「理容室」
髪を切りに出かける
いつもの理容室
担当が移動になったが
ついていかない
はじめて会ったのは
随分まえで、金髪にちかい
髪型で、随分フアンキーな
理容担当だと思ったが
腕はたしか、だつた
学歴の話になり
奥せず、中卒だと
言い切る言葉に凄みを感じた
柔らかい感じではなかつたが
嫌味はなかった
小柄で気難しい感じが
だんだん丸くなつたが
部下には厳しい感じはした
博学で
多弁ではないが、いろんな
事を教わった
旅の話がとてもたのしくて
ニューヨークのレストランなど
海に潜るのが好きで
その話も面白かった
独身で、独立も考えてないと
いう時だけ、すこし寂しそうに
呟いてた
すこし料金が高めなのは
いいが繁華街の位置がなぜか
気になっていかなくなった
担当のかつての部下
店長になってた
顔が引き締まっていた
時間になり腰をおろす
鏡に見入る
縦長の大きなやつだ
自分のかおをしげしげ見入る
じっーと、しばらく
ただ、見てる
年齢をかさねて髪に白いものが
いつの間にか混ざってる
なんで
疲れてるなあ
全然、若いころと違う
でも、何とかやってる
理容室はなんかいつも
リセットというか考えさせられる
不必要に、話しかけられないのが
いい
自分の顔をじっーと、見つめるのは
玄関の鏡でもなく
バスルームの横長の鏡も
たまに見ますが
理容室では、観察します
こうして
いつまで来れるのか
自分のかおをじっーと見つめてる
これからどーする
老後のことを考えてるのか
お金あまり、貯められないなあ
やりたい事もまだ、これからだなあ
やめれない
仕事です
若い頃なんか
ジャンプして、毎日
飛び跳ねて、転げまわって
不安なんかなかったのに
女性も来てる
顔剃りやうなじや背中の
毛を剃るのだという
化粧のりが違うから
女性スタッフが対応してる
店長は高卒からずつーと
専門学校でて、この店で
下積みして、毎日のように
早出して、先輩から扱かれて
教わって、ようやく店長
結婚もしたが独立は考えてない
いまは、丁寧なしごとだけ
心がけて、場所柄
百貨店やホテル関係や
ビジネスマンが多いという
ラジオは流れてない
しずかな、ほんのすこし
BGM