『エンタイア』という言葉をご存知だろうか。もともとは郵便用語で、切手などが貼られている、使用済みのハガキや封筒のことである。紙モノの古物を蒐集する人々の間でも使われている用語で、オークションサイトなどでも『戦前 絵葉書 エンタイア』などと書かれて出品されているのをしばしば見かける。 『未使用のものならともかく、使用済みのハガキなんて買ってどうするんだ?』と思われる諸兄もいるかもしれないが、世の中には使用済みの方が価値が出るものがある。例えば貴重な切手や消印が残っているハガキ
1、古本市で絵ハガキを購入する 古本市で一枚の絵ハガキを見つけた。正面から撮影された、昔の女性のポートレイトである。葉書の下部には『乃木大将夫人』と記載されていた。 日本史に疎い自分でも、乃木大将の名前くらいは知っている。歴史的有名人なのだから、大将本人が絵葉書になっていても何の不思議もないが、その奥方まで絵葉書になっているとは! と、少し驚いた。葉書は未使用で状態もよく、価格は200円。『中古の絵葉書一枚が200円とは高すぎる!』と思うか、『ヴィンテージで状態の良い絵