鬼の手形とムカデ姫①
ここからは盛岡周辺で見てきたものについてとりあげる。
時系列としては、鬼越蒼前神社の写真撮影会(7日昼頃)を抜けてから翌朝のイベント開始まで。
■12:51 四十四田(しじゅうしだ)ダム■
岩手に来たからには、まず北上川を見ておきたい。
とはいえ、どこをどう見てよいのやら。
迷ったときはダムに行くがよいぞー よいぞー ←ダム神さまの声
わかりました(敬礼)!
そんなわけで四十四田ダムをめざした次第。
鬼越蒼前神社からの距離は、およそ10km。
北上川をせき止めて造られた五大ダムの四番手にして、本流に建設された唯一無二のダムである。
■12:58 南部片富士ものしり館■
それより、こんな記述が気になった。
「岩手県岩手町の御堂観音境内の湧水・弓弭(ゆはず)の泉を源泉とし」て云々、とある。
北上川の源泉は、観音さまの境内から湧き出ているだと?
調べてみると、弓弭の泉は自然公園内にあるらしい。
今回の旅程には入れられないが、いずれ行ってみよう。
こういう情報がほしかったんだ。……おや?
むー、しばし妄想。
これは、水に住む生きとし生けるもののゆーとぴあを求めて旅を続ける、三匹の少女の物語。
ロウ「おい、ネノン。北上川への道って、ホントにこっちで合ってるんだろうな?」
ネノン「えっとぉ。人間が造ったダムっていう建物をめざせって、長老さまがぁ」
ロウ「(ため息)ダムなんかどこにもありゃしないじゃないか。このまま見つけられなかったら」
サワ「干からびて全滅エンド。クマにかじられ非業の最期」
ロウ「え、縁起でもないこと言うなぁぁぁっ!!!」
たしかに縁起でもないぞ。先を急ごう。
ところでこの南部片富士ものしり館。
南部片富士といえば岩手山だが、ダムとどう関係しているのだろう。
坂道をのぼってみて、その答えがわかった。
富士に似た山容ながら、東側が欠けたように見えることから片富士の名がついた。
岩手のシンボル。岩手県民の誇り。最高の眺めだ。
■13:42 岩手県立博物館■
エントランスにあった木造兜跋毘沙門天立像(複製)。
本物は花巻市の三熊野(みくまの)神社・毘沙門堂に安置されている。
四天王の一人で北方の守護神。
武将の崇敬を集めたことから単体で祀られることも多く、七福神のメンバーにも抜擢。
ここで注目するべきは足元。
侍者(指が5本あり鬼ではないと思う)を踏みつけているわけではなく、侍者が両手で支えている。
左右にいるのは二鬼像(尼藍婆と毘藍婆)。
鬼が脇侍をつとめているのである。
やはり、岩手の仏さまは鬼に優しい。
この像を祀ったのは征夷大将軍・坂上田村麻呂。
鬼が朝廷に恭順しない者たち(まつろわぬ者)の象徴であったとしても、けっして踏みつけようとはせず、重要なポジションを与えて協力を求めることで懐柔しようとした。
こんなところからも坂上田村麻呂の人柄がうかがえるのである。
複製なのになんか見入っちゃうな。先に進もう。
いやあ面白かった。
かえすがえすも残念なのは企画展「ふしぎな縄文」だ。
[②では報恩寺羅漢堂、三ツ石神社、ムカデ姫の墓などを紹介]