バス停で待つ
バス停でバスを待っていると、二人に声をかけられた。
一人目は90歳の誕生日だというお爺さん。近くまで膝の痛みに気をつけながら散歩しているのだそう。見知らぬ人だが、簡単にお祝いの言葉伝えると、お兄さんは仕事頑張ったんだね、顔に書いてるよと笑顔で話してくれた。人生は短いから、しっかり働いてしっかり楽しんでなって、足を庇いながらどこへと知れず去っていきました。
二人目は30代前後の女性。いきなり近づいてきて私に祈らせてくださいと言う。訝しげに女性を見たら、目にたっぷり涙を湛えて、今にも溢れそう。バスが来るまで、1分切っていたが、仕方なく祈ってもらった。悲しそうな顔が一瞬綻び、何かを唱えながら懸命に祈っていた。
西の空がやけに染まっていて、車の行き来が激しかった。女性が祈っている間にバス停にバスが停まって、扉が開いて、クラクション鳴らして去っていった。私は途方に暮れて、歩いて帰ることを考えていた。女性はひときしり熱心に祈った後、きっとあなたは長生きすることでしょう。内臓が強くて、年取るごとにいい具合に芯が強いブレない人になります、ありがとうと笑顔を残して去っていきました。
私はゆらゆら歩きながらとろとろ帰った。