13年間片思い中の魚に告白する
13年前の夏の日、私はサラサハタに恋をした。
きっかけは『マリン☆マリン ミナミハコフグと珊瑚礁の仲間達』というセガ社のアーケードゲームだ。
その年のクリスマスに祖母から貰った魚の図鑑は何度も読み返した。
この頃から私は「本物のサラサハタに会いたい」と思うようになった。
会いたい。一目見て「好き」と伝えたい。
そんな気持ちを抱いたまま、いつの間にか10年以上経っていた。意を決して、私はサラサハタに会いに行く。
※注意
この記事では本物の魚の写真を掲載しています。生き物が苦手な方はお気を付けください。
サラサハタが背景と同化して見づらいものを一部加工しています。
この記事にはサラサハタ以外にも22種類の海洋生物の名前が隠れています。探してみよう!
サラサハタってなに?
まず、「サラサハタ」についての基本的な情報と画像を載せておく。
小さい口につぶらな瞳。まん丸尾ひれで華麗に海を舞う。我こそはファッションリーダーだと言わんばかりの白と黒の水玉模様。サラサハタの「更紗(さらさ、様々な柄が描かれた布)」はここから来ているのだろう。
沖縄県では「クチグヮーミーバイ」という名前で高級魚として知られているそうだ。
何処にいる?
九州地方よりも南の海にいることは知っていたが、そうかと言って「泳いで会いに行こう」とは思わない。私は泳ぎが苦手だもの。
だから、水槽越しで告白する。
サラサハタは全国の水族館に展示されていることが分かった。本当は全ての水族館を巡りたかったのだが、旅行費諸々を学生一人でまかなうには厳しかったため、今回は数ある水族館の中から下記の三館を訪れることにした。(掲載許可済)
サンシャイン水族館(東京)
マリンピア日本海(新潟)
マリンワールド海の中道(福岡)
この内、福岡県にある「マリンワールド海の中道」ではこのような催しをしているそうだ。(現在は終了しています。)
確かに、私が魚を眺めてドキドキするのは好きなアイドルや俳優の歌や演技を見ているときと似ているのかもしれない。SNSで #推し活 と検索したところ、多種多彩な推しに対して“好き”を表現している写真が投稿されていた。
「折角水族館に行くのなら、好きアピールをしたい!」そう思った私は水族館に行くまでの間に幾つかグッズを作成することにした。
会いに行こう①サンシャイン水族館
今回は痛バッグ、缶バッジ、うちわを作って水族館に訪れた。
一館めは都内にあるサンシャイン水族館。アポを取る際に「サラサハタはサンシャインラグーンにいるが、最も大きい水槽のため見つけるのが難しいかもしれない」と断られてしまった。大きな期待と少しの不安を胸に、館内へ歩を進める。
サンシャインラグーンへ到着し、水槽内に展示されている魚の説明が書かれたパネルを発見した。いる、サラサハタ、ここにいる!
しかし、一向にサラサハタが見当たらない。
すると、にわかにダイバーが現れた。魚たちに餌をあげつつパフォーマンスをしている。
藁にもすがる思いで私はダイバーにサラサハタの文字が書かれたうちわを見せた。すると、ダイバーは「ちょっと待ってて」というポーズをして水槽の奥へと泳いでいった。
数分後、ダイバーは水槽の奥の暗礁を指さす。その先に……
いた!!!でも遠い!!しかも動かない!
その後も彼らが近くに来てくれるまで粘ってみたものの、ほぼ動くことなく同行者のタイムリミットが来てしまったため、泣く泣くリタイア。
お世辞にも幸先の良いスタートとは言えないけれど、スーパースターの出待ちをしているようで妙にリアリティを感じられた。
会いに行こう②マリンピア日本海
一週間後、私は新潟県にあるマリンピア日本海に訪れた。
多様な魚の泳ぐマリントンネルを抜けるとそこは魚の国であった。底から天井が青くなった。想い魚(おもいうお)を見つけたために私の足の動きが止まった。
サンシャイン水族館とは打って変わって新潟県のサラサハタは悠々と泳いでいた。こんなに近くで見てもいいのだろうか。
さて、写真を撮ろう。としたのだが……
岩の色と同化してしまってとても見づらいことに気付く。それに加えて、沢山写真を撮られて恥ずかしくなったのか、サラサハタは岩陰に隠れてしまった。
試行錯誤を重ねて、とうとう撮影に成功した。マリンピア日本海のサラサハタはサンシャイン水族館にいた子たちよりも積極的にファンサービスをしてくれた。
好きを伝えることが出来た(と思う)し写真も撮影できたので、おおむね成功だろう。
会いに行こう③マリンワールド海の中道
最後は福岡県にあるマリンワールド海の中道。ゴールデンウィーク真っ只中ということもあり、沢山の人でごった返していた。
ここでは、入場してから比較的近くにあるサンゴ礁の水槽に展示されているそうだ。公式Twitterでは餌台の上にちょこんと乗っている画像がアップされていて少し心配だが、行ってみよう。
サンゴ礁の水槽の前に行ってみると……
近い!
素早い!!
めっちゃいる!!!
先程までの心配が良い意味で裏切られた。驚きの連続でシャッターを押す手が止まらない。
すれ違うカップルに訝しげな眼差しで見られる。
水族館で魚に向かってうちわを振る姿は傍から見るとちょっと変わっているかもしれない。でも、恥ずかしさよりもサラサハタに会えた喜びの方がはるかに勝っていた。(静かに鑑賞することを心掛け、魚たちや周りの人に不快感を与えないようにしましょう)
総括
3種類の水族館に足を運んで、サラサハタに13年分の好きを伝えられたように思う。
3館のサラサハタの特徴をまとめてみる。
生きている場所が違うとこれ程まで違う動きをすることに衝撃を受けた。他の魚であっても水族館によって生態は異なるのだろうか。そんなことを考えながらマリンワールド内を歩いていると、こんな展示を見つけた。
目の前にいたと思っていたのに、30cmも離れていたのか……
どうすれば至近距離でサラサハタを見られるのだろう……
………
…ブクブク……
次回!人魚になってみた!!!お楽しみ♪
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