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ヒフミ
小学校1年2年のときの担任は帰還兵だった。
教育委員会かPTAかからにらまれていた彼は、1年2年の担任しか持たせてもらえなかった。音楽図工を専門教員が教える3年次以降と違い、すべての教科を教えなければならない。
教室のリードオルガンをふごふご鳴らしながら唱歌を教える。
♪トホホ ヘニニ ハニホヘトトト♪
ドレミファは移動ド唱法で使うから、とかそういうことでなしに彼のアタマのなかではそれしか音階を表すすべはない。外でピアノを習っていた子なども多かったろうが、「それはそういうものだ」との暗黙の了解があって、だれもこの先生に文句をいったりはしなかった。
さらには「ヒフミ唱法」なるものがあることを、今日読んでいた本で知る。
CDEに1(ヒ)2(フ)3(ミ)と割りつけていくものであるらしい。
くだんのおじいさん先生「ハニホはまだ新しいほうなんだ。もっと旧い人は…」このあとが小学1年生の自分らには意味不明だったのだが、どうやらヒフミ唱法のことだったらしいと半世紀近くのちの世にしる、不肖の教え子なり。