泣ける幼年文学とブックガイド。
こんにちは。 絵本ライフスタイリストのうたむらあかねです。
幼年文学は新しいものがどんどん出版されていますが、絵本に比べると楽しめる時期が短期間なので、なるべく良いものを集中的に読んであげたいものです。
そこで指南役になるブックガイドをご紹介したいと思います。
一例ですが、1990年代私が使っていたのがこちら。
「私たちの選んだ子どもの本」(東京子ども図書館)
「子どもと楽しむはじめての文学」(棚橋美代子/著 幼年文学選書の会/編)
内容的には古くなっている印象はありますが、良書は古いものが多いので手に入れば今でも充分使えます(「私たちが選んだ子ども本」は只今品切れになっているようです)。
そして幼年文学に特化した内容で最近出版されたものがこちら。
2019年6月に出版。読み聞かせからひとり読みへの移行期に読んでもらいたい200冊を網羅しています。
「私たちが選んだ子どもの本」に代わるものとして同じ東京子ども図書館よりこちらが刊行されました。
何冊ものブックガイドは必要ありませんが好みのものを傍らに置いて、それを指南役に楽しみながら選んでいくといいと思います。
さて。本日の表題の「泣ける幼年文学」についてですが。
ふたりの息子たちに読み聞かせている最中、彼らが涙をぽろぽろこぼして泣いた作品があるのでその中から2冊を紹介したいと思います。
何が琴線にふれるかは子どもによって違いますから、あくまで個人的なトピックスということで。
最初は「ふとんかいすいよく」。
こちらは1977年初版という古い本です。長男にこの本を読み聞かせていたら終盤で突然泣き出し。「ええっ?どうした?」と訊けば、「こんなパパがほしい~っ!」って。
中耳炎でプールに入れなくなった少年のお父さんが、息子のために二人で海水パンツに着替え布団をプールにみたてて猛練習をするっていう。なんともほのぼのとしたおはなし。お父さんのなりきりっぷりがすごい。少年のこころを持った素敵なお父さん。
当時の夫は超多忙で、息子たちと遊ぶ時間が少なかった。そんなことがあって(本の中で存分に遊んでくれるパパを知り)切なくなったんでしょうね。うんうん、よくわかる。
「ふとんかいすいよく」(山下明生/作 渡辺洋二/絵 あかね書房)
もう一冊はこちら。
次男が身をよじって悲しそうに泣いた「パディの黄金のつぼ」。
「パディの黄金のつぼ」(ディック・キング=スミス/作 デヴィッド・パーキンス/絵 三村美智子/訳 岩波書店)
ご覧の通りの地味な表紙。赤毛のちょっと変なおじさんはちっとも可愛くないし。
図書館や書店に置いてあっても(たぶん)手に取る子は皆無かも…ですが、これが名作でした。
174歳の老妖精と8歳の少女ブリジットの、出会いと友情と別れの物語。アイルランド人が昔から信じているレプラコーンのおはなしです。
当時7歳だった次男にこれを読み聞かせた時、物語の最後で次男の頬にゆっくりと涙が伝い落ちるのを見ました。「感動してる!」と、感動する次男を見て私も感動。
幼年文学には不思議な力があります。絵がほとんどないので、物語の力に舵をまかせて、子どもの想像力の風を孕み、どこまでも大海原を進んでいくことが出来ます。
旬の短い幼年文学。
旬を逃さず、美味しい季節に…ぜひ。
では、また。
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