#40 大岡山の坂道を歩く
やっと秋に突入しましたが、まだ雨の日が多いですね☔️
雨の日に坂道を歩くと、雨水が川のように流れていく様子を見るのが好きです!
大岡山は名前の通り起伏が激しく、急なものから緩やかなものまで坂道が多いです。大岡山の大切な場所にも坂道が含まれていることから、大岡山特有の地形を誇りに思う方も多いのではないでしょうか。
そこで、私は大岡山をもっと知るために大岡山・北千束エリアのありとあらゆる坂道を歩いてみました🚶
今回は名前のある坂の由来や、傾斜が大きい坂、そして個人的に景色が好きな坂をまとめて紹介します!
名前のある坂
坂道が多い大岡山ですが、名前のついてある坂は数箇所しかありません。今回はその中でも坂の標識が立ってあるものを紹介します。
鉄飛坂
鉄飛坂は、大岡山と平町の境目にある坂で呑川に向かって降っています。戦前の古地図を見るとこの辺りは「鐡飛」という小字だったことが確認できるように、昔から地名としても定着していた歴史のある坂なのですね🧐
鉄飛(てっぴ)という名前が印象的ですが、名前の由来を調べてみると3つの仮説がありました。
頂上という意味の「てっぺん」が訛って「てっぴ」になった
ポルトガル人のテッピョウスが周辺に住んでいた
鉄砲鍛冶が周辺にいた
テッピョウス説も面白いですが、鉄飛坂の頂上は他の坂も合流していると歩きながら気づいたので、筆者は①のてっぺん説が有力だと思います🕵️
鶯坂
大岡山2丁目にある鶯坂は、鉄飛坂と同様、呑川が作った谷の坂です。急勾配で、長さもあるので歩くのにはひと苦労です💦
鶯坂の由来は名前通り、鶯がよく訪れていたからだそうです🐤この坂は尾根を開削した切り通しであり、両側に竹や杉が残っていたため鶯の通り道になっていました。
現在の姿では昔の山の名残はないのですが、歩いてみると坂の下が異様に平坦であると感じました!これは開削の痕跡なのでしょうか、、、?
神明坂
神明坂は東工大の大岡山南地区の境界を通る坂です。名前から分かるように近くにある石川神社につながる坂で、村の鎮守の神明社(今の石川神社)が近くにあったことが由来だそうです⛩️
住宅街と東工大の間を通る坂から石川神社に入るとどこか神秘的に感じます
石川台エリアも呑川に近いことから坂が多いですね🪨石川台の他の坂と合わせて歩きたい場所の1つです。
稲荷坂(石川台)
神明坂のすぐ南には石川町上の台公園があります。公園の高台は富士山スポットとしても知られていますよね🗻その高台に登る坂が稲荷坂です!
稲荷坂の由来は名前通り坂の南側に稲荷社があったからです。現在はもうその名残は残っておらず、名前だけが残っています🦊
もともと稲荷坂は洗足池の脇から九品仏に通じた古い道の一部だったそうです!東工大の設立に伴いこの道は無くなったそうですが、東工大の石川台キャンパスには出穂山稲荷があることから、この2つの稲荷を通る道があったのではないかと思います🕵️坂の歴史にも東工大が関わっているのですね
稲荷坂(北千束)
北千束駅のすぐ近く、赤松小の前の通りの坂が稲荷坂です。この稲荷坂も、大正時代にはもう稲荷社はなかったそうで、現在は名前だけが残っています。
この坂は洗足流れ・洗足池につながる狢窪(むじなくぼ)という湧水によって形作られた地形です🦡今はもう水が流れていない狢窪ですが、ダイダラボッチという巨人の左足が降り立ってできたという言い伝えが大岡山にはあります!
ダイダラボッチ伝説など、大岡山・北千束に伝わる伝説についてはまた次のnoteで紹介します📗
洗足坂
名前の通り、中原街道の途中、大森六中の前を通る坂が洗足坂です。
江戸時代から盛んに利用されていた中原街道ですが、当時の洗足坂は短く、急なものだったそうです。大正12年の改修工事により緩やかな坂になりました。この改修工事の記念碑が洗足池公園の中においてあります🪨
まちの象徴的存在である洗足池には他にも大岡山・北千束エリアの歴史の跡が色々あります💧洗足池をお散歩する際に洗足坂もぜひ一緒に歩いてみてください!
