【書評】みんな蛍を殺したかった【ネタバレ有】
自己紹介で短編小説を投稿すると書きましたが、
完成する気配がありません😭
しかし、せっかくnoteを開設したのに放置気味にするのは気が進まない…
なので読書感想文を書くことに
作品は『みんな蛍を殺したかった』、著者は木爾チレンさん。
以下ネタバレが含まれますので、ご注意ください
あらすじ
生物部とは名ばかりの部活に所属する3人のオタクたちの元に、誰もがうらやむ美人女子高生・蛍が転校してくる。いつものように、それぞれの趣味に没頭していると、蛍は「自分もオタクだから、生物部に入りたい」と申しでる。最初は困惑していた3人だが、次第に親友として仲を深めていく。しかし、ある日、蛍が線路に飛び込み自殺をし、やがて彼女達を取り巻く因果が明らかになっていく―。
感想を一言で表すなら
結構重いけど、比喩表現や伏線回収が丁寧で読みやすい
詳細な感想
冒頭シーン、栞の父親が最期に残した言葉です。これを読んだ時「くれぐれも盗作には気を付けろよ」と、彼自身盗作被害にあり戒めのため娘に伝えたのだと単純に思いました。
しかし、物語が進むにつれてだんだんと、この言葉の重みが分かってくる…
蛍を養子に迎えたいと、雪の母親が自身の家族を蔑ろにしようとする、胸が締め付けられるシーン。私自身も容姿にコンプレックスがあり、美人に産まれてこなかったことを理由に虐げるなんて!と怒りが湧いてきました。しかし、これもまた物語を読み進めないと分からない部分があり…。
月日が経過し、女子高生だった彼女たちは成人し社会人となった頃。桜は結婚し、一人娘を出産。一見幸せそうな生活を過ごしているかと思いきや、不幸な事故により愛娘を亡くしてしまう。この比喩表現の"蝶"は、美しさや幸せの象徴としているのではないかと推測。そして、"朽ちたあの蛹"は自分自身。"下駄箱の中で朽ちた~"の部分は、高校時代の桜のパートで書かれていた文章に触れている。よって、ずっと憧れていた普通の幸せを手にしたにも関わらず、高校生だった時のまま呪縛に囚われている、桜の心情を表現したのではないか…と勝手に思っています。
私からすれば、流れるような美しい比喩表現だと感じました。
どんな読者に向いているか
・読書に時間を割けない方
・普段から本を読まない方
前述しましたが、結構重めです。主観ですが、ハッピーエンドではありませんでした。しかし、続きが気になってページを捲る手が止まらなくなり、ページ数も多くないので、サクッと読めます。忙しくて読書に時間を割けない!という方におススメできると思います。
一人称視点で、様々な視点から物語が進められます。専門用語であったり、難解な伏線や事件など出てきません。普段から本を読まない方にもおススメできます。『桐島、部活辞めるってよ』のような、青春小説が面白いと思ったのなら抵抗なく読めると思います。
まとめ
プロの作家さんの文章を読むたびに、自分の文章力のなさに打ちのめされます。上を見ればキリがなく、上手い方たちの作品を読むたび嫉妬してしまいます。
それでも、小説を書こうと思うのは、自分の表現したいことを書く。これに限りますね。
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