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山にもらったこと 「叫ばずにいられなかった頂き」 〜聖岳編〜
名前に惹かれました。
登ったのは2018年、今からすれば
世界になんの陰りもない、夏でした。
南アルプスの山々は、登山の厳しさの前に、
登山口にたどり着くまでも、一苦労。
聖岳の場合、東京からは夜行バスで静岡県の畑薙ダムへ、続いて地元観光会社の小型バスで林道を1時間近く揺られて、ようやく聖沢登山口に到着。
そこから山頂まで、合計約10時間の山行が始まります。
歩き始めると、やがて気になる看板が現れて・・
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聖岳のちょうど7合目あたりに、宿泊地となる聖平小屋があるのですが、
登山道にはこうして、「聖平小屋まで2/7合目」「3/7合目」と、到着までの道を励ます看板が立てられているんです。
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小屋に着くと、本家「南アルプス天然水」に冷やされたリンゴが迎えてくれて(有料ですが^^;)
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振り返れば、今来た難路を優しく包む夕焼けが。
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「これだからやめられない」と、山にヤられるひとときです。
翌早朝、頂きへ。
3000m級の山の多くは、7合目あたりから
這い松などの高山植物と岩稜帯の様相になってくるのですが、聖岳は7合目から再び、ジブリの森が始まリます。
標高2200mを超える地に広がるその風景は、幻想的すぎて・・
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ほどなくして森を抜け、富士山を横目で拝みながら登っていくと
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やがて高山らしい岩場の道が続きだし・・
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頂上です!
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実はこの山に登るちょうど2週間前に、父が亡くなっていて。
四十九日も終わらないのに、山に行っていいのか?と、躊躇もあったのだけれど、天上に行く途中の父が、3000m超えたあたりをまだ散歩してるんじゃないか?だったら見送りに行こう、と思い立ち、山行を決めたのでした。
「お父さん、ありがとう!」
思わず叫んでしまった私。驚く友。と、その他登山者さんたち。苦笑
その節は一瞬おさがわせしてしまい、たいへん失礼しました。^^;
頂上を越え、さらに奥聖岳へ向かって。
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奥聖頂上直下の道は、チングルマの群生地らしく、
すでにピンクの綿毛になったチングルマが、そこここに広がっていました。
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あの白い小さな花が満開の季節は、どんなに美しんだろう・・
その風景を妄想し、またいつか、満開のチングルマ畑を見に!と想いを馳せながら、聖岳の旅を後にしたのでした。
@2018/8/14-16