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信じて進んでみませんか〜2回目の壁をいかに乗り越えるか〜
新しい世界やコミュニティに飛び込むのはもちろん、そこに浸かりきるのって結構 難易度高くないでしょうか。
自身の経験を振り返ると、成否を決める鍵は2回目にあったなと思います。
私は今でこそ、20km以上ひたすら坂を上り続けるヒルクライムの大会に参加したり、数百kmにおよぶロングライドに挑戦したりと、かれこれ2年以上毎日のようにサラリーマンをしながらも自転車の世界に浸かっています。
しかし、自転車を始めるまでの私は、趣味がなければ活力もわいてこない。
熱中できるものがない。何をやっても続かない。
とにかく”ない”尽くしのそんな日々を送っていました。
それが自転車に出会ってから一変したのです。
振り返って、ここまで熱中できているのはそもそも自転車に乗るのが好き、というのももちろんあります。
ただそれ以上に、自転車の奥深き世界の一端を知ることができた、ということが大きかったに違いありません。
そのきっかけとなったのは、以前の投稿でも触れた”夜練”の存在です。
夜練こそ私に自転車仲間を与えてくれました。
そして、彼らこそが私に自転車の溢れんばかりの魅力を、言葉と背中で教えてくれたのです。
一方、この夜練との出会いは両脚の筋肉が攣る、という衝撃的な展開から幕を開けました。
そこからどうやってその世界に浸たり続けることができたのか。
当時の私の心境を振り返りながら迫っていきたいと思います。
夜練の衝撃
おさらいになりますが、全ての始まりは1回目の夜練のこと。
クロスバイク”MISTRAL”を購入したお店の店長さんからの誘いに、面白そう!というよりは、せっかく誘ってもらったからやってみるか、の勢いだけで参加しました。
その結果、かつてない衝撃に脚が悲鳴をあげることになるとは…。
ゴールしてから感想を問われ、「気持ちよかったです!!」と言葉が出ましたが、正直に言います。8割社交辞令でした、どうもすみません。
どこの誰がこれほどの痛みと苦しみをまた味わいたいと思うでしょうか。
ましてや、これまで培ってきた人との繋がりがあるとかならまだしも、誰1人知り合いもいない全くの新しい世界で。
事実、私の後にも何人か店長さんの甘い言葉に誘われたミツバチサイクリストさんたちがいましたが、9割は1回目でやめてしまうか、ドタキャンでそもそも参加することすら叶わない。それが現実です。
私も同様に1回目を終えた直後は、正直2回目はちょっと…な気持ちでした。
何が私を変えたのか
おそらく、自転車を始める前の私の思考では、2回目に参加する決断はできなかったと思います。
先に触れたように、それまでの私は熱中できるものがなく、何をやっても続かない。さらに言うと、前職で精神的に参って会社を数カ月休んだ経験があったこともあり、自分への自信や期待を喪失していたからです。
実際、1週間後の夜練の日が近づくにつれて、私を導くかのように行かない理由が次々と脳裏に浮かび上がってきました。
私が走るとみんなを待たせて迷惑をかける
きっとおっちゃんたちは特殊な訓練を受けているんだ、自分にはできない
暗くて危ない
痛くて息の上がる思いをしたくない
夜中に激しい運動なんて絶対に体に良くない →これは事実かも 笑
行かない理由盛り沢山の私がなぜ2回目に参加することができたのか。
そこには大きく3つの要素がありました。
①店長さんと妻の言葉
最初は店長さんの言葉です。
夜練があった週の週末、お店にて。
私「皆さん速すぎないですか?私にはあんな風に速く走れる未来が見えないです…。」
と弱気な私に、
店長さん「〇〇(私)くんも速かったよ!最初の坂なんて特に。みんな最初はついていけないもんだよ。最初の3回我慢すれば走れるようになるから。」
そんな励ましの言葉が素直に嬉しかったし、もうちょっと頑張ったらもしかしたら、、と希望を抱かせてくれたのでした。
もう一つは妻の言葉。
気分が沈みがちな日曜の夕方、ふと、火曜日に迫る夜練のことを思い、
「行きたくないなぁ…。」
とつぶやいた私に、
妻「最後までついていけなくてもいいじゃん!この前よりほんの少しでも長くついていくことを目指してみたら」
と声をかけてくれました。
最初から完璧主義を求めがちな私の、ついていけなかったらどうしようとか、また足攣ったらどうしようとか、立ちはだかる分厚い心理的障壁を打ち破ってくれた言葉だったように思います。
②クロスバイク先輩の存在
私以外の全員がロードバイク乗りだったら、ポジション的に不利とされるクロスバイクに乗っている以上、同じくらい速く走ることはできない、と言い訳にもできたことでしょう。
でもこの夜練には、私より20歳以上年上のおっちゃんが私と同じMISTRALで、ロードバイク乗りと互角に走る姿があったのです。
ただ実は、このクロスバイク先輩は、七夕の日に浜名湖7周する!と言いながらちゃっかり+1周して8周(500km弱)走り切っていたり、ローカルなヒルクライムレースで2位に入賞していたり、あり余るパワーで自転車のフレームを破壊したりと、数々の伝説があることが後に判明するのですが、当時は知る由もなく…。
とにかく、”クロスバイク先輩”と称するこのおっちゃんの存在が、クロスバイクだから、、という逃げ道を私に与えてはくれなかったのです。
③自分を変えたい
最後は、強い気持ち!です。
最初の2つで、自分自身じゃコントロールできないことを言われてもなぁ、と思った方もいるかもしれません。
しまいには、最後は強い気持ちと聞いて、結局根性論かよ、と冷めた気持ちになるのも無理ありません。
でも事実、最後に行くか行かないか決めるのは他の誰でもない自分自身。
そこに、単に行きたい理由の数と行きたくない理由の数を集計し、天秤にかけてどっちに傾くか、という合理的判断は存在しません。
行きたくない理由がどれだけあろうと、それを凌駕する強烈なモチベーションが、そこにあるかどうか。
先に述べた2つの要因は私の決断の支えにはなりましたが、最終的な決断の意思は自分自身の内側から込み上げるものだったと私は確信しています。
何度も言うように、かつての私は本気で打ち込めるものがない。
高校時代のサッカー部も、周りと比べては落ち込んで腐って、どうやって辛い練習を適当にやり過ごすかしか考えてこなかったような人間。
これから先もそんな風に生きていきたいのか。
そんな姿を妻に見せ続けてもいいのか。
そう自問し、
ここでやめたら何も変わらない。
ずっと苦しいままだ。
と考え抜いた末に、
変わりたい!
