、リベルタのサクラマグナは桜の壮大さをオーケストラのように荘厳華麗に讃えていて、ありふれた儚い系の桜像とは対極にあるオンリーワンな香りだと思う。実際拡散力と持続もすごい。
ジャスミンのくさみが和クラシカルな印象をもたらして、オーケストラなのにお琴が紛れ込んでくる感。これをつけてると何故かニンジャスレイヤーが読みたくなる。

ソルテッラ

夏の香水なのに重厚ッッ! ガルバナムって普通トップにくるやつじゃないだろ。私はガルバを嗅ぐと、勢いで買った夜間飛行(P)に「お前みたいな軽佻浮薄な若人が手を出していいものじゃない。身の程をわきまえろ」と叱られた思い出が蘇って辛くなります。
夜間飛行だけじゃなく、ガルバが入ってるもの全般似合わない。イソップの香水もガルバナム多いと思うんだけど、つけても「香水に拒否されてるなー」と感じる。私は嫌いじゃないけど香水が自分を嫌ってるなって思うことない? ない。あそう。

フラクタス

はぇ~~もみじだ……(知能)
フルオーダーでジュニパーベリー単体で嗅がせてもらったときに思ったけど、結構お酒の香りが強い。お酒苦手なのであんまりフラクタスをつけることもないんだけど、つけるたびに異世界感に感動する。
神聖な香木で燻蒸された天界の寺院。そこでは神々が裳をたなびかせ、静かに宴を楽しんでいる。人間たちから献上された数々の樽酒から音もなく吸い上げられた雫が霧となり、あたりに立ち込めている……そんな雰囲気。
スモーキーウッディーホーリー。ウイスキ~はおさけでしょ(角瓶)

二ヴァリス

これはプレタポルテシリーズで一番好き。香水で冷たさを感じたのはこれが初めて。去年の夏、仕事上がりはずっとこれだったのでつけると週6.5日働いていた日々を思い出して辛くなります。トップのユーカリが癒やし。

ただ、夏につけるにはラストのバニラがちょっと重くて、次第にフレデリックマルのローディベールを使うようになってしまった(ちょっと似てない?)。本当に疲れてるときは冷たさ・静謐さが美しいローディベールなんだけど、仕事を忘れてただ幸せな気持ちに浸りたいときは二ヴァリス。
何より見た目が良い。液色といい、シルバーのラベルといい……
ルームディフューザーほしいなあ。

ルームディフューザーかわいすぎ問題

CHA-BA

なんかサロパの感想で「ハーバフレスカに似てる!」とか言っちゃったけど比べるとそこまで似てないですね。CHA-BAはこっくり渋めの日本茶。

ある日ネットの人に「お茶香水を探してるけど、リベルタのこれって『オ パフメ オーテヴェール』と比べてどうですか?」って聞かれて、「うはwwこれCHA-BAの開発秘話に書いてあったやつwww」と私の中のキモ・オタクが大喜びしてしまった。
ブルガリのオパフメオーテヴェールを作る際に、ジャン=クロード・エレナがマリアージュ・フレールに向かったというエピがあって、山根さんが「いや日本茶の香り作るのに何でフランスの紅茶屋参考にするねん」って思ったという話をHPに書いてたしサロパ(22年)のさとり師匠との対談でも言ってた気がするんだけど、今探したら該当記事が見つからなかった。
とりあえずネットの人には「緑茶香水でここまで深みとコクのある香りは日本人にしか作れないし唯一無二ちゃうやろか」と返事した。メンズには特に似合うと思います。

フルオーダー

やっとフルオーダーの話。
阪急メンズの1階、香水エリアのリベルタブースにて席についた時、なんと代表の山根さんが担当してくれてびっくりした。サロンドパルファンで見たことある! 直々に接客されてるとは……緊張してラスト5分しかまともに話せなかった。

初手はパーソナルコレクションで気になった香りから要素を決めていく。私はソフトフローラル&ソフトオリエンタルが好きなので、それを構成している「ドライレモン」と「ムスクパウダリー」というベースを選びました。

なんか載せていいのかわかんないので一応隠す

まずこの2つを混ぜると、うんうんいい香りですね。淡白だがアリ。

次に何を足すか考えたとき、とりあえずローズが好きなのと、オスマンサスでちょっとぶりっこしたいという下心。ちなみにオスマンサスはプレミアム香料なので、5000円が加算されます。まあ自分で金木犀集めて匂い成分を集める手間を考えたら安いもんだよね。

オーダーシート(数字のところに香りが入ったビーカーを置いてくれる)

すると、ローズの主張が強すぎたのでVer.3ではちょっと減らしてみる。ついでに二ヴァリスのユーカリが大好きだったので、パクリ(インスパイア)でちょい足し。なかなかの透明感。
もうこれで完成でいいか、Ver.5で足したいもの思いつかないし……と思ったところで、「せっかくなのでバニラ足してみましょうか」と鶴の一声。

こんなオスマンサスとかユーカリとか要素マシマシにして香りが崩壊しないか? コンセプトも何もない、好きな香りを混ぜただけのクレイジーハッピーセットになっちゃうよ……と心配したものの、さすがCEOのお導き。めちゃくちゃいい香り! ユーカリでせっかく清涼感出したのにバニラを足しちゃうのは頭が食いしんぼうすぎんか? と最後までかなり悩んだが、「このバニラアブソリュートは1キロ数百万です」というラグジュアリー情報を思い出し、せっかくなのでバニラ入りバージョンで確定。

フルボトル(50ml)基本料金¥16,478+プレミアム香料(オスマンサス¥5,000+ユーカリ¥1,000+バニラ¥5,000)=???

算数が苦手なので金額のことはよく覚えていない。
完成後、山根さんが今度中目黒にできるというリベルタのリアル店舗についてお話してくれた。そこでは入口にローズマリーを植え、毎朝ローズマリー入りの水で店内を清めるのだとか(緊張してうろ覚えなので完全に幻聴だったらごめんなさい)。
中目黒のリベルタ、代官山のpallumer&ルラボ&ビュリー、南青山のドルセ―、表参道ヒルズのジョーマローンとメゾンクリスチャンディオールで香水の東海道五十三次完成や。なによりリベルタのリアル店舗ではフルオーダーが即日お持ち帰りできる(予定)というのが驚き(現状のフルオーダーでは完成まで1ヶ月くらいわくわく待ちタイムがある)。

本当にほしい香りをその場で作って持って帰れるって革命だよなあ。
洋服で考えたらそのすごさがわかる。

SNSを見れば自分よりすごい奴がいくらでも目に入る時代。自分はナンバーワンでもオンリーワンでもなく、会社では誰でもできそうな仕事をして、今着ている服は同じものが世界にあと500着は存在する。学生時代、新卒時代、ナイーブなヤングの頃はそういう事実に思いを巡らせることが多々あった。個性とは何なのか? 自分が存在する意味とは?(30を超えるとその辺は全てどうでもよくなります)

そんなとき、自分がただ自分のために作った、この世に一つしかない香りが傍らにあったとしたら、幾ばくか心強い気がする。こういう小さな個性が寄り添ってこの世界は成り立っているのだと、おおらかな気持ちになれる。

ちなみにリベルタの8mlの筒は高さとか太さに微妙に個性があってかわいい。別の筒同士だとフタがはまらなかったりする。

リアル店舗がオープンしたら、本当にローズマリーが生えてるか確認したいので、誰か一緒にいきましょう……

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たなか麦
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