イケ女ちゃん

恋愛小説とエッセイ書いてます。

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『あなたの価値はあなたが分かっていればいい』-短編エッセイ集-

はじめに: この本に出会ったあなたへ 失恋の痛みは、誰にも同じように訪れて、でも誰一人として同じようには癒えません。 この本には、56の小さな物語が綴られています。 誰かの別れ、誰かの痛み、誰かの再生。 でも、その「誰か」は、どこかでつながっている。 あなたの今日と。明日と。そしてその先と。 この56の物語が、きっとあなたの心に寄り添うお守りとなります。

¥980
    • 【短編恋愛エッセイ#4】『深夜二時の告白』

      深夜2時、送信ボタンを押す勇気が出ない。 「おやすみ」というたった4文字のメッセージなのに。 既読がつくのが怖いような、つかないのが寂しいような。 画面に映る自分の顔が少し切なく見えた。 昼間は普通に話せるのに、夜になると急に臆病になってしまう。 結局、文字を全て消して、スマホを枕元に置いた。 明日は、もう少し勇気を出せるかな。 夜空を見上げながら、そんなことを考えている自分が愛おしく思えた。 星空に願いを込めて、またスマホの画面を覗き込む。 この繰り返しが

      • 【短編恋愛小説#51】春の通知音

        ¥100
        • 【短編エッセイ#3】『投稿』

          カップル写真、デート報告だらけのストーリーズ。 デートスポットの位置情報付き投稿。 私もやっていた、SNSでの恋愛アピール。 「見て見て、私も幸せなの」 そんなメッセージを必死に発信していた。 いいね数が増えるたび、関係性を確認していた気がする。 スマートフォンを置いて、目の前の彼を見る。 楽しそうに話す表情も、少し眠そうな仕草も、 カメラには収まらない魅力がある。 写真を撮ろうとした手が、自然と止まる。 この瞬間は、SNSに載せるためのものじゃない。 二

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        『あなたの価値はあなたが分かっていればいい』-短編エッセイ集-

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          【短編エッセイ#2】『既読スルーの流儀』

          LINEの既読がつかない。 以前の私なら、スマートフォンを握りしめて一晩中待っていた。 「なんで返信してくれないの?」 「他の女性と会ってるの?」 「私、嫌われたのかな」 今の私は違う。 「今、返信がない理由は、たくさんある」 そう思えるようになった。 忙しいかもしれない。 休みたいのかもしれない。 返信するほどの内容じゃないと思ったのかもしれない。 スマートフォンを置いて、 積読だった本を開く。 夜風に当たりに散歩に出る。 友達とビデオ通話を楽しむ

          【短編エッセイ#2】『既読スルーの流儀』

          【短編エッセイ#1】『告白の答え方』

          「付き合ってください」 その言葉を聞いた時、 昔の私なら、すぐに答えていただろう。 誰かに好かれることが、こんなにも嬉しくて。 でも今は、ちゃんと考える時間をもらう。 「少し時間をいただけますか?」 その人のことを、本当に好きなのか。 その人と、どんな未来を描けるのか。 私の夢や目標と、両立できるのか。 答えを急がない強さ。 それは、自分を大切にする方法。

          【短編エッセイ#1】『告白の答え方』

          【短編恋愛小説#50】タバコに消えた恋

          「もう会えないと思う」 LINEの画面を見つめたまま、私は無意識のうちにタバコを取り出していた。 3ヶ月前、彼は私のタバコを取り上げた。「君の咳、酷くなってる」「一緒にいる時間が長くなったから、気になって」。心配そうな彼の顔が、今でも目に浮かぶ。 毎日のように言われた。「30歳過ぎたら、体に気を使わないと」「将来のことを考えて」「僕と一緒にいたいなら、禁煙して」。 その度に私は「考えとく」と濁していた。 タバコは、私の人生の伴侶だった。仕事で失敗した夜、締め切りに追

          【短編恋愛小説#50】タバコに消えた恋

          【短編恋愛小説#49】音楽の処方箋

          失恋した夜、真っ暗な部屋で私はSpotifyを開いた。 画面の明かりが顔を照らす。 「君と聴いた音楽」というプレイリストの名前を見つめながら、バックスペースキーを押す。 文字が一つずつ消えていく様子は、どこか儚かった。 深夜のコンビニでアイスを買い込むような衝動的な失恋ソング検索は、思いがけない発見をくれた。 切ない歌詞を探していたはずなのに、選んだ曲は意外にも明るいリズムを持っていた。指が自然とリピートボタンを押している。 この曲、どこか心地いい。 通勤電車の

          【短編恋愛小説#49】音楽の処方箋

          【短編恋愛小説#48】あの電車の窓から

          終電間際の山手線、内回り。 新宿駅のホームに佇んでいる。 この一年間、週に三回は必ず乗っていた電車。 彼の住む街まで会いに行くため、私は決まってこの時間の電車に乗っていた。 今夜は違う。誰にも会いに行かない。ただ、乗りたくなっただけ。 電車が到着し、いつもの座席に座る。 窓の外を流れていく夜景が、まるで万華鏡のように煌めいている。 ふと、この景色を見ながら胸を躍らせていた日々が、懐かしく思い出される。 スマートフォンの画面には、もう彼からのメッセージは届かない

