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【いちご通信#16】 心音(こころね)に耳を澄ませて
最近、YouTubeでストリートピアノを弾いている方の動画を視聴した。海外在住のピアニストの方がウイーンの街中でビートルズの『Let It Be』を弾いていると、どこからともなくサックスのお兄さんが現れてセッションが始まった。演奏が終わると二人はとても嬉しそうで、もう一曲セッションが始まった。『Hey Jude』を聴かせてもらった。「音楽っていいな」とほっこりしてコメント欄を見ると素敵な言葉を発見した。「日本語を話せば1億2000万人と繋がれるけど、音楽で70億人と繋がれるという言葉を思い出しました」その言葉通りピアノとサックスの音は、二人の演奏者と周りの人達の間を繋いでいた。きっと歌うことでも同じだと思う。声も楽器だからどんな国の言葉でも人の心に届くだろう。音楽って素晴らしいなと思う。
人は誰でも生まれた時から自分を表現している。言葉を発することはなくてもだ。私には成人した二人の息子がいるのだが、彼らが生まれて暫くすると泣き声で「あぁ、お腹がすいたのね」「おむつが濡れているのね」とわかるようになった。それは母としての本能かもしれないが、泣き声や表情や動き、体温、うんちやおしっこなど、ありとあらゆる赤ちゃんの様子にいつも「どうしたのかな?」と見つめていたからだ。福祉施設に勤務していた頃もそうだった。発語のない利用者さんが何を伝えたいかわかることが沢山あった。赤ちゃんと同じように言葉以外の様子や行動に関心を寄せて理解しようと努めていたからだと思う。 関心を寄せている人のことは何となくわかってしまう。世の中には生まれつき人のことがわかる能力が備わっている人もいるだろう。しかし私の場合は後天的なのだと思う。「わかりたい、理解したい」と強く思い相手の心音(こころね)に耳を澄ませて聴く努力を惜しまなかった。なぜなら相手とわかり合い心が通じた瞬間に喜びがある。私に能力があるとすればその想いの強さなのではないかと思う。
そんな自分の心音に気づいた私は新たな道を歩み始める。私自身を奏でる場所で11月から再スタートすることが決まった。(再就職先が決まったので専業主婦は1カ月で終了!)そして、これからも大切な人の心音に、動物や小さな生き物たちや植物、自然の中にある声に耳を澄ませていたいと思う。