傾斜の大きい坂
坂道を評価するにあたって景色や距離など様々な要素がありますね。今回は「傾斜」を評価軸として大岡山の坂道番付を作成しました🏆
傾斜の測定はスマートフォンの水平器アプリを用いて1つ1つ計測しました。
3位:稲荷坂(石川町) 12°
"名前のある坂"でも紹介した石川町の稲荷坂が3位にランクインしました🥉急勾配・急カーブで上るのは大変ですが、上がった先にある見晴し台からの景色はその価値があります🗻
2位:路地の坂 13°
大岡山1丁目の住宅街の中にひっそりと佇む谷があります。傾斜のある地形と昔ながらの住宅地の入り組んだ路地によって作られた坂になっています🥈
ちなみに、一説によるとこの谷は「杉の谷」と呼ばれていたそうです🌲この谷は、坂の両側に杉があったことが由来の鶯坂とも距離が近いのでそうなのかもしれません!
1位:短く急な坂 17°
2位の坂のすぐ向かいに1位の坂があります🥇道幅も狭く、全長も短い坂ですが、17°という圧倒的な傾斜を誇っています!2位の坂同様、この周辺の谷は静かでこじんまりとしていて、大岡山っぽいけど大岡山っぽくない、不思議な世界に迷い込んだみたいな感覚になります。
ちなみに1位と2位の坂がある周辺の地形は、ダイダラボッチの右足が作ったと言われています💬
景色のいい坂
大岡山には起伏に富んだ地形に関連する名所が数々ありますね。富士山の見える場所たちから洗足池、清水窪など、尾根と谷両方に大切な場所があるのが大岡山の特徴だとも言えます⛰️
そこで、今回は筆者が好きな、坂からの景色、坂の下からの景色、坂の上からの景色の3選をご紹介します!
ロマンス坂から横を向く
ロマンス坂は東工大の敷地にある、線路と並走している坂です。その坂を歩きながら、ふと線路側を見ると、東工大のシンボルである本館の時計塔を見ることができます。
本館というと、正面から見ると丈夫で荘厳な雰囲気がありますが、少し離れて斜めから見るとファサードの凹凸がよりくっきり見えて、どこか軽やかに見えますね👀
ロマンス坂から見る本館には綺麗に光が入るので、朝と夕方で異なる表情の本館を眺められるスポットです!近くにある工大橋から見える富士山と合わせてぜひご覧になってください!!
六叉道から見上げる坂
大岡山から少し西に離れた緑が丘1丁目には六叉の交差点があります。その北東の道をまっすぐ、呑川緑道を越えると、1つの坂がそびえ立ちます。
坂の傾斜自体はそこまでなのですが、開けた呑川緑道からいきなり坂になること、坂を上ると徐々に道幅が狭まっていることや、坂の突き当たりに建物が見えないことも相まってとても急で長い坂に見えますね!
大岡山のはずれにあるスポットですが、大岡山の始まりにふさわしい迫力のある坂の景色だと思います😳
北千束から見える東工大
先ほど紹介した北千束の稲荷坂からは東工大の本館と西8号館が見えます🔭
坂道を降りるとき、一気に視界が広がる瞬間が好きなのですが、稲荷坂では視界が谷だけでなく、その向こうまで広がります。
北千束と東工大がこんなにも近いんだと実感できる景色ですね🖼️
東工大の西8号館と本館は大学内でも特に高い建物なので、周辺のまちからも確認できます。筆者も散歩中に迷子になった時の目印としてよくお世話になっています。
[附録]大岡山にはなぜ坂が多い?
そもそも大岡山にはなぜ坂がこんなにもたくさんあるのでしょうか?
これまでの記事#13「水とめぐる大岡山・千束」、#39「地名に探る大岡山のセカイ」で用いた地形図に再登場してもらい、大まかな地形の成り立ちを見てみましょう。
大岡山は、武蔵野台地の端、荏原台の一部に所在しており、呑川を挟んで久が原台と対峙します。
この地域の西側は呑川に削り取られてできた河岸段丘で、呑川に面した急坂が多くなっています⛰️
一方で、東側には清水窪湧水に始まり、洗足池に注ぐ洗足流れがあり、こちらも大岡山の地形を形成しています。
水の流れが大地を削ったことで、大岡山は南北にかけて山のような地形になっているため、東西方向への坂が多くなっています!
大岡山の坂たちを一挙紹介しました。いかがだったでしょうか?
今回紹介した坂以外にも大岡山には清水窪流れ周辺の坂や、石川台、洗足池付近にもたくさん坂があります!皆さんも大岡山を歩いて、好きな坂を見つけてみてくださいね🔍
今回紹介した坂を地図にまとめたので、ぜひ散歩の際にご利用ください!(もちろん坂を避けて歩きたい時にもどうぞ!)
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