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ブロスタレビュー

本作は、最大10人での同時プレイに対応した、短時間でアーケードゲームのような触感が得られるマップ見下ろし型のシューティングゲームである。
3等身でありつつも抜かりなく作り込まれた60種以上のキャラクターが特筆すべき魅力であり、それぞれHP、移動速度、攻撃形式、リロード速度、射程、必殺技がバランス良く事細かに設定されているため、視覚的にもゲーム的にも各キャラクターの個性が非常に丁寧に表現されている。
ゲームルールが主立った物に絞っても“バトルロイヤル“、“エメラルドハント“、“ブロストライカー“など複数あるため後述するが、各操作に関してはルールに関係無く共通しており、スティック的な操作パネルで移動、攻撃を行い、相手の動向を予測して行う手動射撃(エイム)と入力時の相手の位置を参照する(外れる可能性がある)自動射撃(オートエイム)を使い分けて相手を攻撃し、相手のHPを削り切ることで相手を撃破することができる。
攻撃が命中するとポイントが貯まり、一定に達すると必殺技(必殺では無いが)を放つことができる。

“バトルロイヤル“
段々と縮小するマップ内で10人のキャラクターが戦闘し、最後に残った1組が勝者となる。
潜伏からの漁夫の利が主戦術になり得るルールだが、マップを探索したり、敵を撃破することによって得られる強化アイテムの存在により、何もせずに隠れていると終盤になってマップ内での居場所が無くなり、強化された敵によって駆逐されてしまうために、それを忌避して大体のキャラクターが程々に動き回る作りになっている。

“エメラルドハント“
マップの中心から湧き出すエメラルドを3対3で奪い合い、一方がエメラルドを10個獲得することでカウントダウンが開始し、エメラルドの個数を維持してカウントダウンを終えることでそのチームが勝者となる。
エメラルドは先述の強化アイテムのようなものであり、触れることで獲得、撃破されることでマップに落としてしまうため、カウントダウン中に相手を倒し、相手が保持するエメラルドの数が10個を下回らせることができればカウントダウンを中断させることができる。
敗北までの猶予が多々あり、プレイヤーを諦めさせないようにはなっているものの、チームワークがものを言う為に打ち合わせ無く協力しているプレイヤーそれぞれの性格が噛み合わなければ士気が削がれ、プレイヤーが試合放棄してしまう場合も少なくない。

“ブロストライカー“
エメラルドハントとサッカーを混ぜたゲーム性で、相手チームのゴールポストにマップ中心に置かれたサッカーボールを仲間と3人で協力して最大2回運び込めば勝者となる。
最大2回としたのはこのルールには制限時間もあり、1回でも相手のゴールポストにボールを運び込んで後はタイムアップまで守り切ると言った戦法でも勝利できるためである。
ボールはエメラルドと同じ仕様をもっており、加えてボールを保持している状態で攻撃することでボールを蹴ることができる。
ボールが壁や障害物に当たるとピンボールゲームのように反射する性質を持っていたり、攻撃の代わりに必殺技を行うことでボールを高速且つ長射程で蹴ることができるなど、サッカーとしてもブロスタの1ゲームルールとしても特殊な部分が勝敗を左右する。
また、ブロスタのキャラクターの中には必殺技で障害物を破壊できるものがいたり(その分HPが低いなどのネックが存在する)、タイムアップ時点で同点であれば障害物が全て破壊されサドンデス状態になるのも要点である。
パスやシュートなどの要素からエメラルドよりも更にチームワークが要求される性質であるため、このルールにおいてもエメラルドハント同様試合放棄が見られ、加えてボールを味方ゴールポスト近くで保持、待機して敵にパスするなどの行為に走る悪質なプレイヤーも見られる。
オウンゴールこそできないようになっているものの、そういった悪質なプレイヤーを排することが根本的に難しいのは本作における数少ない欠点である。
逆に、意欲に満ちたプレイヤー同士での連携プレイは白熱とし、それによって得た勝利は爽快感そのものである。

