学芸員課程な書道学徒から見る書道展鑑賞レポートその1
以前、尊敬している知り合いの方が言いました。
「やった方がいいと思うことはやった方が良い」と。
それは、、そう。
間違いない。
というわけで、みょん太郎には書道学徒×学芸員課程という肩書きがあるので、
書道展を鑑賞しながら考えていることを表現してみたいと思ったんです。
意欲があるならやった方がよさそうですよね。
今回は新国立美術館で開催された「第52回 日本の書展」について。
ゆるい批評文として記録しようと思います。
やってみましょう~。
新国立美術館について
乃木坂駅から繋がってるところ!!
ご存じの方も多いかもしれませんが、
新美って国内で1番来場者の多い美術館なんです。
しかも、国内にとどまらず、イギリスの美術月刊紙『The Art Newspaper』の世界人気博物館ランキング調査によると、20番目くらいをキープしてるくらいの人気度です。
(ちなみに東京国立博物館は30位くらい。これも問題視しているけれど一旦置いときます。)
年間約240万人も訪れる激アツ美術館で、今後インバウンドでさらに伸びていくであろう注目の場所であることを前提に書き進めます。
日本の書展について
この団体は全国書美術振興会といって、1974年(昭和49年)からいろいろとがんばっている内閣府認定の書壇です。
もちろん先生方のメンツっぷりは強いです。
どれくらい強いかというと、国内の有名な書壇の大体の代表はこのメンツのうちの誰かがなってるくらいです。良くも悪くも。
詳しく知りたい方はHPをどうぞ。
展示室の椅子少なすぎ問題
今回言いたいこと。
それは
椅子がとにかく少なすぎる。
これは美術館側の問題なのか、展示側のレイアウトの問題なのか、内部の人に聞いてみないと分からない問題です。
ちなみに本展示はまだフロアがあるのですが、1A~1Dがメインなのでここだけで十分かなと。
まず実際のレイアウト。
そこで、問題視したいのは椅子の数です。
1つ1赤丸として数えてみました。
※白い線は卓上作品ブースの印です。
やばくないすか????????
実際の椅子の配置もこんな感じです。
私は書道展というより、
椅子取りゲーム展だと思って
鑑賞してました。
また、このレイアウトから生じる問題が2点挙げられるので以下に少し解説を加えます。
人間が可哀想
まずはみょん太郎が可哀想ですよね。
椅子に座って鑑賞したい派ですもの。
(この理由はまた長くなるので次回以降に。)
あとは、書道界の高齢化問題がある上でこの椅子の配置であるということは、
はおじいおばあ殺しとも言えます。
もう少し俯瞰して考えてみると
鑑賞の質を低下させているとも言えるし、
作品の質の低下にも関与していると考えられます。
作品も可哀想
なぜ椅子の数の少なささが作品の質を低下させているのかについて。
正確には展示作品数が多すぎるのが問題なのですが。
理由は2つあって、
①公募展であること
②ぎゅうぎゅうに展示されるのを知っていること
が挙げられます。
現代の公募展は、出品者側の「入選したい!!」と審査員側の「たくさん入選させたい!!」が混ざった奴隷船状態です。
それでさえ一定の倍率があるわけですが、
そこで現れる傾向として言えるのが
いかに目立つかの野心争いです。
その結果、とげとげした作品が増えます。
とげとげというのは文字の雰囲気もそうですが、それよりも、その作者の野心が、って感じです。
見てて心が苦しくなる時があります。
この苦しさを共有しようとすると、
本来の書道ってなんだ?を考えることになりまして。
よくある問題提起を列挙すると、
なぜ墨を使って書いているのか?
なぜ古典の作者はエリートばかりなのか?
なぜ仏教との強い結び付きがあるのか?
みたいな。
それぞれ興味深い問いで、いろんな回答が出ます。
それでも共通するものとして品性の高さが出てくるのではないでしょうか。
つまり、公募展の存在って逆説的で、
始まりは書道の権威維持と普及のためにつくられたはずなのに、同時に本来の書道から乖離させてしまっているんです。
私は学問として書道を学んでいるため、中立な立場でありたいなと思います。
そのため、私は大学入学以降、一切の公募展に参加をしていません。
それでも入選を目指す人には展覧会の傾向と対策や作品のアドバイスをすることができます。
程よい野心と品性を交えた作品を書きたい方は、みょん太郎まで作品を見せに来てください。(宣伝)
でも、ほんとはもっと考える軸が多くて、複雑で。
肯定派、否定派、考えられていない派が混在してて。
考えるほど難しくてイヤになっちゃう!!
(深呼吸)
ヒートアップしてしまう前に、ここでお開きとしましょうか。
こんなことを考えては調べ、書いてみると2~3時間なんてあっという間です。
良い暇つぶしではありますが、そろそろ課題に取り組みましょうか。
次回は「みょん太郎流鑑賞法」を書けたらいいなと思ってます。
最後までありがとうございました!
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