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#22 ビオトープ池の調査活動紹介 カエル調査編

こんにちは!
OPEN AIR LAB学芸員の松本です。

OPEN AIR LABでは学内にあるビオトープ池を使って、定期的にカエル調査と水生昆虫調査を実施しています。この活動は、長年ビオトープ池の調査・管理を行っていたビオトープ研究部が担っていましたが、2020年にコロナ禍の影響で廃部となってしまいました。そのため、2021年からはOPEN AIR LABが調査を引き継いで実施しています。
今回はこの2つの調査の内、カエル調査についてご紹介したいと思います。

▼ビオトープ池とは

調査方法 

この調査は毎月第2火曜日と第4火曜日の夜19時から実施しています。
私と有志の学生たちで45分間ビオトープ池でカエルがいないか探します。カエルを見つけた場合はすぐに、捕獲して専用の袋に入れて保管します。池が濁ってしまうと、カエルが見つけにくくなるので、網も持っていきますが極力、素手で捕獲するのがポイントです(やってみると分かりますが、網を使うとすぐに池が濁る)。調査時間終了後には、捕獲したカエルを一時的に持ち帰り、種類や性別の確認、体長、体重の測定を行い池に逃がします。

夜なのでライトを使ってカエルを探す

調査で見られるカエル

OPEN AIR LABでは2021年から現在まで調査を実施していますが、毎年4~6種類のカエルが確認されています。この内、必ず毎年見られるのが、ヤマアカガエル、アズマヒキガエル、シュレーゲルアオガエル、モリアオガエルの4種類で、ツチガエルとトノサマガエルの2種は見られる年と見られない年があります。毎年見られる4種については、毎年産卵まで確認できます。一方でツチガエルとトノサマガエルは鳴き声を聞くことはありますが、産卵までは確認できていません。

毎年確認できる4種類
確認できる年とできない年のある2種類

出現する時期

ビオトープ池に来るカエルは、池にずっといるわけではありません。繁殖の時期にやって来て、繁殖を終えるといなくなってしまいます(たまに関係ない時期にもいます)。例えば、2023年度のカエルの出現状況は以下の通りです。

調査結果:2024年度の月別のカエルの捕獲数

確認数は、月に2回実施する調査の合計です

ヤマアカガエルは2~3月にシュレーゲルアオガエルは4~5月にモリアオガエルは5~7月にビオトープ池にいることが分かります。この時期が彼らの繁殖期です。この時期にビオトープ池に行くと彼らの鳴き声を聞くことができます。※カエルの繁殖期は地域や環境によって異なるため、上記の繁殖期は「ビオトープ池での繁殖期」を示しています。

上述で繁殖しているというアズマヒキガエルの繁殖期はいつなのでしょうか?調査結果を見ると10月に少し確認されているようですが…?

ビオトープ池におけるアズマヒキガエルの繁殖期は例年3月下旬から4月上旬ごろです。調査結果に反映されていないのは、アズマヒキガエルの繁殖期が短いためです。アズマヒキガエルの繁殖時は一斉に池に集まり、数日したら一斉に池からいなくなります。カエル調査は月に2回実施していますが、年によっては調査と調査の間に繁殖期が終わってしまうことがあります。実際、調査日以外にも池を観察すると、例えば2024年3月31日には木池に15頭、石池に6頭のアズマヒキガエルがおり、池に集まっていることが分かります。

おわりに

カエル調査について、昨年の結果を交えながら紹介しました。この調査を続けていると、「そろそろヤマアカガエルの季節が来るな」とか「もう、モリアオガエルの鳴き声が聞こえる」など、カエルで季節を感じることができるようになります。ぜひ、カエルに興味のある学生は参加してみてください。大歓迎です。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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