もう1つの欠点として、2ヶ月程のスパンで追加される新キャラクターによってゲームがよく破綻に瀕することが挙げられる。
私はこの問題を運営が予測し切れなかった戦術が発生するなどではなく、基礎のステータスが破格であったり、プレイヤーのそのキャラクターに対する習熟の浅さに対して導入の深度が見合っていないことが最たる要因であると考える。
またこの問題の補足として、プレイヤー同士のマッチングの際に参照されるトロフィーが挙げられる。
このトロフィーはキャラクター毎に別途カウントされ、敗者は失い勝者は得る(バトルロイヤルなら上位数人)仕組みになっていて、トロフィーが高いほどよりこのゲームにおいて強いことの証明になり、より強いプレイヤーと対戦することができる。
これらを総合して、破滅的なキャラクターを登場直後に使用することでトロフィーが上げやすくなるものの、アップデートで弱体化を受けることで結局は相応に収束すると言える。
何が言いたいのかと言うと、この純白における黒点の如き破綻はこのゲームのパワーバランスの整合性の証左でもある。
基本無料の継続的拡張、運営が求められるものの、このゲームは課金しなくても順々にキャラクターが解放され、十分に遊べすぎてしまう。
キャラクターの強化要素や購入オプション、魅力的なスキン商品などはこのゲームを構成する大きな要素ではあるが、親切設計により資金繰りに行き詰まり、意図的に破綻を起こすことにより新キャラクターに対する購買意欲を煽っているのではと私の中で陰謀論が起きるほどに、このゲームは素晴らしいのだ……
とは言ったものの、大手の会社が運営を行っているため経営破綻やそれに付随した向こう数年以内のサービス終了などは心配無用である。

私情が混入したが、最後にキャラクターの強化要素について説明する。
キャラクターにはそれぞれパワーレベルがあり、これを上げるほどHPと攻撃力が上昇し、一定レベルになるとキャラクターそれぞれに用意された能動的に発動させるガジェット、自動的に発動するスターパワー、ステータスを補助するギアなどのカスタマイズ要素が開放される。
……だが!いくら強化しても腕前が伴わなければ全然勝てないのがこれまた素晴らしいのだ!!
ブロスタの正式名称はブロウルスターズ、ブロウルとは乱闘という意味である。
私は下手くそなのでは乱闘で勝ち抜けない!
だがこのゲームは──素晴らしい!!

──総評
1回の対戦がどんなに長くても5分以内に終わるためカジュアルなプレイスタイルが似合うものの、手軽さ故の中毒性も侮れない。
文中にて素晴らしいを連呼したものの、その中毒性に身を委ねてみるとトロフィーが上がっては同じだけ下がるという“沼“を経験することになると思う。
トロフィーの数が増えるほどトロフィーが得にくく失いやすくなっていく仕様のため生まれるその沼は苦しく、続ければ続けるほど疲弊しどんどん勝てなくなっていく。
実際にはゲームに本気になってはいけないと考えでもして休んだり、勝ちたいのなら落ち着いてよくよく考えるべきではあるのだが、私はアクションゲームで戦略を練ることを嫌いながら敗戦し続けるという最も愚かな泥沼に浸かってしまったことがある。
その状態でも工夫の凝らされた手触りの良さから何度もアプリを開いてしまうからブロスタは恐ろしい。
また、このゲームは粗細の偏りが激しく、完成している面と非常に未熟な面が混在している。
キャラクターに関するアンロック、強化方式などは初期に対して根本的な変更が加えられており、今後も素晴らしさと同時に歯痒さを感じることと思う。
また、相手の攻撃を凌ぐスキルがなければ敗北に一直線に進んでいく必殺技の仕組みは常にプレイヤーに相手を上回るようなスキルを要求するため1度の対戦を短いながらも濃密なものとしているが、チーム戦においてはそのプレッシャーがざっくり3人分になるため、それが過度なストレスになっており、ゲームデザインによるそのストレスがチームワークの乱れを誘発するような悪循環に及んでしまっている。
この際だからと書くが回線が悪いだの煽りがうざいだのそういうどうしようもない残念なポイントはやはり対戦ゲーム故に存在するものの、やはりこのゲームは素晴らしいと私は言いたい。
最後に差し出がましいことを言うが本文をここまで読んだ貴方は、絶対にブロスタを遊ぶべきだ。
貴方に合っても合わなくても、その体験はきっと悪いものでは無い筈だ。
楽しければ、是非、友達と集まって一緒にブロストライカーをしてみてほしい。

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