という気持ちが強烈に込み上げてきたのです。
たかが自転車の練習ごときで大袈裟な、と思うかもしれません。
私もその先にどんな世界が広がっているかなんて、想像すらしていなかったです。
ただ、1回目の夜練で「気持ちよかったです!!」と咄嗟に出た言葉の8割は社交辞令と言いましたが、残りの2割はやり切った喜びから生まれた言葉で、これまでの人生で味わったことのない感覚でした。
その感覚の先に何かがあるかもしれない、ここを乗り越えることは私の人生にとって何か大きな意義があるんじゃないか。
そこに賭けてみようかな、と本気で思ったのです。
私自身から込み上げるこの強烈な思いこそが、2回目の夜練に参加することを決意させたのです。
2回目の夜練でどうなったか
えぇ、そうです。
当然のごとく、今回も引きちぎられました。
またしてもおっちゃんたちに引き離され、今度は店長さんもメカニックのトラブルで途中離脱し、私は暗い夜道に一人放り出されました。
道をまともに覚えていない私は、スマホに記録した前回のルートを頼りにゴールするので精一杯でした。
それでも、前回の反省を活かし最初から頑張りすぎず、脚を攣らないように変速も調整したりと小さな改善を積み上げ、前回よりも5kmは長くついていくことができたのです。
そこに着目したら、脚の回し方を無駄のない動きに改善したらもう2kmくらいついていけるようになるかな、なんてもう次の夜練に向けた思考に変わっていたのでした。
2回目のためらいがまるでなかったかのように。
そうして3回、4回と重ねていくうちに、ちょっとずつおっちゃんたちの背中に近づいていく感覚を味わいながら、徐々に参加することが習慣化していきました。
習慣になってしまえばもうその世界に浸かりきったようなものです。
むしろ夜練に行かないことの方に罪悪感や居心地の悪さをおぼえてしまうのですから。
習慣化していく過程にはちょっとしたコツもある程度存在したのですが、それは今後の投稿で少しずつ触れていくとして、肝心の始まりはこのような道を辿ってきたのでした。
信じて進んでみませんか
勢いで飛び込めた1回目で天地がひっくり返るかのような衝撃を受けた上で、同じ世界にまた脚を踏み入れようとすることは、50℃近い別府温泉に片足つっこんで、次じゃあ肩まで浸かってみよっかっていう時くらいに勇気がいることだと思います。(例え表現を使ってみたかったのですが、伝わってますかね…?)
自転車じゃなくても構いません。
もしかしたらこの一瞬の痛みや苦しみを乗り越えた先に、かつてない日常が広がっているかもしれない。何かが変わるかもしれない。少しでもそう思うことが見つかったら、その気持ちを信じて進んでみませんか。
…と偉そうなことを言ってみましたが、これは他の誰でもない今の自分に向けた言葉でもあります。
散々、今なお当時の熱気を持って自転車に熱中してる感を出しておいてこんなこと言うのもなんですが、2年も経つと夜練やその他のヒルクライムやロングライドもマンネリ化してきて、当時ほどの熱い気持ちを保てていない自分が今ここにいます。
それでも、走ること自体は相変わらず大好きです。
ただやっぱり新しいことをしていかないと停滞してしまうんですよね。
このnoteは、そんな現状を打開するための取り組みのひとつでもあります。
経験を発信することを通じて、自転車に乗るよろこびを別の角度から噛み締めたい。そして、あわよくばみんなにも味わってみてほしい。
そんな強い気持ちがあるからこそ勇気を出して、新しい世界にまずは肩まで浸かってみようと、もがいてる途中なのです。
どれだけの人が最後まで読んでくれているのかわからない。
時間をかけ想いを込めて書いた投稿に、いいね、がほとんどつかない。
”ない”ことばかりに目を向けるとつらいことばかりです。
でも反対に、まるで店長さんと妻が励まし勇気づけてくれたように、私の投稿にいいねをつけてくれたり、フォローしてくれる人がいる。
独自の視点や信念を発信し、希望を抱かせてくれるクロスバイク先輩のような発信者がいる。
”今あるもの”に目を向けたら、そっと誰かに背中を支えてもらってる感覚にならないでしょうか。
この世界の衝撃を味わい、挫折しながらも発信し続けようとする私へ。
あの2回目の夜練に立ち向かった私から。
あの時のように、信じて進んでみませんか。