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チェロを始めたきっかけ 欽ちゃんとナヴァラとドヴォコン

9月8日はドヴォルザークの誕生日。
1841年9月8日だから生きていれば183歳。
自分がチェロを始めた一つのきっかけがドヴォルザークのチェロ協奏曲だったのですが、それにまつわるつまらない昔話です。


もう20年くらい前の話。
体調が悪くて仕事休んで、家で寝込んでいたある日、
手持ち無沙汰になんとなく、録画していたビデオでも見ようと、
かなり前の『欽ちゃんの仮装大賞』の録画をなんとなく見ていた(一時期はまっていたもので)。

番組は途中から録画してあった。
その途中から見始めて、番組が終わって、CMが入って、そのCMの途中で録画が切れると、その前に録画していた映像にビヨ~んときりかわった。

今と違って、昔のアナログの世界だと、ビデオ録画の”重ねどり”しているとみんなこんな感じだったっけ。

白黒の画面で、チェロとピアノのデュオ、ちょうど何かの曲の最後の部分をやっていた。
それが終わると、やはり白黒の映像で、風貌がしぶ~いチェリストによる、まるで交響曲のようなチェロ協奏曲が始まった。

その曲がすごくかっこよかった。どこか懐かしい感じの素晴らしいメロディー、重厚なオケの響き、突然のチェロとヴァイオリンの絡みあい、大きなビブラートのかかった朗々たるチェロの美音、そして最後の泣けるカデンツァ、感動的なエンディング。
そのチェリストがまた渋くてかっこよく、
「おれもチェロを弾けるようになってみたいなあ」としみじみと思った。

チェロという楽器の存在はもちろん知っていたが、
「自分で弾いてみたい」と思ったのはこの瞬間だった。
そして、その1年後くらいに近所の音楽教室のチェロ体験教室の扉を叩いたところから今につながるチェロライフが始まった。


『欽ちゃんの仮装大賞』にあやうく全部消されかかっていた番組は実はかなり前に放映されたNHKの『20世紀の名演奏』であり、
チェロ協奏曲はドヴォルザークのチェロ協奏曲の第3楽章の後半であり、
チェリストはアンドレ・ナヴァラ
だった。

ちなみに、その前のナヴァラが出てくる前にちょろっと出ていたのは、
チェリストがカサドで、曲は最近になるまで知らなかったのだが、ボッケリーニのイ長調のソナタだった。

今から思うと、『欽ちゃんの仮装大賞』を最初から録画していたら、もしくは終わったあとも停止ボタンを押さずにいたら、このナヴァラのドヴォコンには出会えていなかったわけで、そうだったら今の人生もかなり変わっていることだろう。

つくづく偶然って面白い。

ちなみに、上のようなことがあった直後は、てっきりブラームスが作った曲だと勘違いして、CD屋に行って探すも一向に”ブラームスのチェロ協奏曲”が見つからず、「こんな名曲なのになぜCDがないのだろう」とぶつぶつと周囲に不満を言っていたことを覚えている。

ブラームスがこの曲を聴いた直後に「こんな素晴らしいチェロ協奏曲ができることを知っていれば自分が作ったのに」と悔しがったという有名なエピソードがあり、それを後から知ったときはちょっともうしわけなく感じた(笑)。

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