49. ダサい発表から脱却せよ!【ブックレビュー】高橋佑磨、片山なつ『伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール』(技術評論社:2021←増補改訂3版)
久しぶりにおすすめの本を投稿します。
【良書紹介】
高橋佑磨、片山なつ『伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール』。
技術評論社出版。増補改訂3版が2021年に出たばかりです。私の紹介文なんでどうでもええ!って方は飛んでいってね笑(↓出版社サイト)
私個人の悩み
資料の作成は私に取って永遠の課題で、学部の頃から悩んでいる工程の1つです。研究発表では初対面の人も多く、限られた時間の中で有効にビジュアルのツールを活用しながら、内容を理解してもらわなければいけません。
研究って半年、あるいは一年、あるいはそれ以上の年月をかけて行うものなので、大体10−30分の発表時間に情報をかなり濃縮していく必要があります。
結構、研究者の発表スタイルは独学であるように思います。もちろん発表で何を重視するかは人それぞれだとは思いますが、私は発表するときに少しでもわかりやすい発表をしたいなと[は]、思っています。できているかはさておき。
細かい表現を突き詰めれば、それは芸術性とか、好みの問題になってしまいそうですが、例えばピクトグラムないし、アクセシブルデザインなどのようにどんな人でも簡単に物事が伝わるという工夫が、資料の作り方にも応用できる部分があると思っています。例えば美術館の展示などでも、空間を仕切って人の動きの流れを誘導することが重要だったり、解説パネルの位置あるいは体裁とか、そういったものも学芸員によってよく考えられていると、非常に見やすい展覧会になっていることが多いです。これらに限らず、その他いろんなものが、理解しやすくなるように工夫されているわけで、そうした努力は怠るべきではないでしょう。
コロナで変わった発表方法、いろんな発表を見て
コロナの影響でオンラインでの発表が主流になった今、多くの方々が、PowerPointを使用し画面上に資料を映しながら発表しています。(一部にはレジュメだけの方もいますが。)いままで、机上で見るための資料(レジュメ)と、パワーポイントを同時に使用すると聞き手の動線が混乱してしまうと私は思い、スライドを作ることかなり避けていました。ですが、これを機にスライドも積極的に取り入れようと思いました。
本に出会うきっかけ
修士の時にできた大学のライティングセンター勤務で、修士2年から学生にレポートを教える機会を持たせていただいたのですが、その待機室には多くの資料が用意されていました。大学生がまず躓くレポートの書き方の本のみならず、プレゼンや資料作成の方法について書かれた本もありました。自分が待機中にこれらの本を読むことで、学生に教えていきながらも、自分自身がスキルを向上するためのきっかけになりました。
本の良いところ
本著は、 内容を伝えるための見やすさの視点を、わかりやすく、かつ多く考えてくれる本でした。この類の本は多く出ていると思いますが、出版社の書籍紹介にもある通り、具体例を豊富に掲載しながら、納得のいく説明が書かれている点、そして全体的にその書籍のレイアウト自体がとっても見やすいことが、この本の良さだと思います。(試し読みはサイトでできますよ)
例
例えば、図形と色、記号の使い方について。あまり多くのツールを使いすぎないことも大事であること。使用する図形も、線で囲まれた図形に統一するとか、あるいは線なしの図形に統一するとか、一定の部分は統一させることで一目見たときに混乱しにくくくなるとか。
また、よく使用する記号・図のそれぞれの役割・利点も文章で説明されていて、わかりやすいです。 説明文自体、私にはとてもわかりやすく感じました。文字の太さや空白の使い方といった、学生間や、教授と学生のやりとりで細かくは議論できないような部分にまで言及しています。ここまでこだわれていれば文句なし、と言う所まで入っていると思います。
こういったいろんなレイアウトやデザインの仕組みを理解すると、膨大な時間をかけてあれこれいじって、「なんか良い」の感覚で決めていた資料から、的確な視点を持ってより時間を短縮して資料を作ることができますよね。(…まだ自分はできてないですけど
版に注意です
最後に、この本は4月にさらに新しい版出ているので、(いくつか版があるということは、それほどこの本が非常に優れ、販売もされているとも言えますね)、購入の際はお気をつけください。
そして、もちろん資料やスライドにこだわる前に、内容をまずはかためることが必要ということも念押ししておきます。(まあ、ひどい内容であったとしても、こういったレイアウトがうまくできていたらなぜか発表内容もしっかりしているように思ってしまう人もいそうですが)
どんどんと変化する世界に対応していきたい
この本を読んだときに、wordのワードアート機能などがもう古いツールになっていることを再認し、「自分が子供の時にすごく楽しかったツールが今やもうダサ古いのか…」なーんて、感傷的になったり。
そんな思い出はさておき、時代ごとに表現の技術も、受け手の認識の感覚も、どんどんと変化しているわけですから、発表する際により自分の伝えたい内容が伝わりやすくする努力は、今後もずっと続けていくべきだなと思いました。
ではでは〜🐈
※みんなのフォトギャラリーから動物のイラストを選んでいます(今後も)。これは自分自身が動物好き故に、何かしら動物に関する活動に貢献したいという気持ちからです。統一感なくても、お許しくださいませ。
(脱線紹介)
・ピクトグラムについてわかりやすかったサイト。私自身ピクトグラムはオリンピックの競技のマークの話題で知りました。
・アクセシブルデザインについては、公益財団法人の共用品推進機構のサイトがとても参考になります。こういった活動もっと知られて欲しいですね、出版されている書籍なども含めて、記事にしてみたいです。
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