見出し画像

第7回 私の東大受験(仮面浪人 春休み編)

仮面浪人体験記(直前期 2023.1〜2023.2)

1月末に早稲田での最後の期末試験(線形代数)を終え、早稲田理工でやるべきことは全て終えた。そして約1ヶ月、自由に使える時間が与えられた。ここで本気で勉強しなかったら間違いなく一生後悔すると分かっていた。

英語はZ会の教材や過去問で練習していた。英語圏帰国子女だったのでここで落としてたまるかというプライドもあり、最低限やるべきことはやっていた。

数学は予備校が出している予想問題や模試の過去問で練習していた。過去問(27ヵ年)と現役の時通っていた塾のプリントを復習して、全ての分野に触れるようにした。あの先生にも質問や答案の添削をお願いした。この1年で、図形的に考察する力や、煩雑な計算でも最後まで正確にやり抜く処理力が上がったと振り返る。セット演習でも40点(当時の自分が決めた最低ライン)を下回ることは稀になった。

現代文、古典は過去問の復習をひたすらやった。どちらも現役の時通っていた塾のプリントを活用していた。現代文では最低限含めるべき要素は落とさないようになった(気がする)し、古典も知識の充実を徹底して現代語訳は落とさなくなった(気がする)。仮面浪人して意外と実力が上がった科目だったと振り返る。

物理と化学は過去問演習と知識の確認の繰り返しだった。過去問は通しだと2005年くらいまで遡った。物理だと電磁気への苦手意識がいつしか薄れ、化学も有機は27ヵ年全て解いて得意にできた(気がする)。どちらの科目も、なぜその法則が使えるのか、どういう現象を扱っているのかなどを意識して、理解が曖昧なところはなくすようにした。この科目は質問できる人がいなかったので参考書やYouTube、ネットの記事で調べまくった。割と楽しかったし、モチベーションになっていた。

2度目の東大2次試験(2023.2.25〜2023.2.26)

Z会の応援LINEからの応援メッセージを読んだり、もう一度土俵に立てる機会が与えられた幸せ、泣いても笑ってもこれで本当に最後ということを自分に言い聞かせたりしながら、本郷キャンパスへ向かった。

1日目は国語は普段通りできた気がするが、数学が難しく、手応えは良くなかった。自分が出来るところは全てやったので後悔はなかったし、数学があまりできなくても合格できるようにこの1年勉強していたが、それでも落ち込んだ。1日目の夜は胸が苦しかった記憶がある。

それでもこれで最後ということを思い出し、気を取り直して2日目をむかえた。ところが理科も難しく、後味は良くなかった。最後の英語は、完璧ではないが普段通り乗り切った。

こうして私の東大受験は終わった。受験での後悔を晴らすという意味では、結果によらずこの仮面浪人は成功と言って良いのではないかと思った。とはいえ、「なんとか受かっていてくれないかな」と帰りの電車で切実に思っていた。

合格発表までの間、解放感とかはなく、もう自分にやれることはないと感じさせられていた。この期間が一番辛かった。

終わりに

結果、合格して今は駒場にいるわけであるが、ここまで読んでくれた受験生に向けて僭越ながらメッセージ的なものを残しておきたいと思う。

大学受験を素晴らしいものと称え、その結果のみで人を評価しようとする大人、あるいは実情を知らずに日本の大学受験の制度を無責任に批判する大人、私はどちらも間違っていると思う。

大学入試は所詮は選抜試験であり、あまり美化するべきものではないと思う。選抜試験である以上、それまでどれほどの努力をしたとしても、本番で合格者最低点に達しなかったら落ちるのは当然である。これが分かっていれば、不合格者が「努力できなかった人間」であると断言できるはずがない。浪人生の方も、自分が浪人生であることを恥じる必要は全くない。

一発勝負も悪いことばかりではない。1回しかないからこそ、どんな問題が出ても良いように確固たる学力を追求するようになる。そしてその1回で結果を出せなかったら、その責任は自分自身にある。だから思い描いた結果にならなくても、人事を尽くしていたら納得できるはずである。これは受験に限らずどんなことにも言えるのではないだろうか。

今、再び大学入試制度が変わりつつあり、不安に思うこともあるだろう。私の世代も、共通テストの大幅難化に振り回された。しかし残念ながら、受験生はそれに従う以外の選択肢が与えられない。本当に志望大学に受かりたいのなら、何があっても合格できる程度の学力を身につけるしかない。

受験勉強に意味がないと思われるかもしれないが、そんなことはないと思う。大学の勉強(私はまだ前期課程しか経験していないが)は高校の勉強より遥かに難しい。特に理系は、高校の内容を知らないと話にならないことも多い。授業に出るだけで分かるなんてことは少ないと思う。自分で勉強しなければならず、この時、受験勉強の過程で身につけた忍耐強さや基礎知識が助けになるのではないか。

何より、自分の描いた夢の実現のため一心不乱に努力する人間は魅力的ではないか。「受験が全てではない」と言う大人も少なくないが、今のあなたにとっての夢がその大学に入ることならば、それが今のあなたの全てと言っていいと私は思う。

参考:私の東大2次試験の得点(2023年度)
国語 49
数学 41
物理 28
化学 26
英語 92
2次試験合計点 236

ちなみに入学後に入試の点数の話で盛り上がることもあると思いますが、あまり本気にしない方が良いです。合格すれば良いのです。

ここまで読んでくれてありがとうございました。応援しています。

いいなと思ったら応援しよう!