ワンマンライブ"余白を埋める"によせて
2024年10月4日(金)に渋谷にてワンマンライブ"余白を埋める"-東京単独編-をやります。本当に早くみんなに言いたかった。やっと解禁できてひとまず嬉しいでいっぱいです。このワンマンライブをやるにあたって、パドルズのこれまでを思い出して、知っててほしいことが沢山あったから書く。そして"余白を埋める"というイベントタイトルについても。
パドルズは一回死んだ。
2014年に高校の同級生で結成した。あの頃はASIAN KANG-FU GENERATIONやBase Ball Bear、銀杏BOYZなどのコピーをやって希望ばっか感じてた。2017年に「the paddles」という名前に改名して、2018、19年くらいはオーディションに出まくって、全部決勝くらいまで進んだし「十代白書」や「ROJACK」で優勝して野音でライブしたり幕張メッセでライブした(2年連続でライブ審査で落とした未確認フェスティバルだけはまじまだ根に持ってる今の閃光ライオットのことね)。いわゆるオーディションバンドだったし、順風満帆!って感じだった。この辺でもまだ希望ばっか感じてた。
そんな希望まみれのthe paddlesというバンドが、終わりのない暗闇にさまよったことがあった。それは大学に通いながらバンドを続けてた2020、21年「THE ERA」というCDを出してツアーをやっていた頃。その時のツアーフライヤーがこれ。
まじでバンド辞めようと思ってた。どのツアー先に行っても常に誰かと喧嘩してた。何度ライブをやっても全然納得できない。オーディションで出会ったお客さんたちが目に見えて離れていく。しかもちょうど2021年は大学卒業の年齢で、コロナ禍で社会全ての歩みが止まっていたことも相まって、パドルズは1回全員就職する道を選んだ。だからこのツアーをやっている時は就職も決まっていて、最後のなりふり構わずやれるツアーだったのに、全部空回りしてて本当にバンドを辞めようって思ったタイミングだった。本当に全部最悪。大学の卒業式の日は盛岡でライブをしていた。
ツアーファイナルのジャニスもそれなりな感じで終わって、2021年4月から僕は銀行員になった。兼業バンドマン。毎日7:30くらいには出社して、夜遅くに帰る日々。土日は全部ライブ。ろくに打ち上げにも出れず帰ってきてはまた次の日も仕事。また全部最悪。振り返ると何でバンドが続いたのかもよく分からないくらい全部最悪。この時もまだバンドマンやライブハウスマンと喧嘩しまくってた。ほんとに独りよがりだった。
そんな叩けば音がするようなどん底にいた僕が変わるきっかけがあった。それが2021年の末にやった"余白を埋める"。その時のフライヤーがこれ。
人生にはたくさんの"余白"がある。いかにしてその"余白"を面白いことで埋めて行けるか。それが生きていくことだと僕は思ってる。余計なことばかり考えてしまうのは、日々に底のないつまらなさを覚えるのは、その"余白"をつまらないことで埋めているから。そんな最低なものでせっかくの人生を埋めてしまうくらいなら、the paddlesの音楽と信じた仲間で、みんなの人生の"余白を埋めよう"と思って"余白を埋める"と名付けた。リリースなんていらなかった。
そんなみんなの"余白"を埋めてやる!と意気込んでやったツアーだったのに、気づいたら僕の方が満たされてた。バンドというか人生そのものを楽しむことを忘れていたのは僕の方で、余白を埋めてもらったのも僕の方だった。このツアーが明確なバンドとしての転機。この頃くらいから独りよがりじゃなくなった気がする。"全員抱きしめる"とか"誰も置いていかない"っていうワードにパドルズらしさを感じるようになった気がする。
パドルズは1回死んだ。
でも生まれ変わった。
ここから立て続けに「予測変換から消えても」「ブルーベリーデイズ」「プロポーズ」とリリースして、ライブだけじゃなくて楽曲もバンドを変えることを知った。遅いけど。明らかに楽曲のクオリティが変わったと自分でも思う。そんな楽曲が揃ってきた2023年、2回目の"余白を埋める"。
これもリリースツアーなんかじゃなかった。とにかくパドルズと対バン、ライブハウスに君。それだけで余白を埋めたかった。ツアーファイナルは2023年7月29日(土)、余白を埋める-単独編-と銘打って、地元寝屋川VINTAGEをソールドアウトさせた。フロアをみんなで埋めた。気づいたら銀行員としての収入でボグナーを手に入れていたし、2年半続けた銀行員は辞めていた。
パドルズは1回死んだ。
でも生まれ変わった。
そして誰も置いていかないことを知った。
そして、未来の話。
2024年10月4日(金)。
"余白を埋める"-東京単独編-。
もう迷わない。もうつまらないことで余白を埋めないし、埋めさせない。このバンドでみんなの人生に寄り添う。革命とか大袈裟なプロレスは僕には必要なくて、ただ必死で生きていくみんなの隣をいつまでも歩いていく。1度その結論のようなものを示す日にする。
この日、さらに大きなお知らせがあります。
このワンマンまでにも嬉しい発表をします。
次のステップに進む。
その未来にはこれまで出会ってくれたみんながいないと意味が無い。希望だらけの高校生のときに出会った人も、オーディションバンドって呼ばれてた時に出会った人も、THE ERAの地獄みたいなツアーで出会った人も、どん底にいた時に出会った人も、「ブルーベリーデイズ」で出会った人も、SNSで出会った人も、対バンにたまたまパドルズがいて出会った人も。全員で進んでいかないと意味が無いのです。
2024年10月4日(金)。全員渋谷O-Crestに来てください。仕事や学校に打ち込むみんなに合わせて、オープンスタートは19:00/19:30で遅めです。そして"余白を埋める"というタイトルとここに書き連ねた10年の歩みと僕の想いを頭に入れておいてください。そしたらライブ当日、ちょっと嬉しくなれます。
チケットは7/20(土)10:00〜から発売開始。
みんな出会ってくれてありがとう。ワンマンライブまでにもいっぱいライブがあるから会いに来てください。みんながいないとバンドをやる意味がないです。
人生はいつも上手くいかない。でも、上手くいかないからこそ考える頭があって、そのために仲間がいて、そこにはいつも音楽がある。花のように美しい人生じゃなくても、その努力はいつか花になる。青いガラガラのライブハウスから来た。いつまでも変わらずフライトしていく。
代わりに劇場でお金を落とします。もっとレビューがんばるので。