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夫婦デュエット
アルバムは持っていたが、ほとんど気に留めていなかった曲。
ジョン・レノンの『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』に収められている「ボーン・イン・ア・プリズン」。オノ・ヨーコの作詞作曲。
↑ このアルバムバージョンでは中間部、サビで下からハモるジョンのボーカルは音量レベルが低くてあまり印象に残らないのだが、
↑ こちらのライブの映像では、そのサビが25秒あたりから40秒過ぎ頃まで。ジョンが無造作に横から歩み寄って下からハモる。
夫婦デュエットだ(笑) 途中でちょっとジョンに微笑みかけるヨーコの笑顔が可愛い。それはともかく、このジョンのボーカルがあまりにも素晴らしくて、びっくりした。少しかすれ気味の、いかにもジョン・レノンらしい声とニュアンス。
正直、ヨーコのボーカルは音程が不安定で聞いていてちょっとゾワゾワきてしまう(失礼!^^;)のだが、ジョンの声が入った瞬間に安心感に満たされるというか、なんというか。
素晴らしく美しい。
↑ このライブの全曲盤だとちょうど26分頃から30分頃までがこの曲。
ジョンがコーラスをつけるのは1番と2番と二回あるが、両方とも絶品。
聴いていてこのサビで曲の印象が変わるのはジョンのボーカルの有無だけではなくて、転調が絶妙だということあるけど。
全体は曲のメインのキーはGなのだが、ジョンのコーラスが入るサビの瞬間にEに転調する。よくある転調パターンではあるけど、見事にはまっている。
聴いた後でこの曲の歌詞を調べてみた。
「Born in a Prison」といタイトルで分かる通り、この曲は、刑務所で生まれた運命を歌う歌。
We are born in a prison
Raised in a prison
Sent to a prison called school
We cry in a prison
We love in a prison
We dream in a prison like fools
私たちは刑務所で生まれて
刑務所で育った
学校と呼ばれる刑務所に送られた
泣くのも刑務所で
愛しあうのも刑務所で
夢を見る場所も刑務所だなんて私たちはまるで愚かもののよう
一般的な社会を刑務所にたとえている歌ととらえることもできるし、実際に反政府運動などで刑務所に入れられている人からイメージをふくらませて作ったのかは分からないけど、いずれにせよ、刑務所の中で生きる過酷な運命というテーマだが、ジョンがコーラスで絡むサビのパートの歌詞は一転して曲のイメージが変わる。
Wood becomes a flute when it's loved
ただの木も人に愛されたときには、美しいフルートになる
Reach for yourself and your battered mates
自分自身とひどく傷めつけられた仲間に手をさしのばして
Mirror becomes a razor when it's broken
鏡は割れてしまえば、するどいカミソリになる
Look in the mirror and see your shattered fate
鏡を覗けばあなたの粉々になった未来が見えるかもしれない
素晴らしい歌詞だ。
ヨーコらしい歌詞と言えるかもしれない。
愛しあう環境でこそ人は支え合うことができて、
憎みあう環境では人は互いに傷つけあうしかない。
社会の中での関係性によって人はいくらでも変化すること、
そして、人間への大らかな確信。
この曲、実はデヴィッド・ボウイがカバーをしていたようだ。
さすがというべきか。
(音源が見つからないのだが^^;
改めて思ったのだが、
こんなハモリをつけてくれるジョンが横にいたポール・マッカートニーがつくづく羨ましい。