          【短編恋愛小説#48】あの電車の窓から

          【短編恋愛小説#47】さよならの続き方

          真夜中のコンビニで、アイスクリームを片手に立ち尽くしていた日のことを、今でも鮮明に覚えている。 レジの前で、思わず「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた店員さんの優しさが、余計に涙を誘った夜。 あれから、四ヶ月が過ぎた。 失恋直後の私の口癖は、「大好きな人に愛されることが、私の幸せだった」。 今思えば、ずいぶんと狭い幸せの定義だったように思う。 愛することも、愛されることも、確かに素晴らしい。 でも、それだけが人生の全てじゃなかった。 気づきは、ふとした瞬間に訪れ

          【短編恋愛小説#47】さよならの続き方

          【短編恋愛小説#46】恋の棚卸し

          段ボール箱を開けたら、まさかこんなものが出てくるとは思わなかった。 彼と一緒に撮ったプリクラ。 映画のパンフレット。 お揃いで買ったマグカップ。 そして、なぜか無駄に多い文房具の数々。 引っ越しって、こんなにも過去と向き合う作業だったっけ。 失恋から三ヶ月。 気分転換にと始めた部屋の大掃除が、いつの間にか本格的な「人生の棚卸し」になっていた。 友達は「それ、引っ越しじゃなくて、失恋掃除だね」と笑う。 確かに。今、私は恋の引っ越し真っ只中なのかもしれない。

          【短編恋愛小説#46】恋の棚卸し

          【短編恋愛小説#46】コーヒーの味は変わった

          「お客様、アイスコーヒー、おまちどうさまでした」 カウンターに置かれたグラスから、氷のキラキラした音が響く。 以前の私なら、ここでシロップを入れただろう。 彼が「甘いコーヒーは邪道だよ」と言うから、少しずつブラックに挑戦していた日々が、つい昨日のことのように思い出される。 でも今日は、迷わずブラックを選んだ。 あれから半年。 失恋して初めて気づいたことがある。 私は本当は、ブラックコーヒーが好きだったのかもしれない。 苦みの中に感じる微かな甘み。香りと共に広が

          【短編恋愛小説#46】コーヒーの味は変わった

          【短編恋愛小説#45】半分になったチケット

          私の机の引き出しの中に、今でも彼からもらった映画のチケットの半券が一枚眠っている。 もう二年前のものだ。 時々、掃除をしながらその存在を思い出しては「捨てなきゃな」と考えるのだけれど、いつも結局そのままにしてしまう。 不思議なものだ。 あれほど辛かった失恋の痛みも、今ではどこか懐かしい思い出のような気がしてくる。 当時は、まるで世界が終わったかのように感じた。 でも、世界は確かに終わらなかった。 むしろ、新しい世界の扉が開いたのかもしれない。 あの日、最後に会

          【短編恋愛小説#45】半分になったチケット

          【短編恋愛小説#44】一目惚れ

          「この人、素敵」 深夜二時、スマホの画面を見つめたまま、私は動けなくなっていた。 友達の友達の投稿に「いいね」をつけた人のプロフィール。 たったそれだけなのに、心臓が早鐘を打っている。 写真は一枚だけ。 古い本屋の前で、片手に積み上げた古書を抱えている。 セピア調のフィルターがかかっていて、まるで誰かの思い出みたいだ。 プロフィールには「日常の物語を探しています」という一行と、フォロワー143人という数字。 スクロールする指が震える。 投稿は少なめ。 でも

          【短編恋愛小説#44】一目惚れ

          【短編恋愛小説#43】染み跡の在り処

          机の上で、青いインクが零れている。 「ごめん、拭くの手伝おうか」 「ううん、大丈夫」 彼の声に、思わず顔を上げる。 そうか、まだ普通に話せるんだ。 知らない誰かみたいに、優しく。 「岡田くん、今日の部活は?」 クラスの誰かが声をかける。 「水泳部、地区大会の練習」 ああ、彼の背中から水の匂いを思い出す。 去年の文化祭、一緒にポスターを描いた時も、こんな匂いがした。 インクの染みは、消えない。 木目に沿って、じわじわと広がっていく。 まるで、私の中の青

          【短編恋愛小説#43】染み跡の在り処

          【短編恋愛小説#42】十七歳の習作

          水たまりに映る空が、濁っている。 「もう帰ろう」 春の雨は冷たい。 それなのに、私は動けなかった。 世界には、言葉にならない瞬間がある。 想いが消える音。心が割れる感触。 そして、終わりが始まる時間。 「好きな人がいるの」 ただそれだけの言葉なのに、なぜこんなにも重いのだろう。 遠くで誰かが傘を閉じる音がした。 カサ、という乾いた音。 私の中で、何かが途切れる音に似ていた。 「ねぇ」 親友の声が、雨音に紛れる。 「今日は、泣いていいよ」 首

          【短編恋愛小説#42】十七歳の習作