高円寺と水木さん

日曜日の高円寺。太郎を習い事の実験教室へ送ったのち、次郎を連れて2時間ほど彷徨う。
暑さのなか、ビールケースをひっくり返した卓と椅子に座って呑む人々。冷えたハイボール。今のわたしにとっては逃げ水のようなまぼろしの存在である。
西部古書会館、中はゆっくり覗けないため会場外の文庫本コーナーにて水木しげる「のんのんばあとオレ」(ちくま文庫)を購入した。
最近は、興味の向く先が子供ゆえに、自然と手に取る本も教育関係に偏りがちでバランスが悪い。と考えての水木さんセレクトであったが、読み始めると冒頭より「遊んでいるうちに、いろいろな興味をおぼえ、自分かってに遊びながら、将来に必要なことを勉強していたような気もします」とあり、学びについて究極の理想形を提示される。
水木さんの子供時代の回想で、語り口もやさしいのでいま同じ年代を生きる太郎に、寝る前に読み聞かせてみた。自分が読みたいものを、子に聞かせるのは愉しい。
太郎は「これはほんとう?」「ほんとうのはなしなの?」と何度も聞く。
目に見えないものに意識をやる。すると自分が見えているもののごくわずかなことに気がつくだろう。