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Photo by
kurogane98
祖母から送られてくる宝箱の話
ある日遠く離れている祖母から、宝箱が送られてきた。
玄関先で受け取ったそれは、ずっしりと重く、この重みに私は何が入っているんだろうと胸をワクワク躍らせる。
祖母からの仕送りは不定期にやってくるのだが、それは私にとってまるで宝箱のようである。
というのも、中に入っているものはきゅうりやトマトなどの野菜の他に、農家である祖母が育てたお米。そして幼い頃によく食べていた、大好物の地元名産の和菓子から、きっとコンビニで買ったであろう揚げ餅煎餅やチョコレート菓子まで、入っているものは本当に何っっのまとまりもない。
けれどこれが最高なのだ。
開ける時に「今回は何が入ってるんだろう!」とわくわく楽しませてくれるし、何より段ボールから1つ1つものを取り出す時に、大雑把で適当で、でも明るくて楽しく暖かい祖母の顔が思い浮かぶからである。
小さい頃祖母の家へ行くと、祖母は「よう来たね!」と明るい笑顔で迎えてくれた。
祖母は楽しくなるとえいやっそいやっとダンスを踊る。陽気な人である。私もよく「ほれおどれ!」と踊らされたし、感謝の気持ちをただ腰を右に左に、腕を上へ下へと動かす訳も分からないダンスで表現したこともある。
でもそれをいつも祖母や祖父は笑ってみて楽しんでくれたし、そこでわっと会場が湧くように盛り上がる親戚一同も大好きだった。
「わ!懐かしい!」「今食べたかったやつ・・」「また味噌入ってる(笑)(←3回目)」と、明るい祖母にツッコミを入れるように、他に物音しない部屋で段ボールからものを取り出し、1人リアクションする。
全て取り出し終え、床に広がったものたちを見る。
1つ1つ私へのあたたかい愛である。
愛されているなぁ、と涙目になりながら、私は愛しい祖父母へ「ありがとう」とLINEを送るのだった。