3年ぶりのチェロの「定期健診」。G線をラーセンに。
3年ぶりにチェロの「定期健診」に行ってきた。
……3年ぶりだと「定期」とは言いがたいが(苦笑
「はたらけど はたらけど猶(なお) わが生活(くらし) 楽にならざり ぢつと手を見る」
異常な円安と物価高、チェロの弦も弓の毛もどんどん高くなっているという話を聞くにつけ、「とりあえず音が出てればいいや」的な発想でずっと現実を見ないようにしてきたが、音がひっくりかえりまくりな状態になり、いよいよ覚悟を決めて工房に連絡をとった。
オケに入っているわけでもないので楽器を持ち歩く機会は少ないほうだと思うが、公園に持ちだして弾くことが多いので、はたして工房屋さんになんと怒られるやらとビクビクしながら楽器を持っていった。
「公園で弾いているという割には健康ですね(笑)」という言葉にホッとした。
ただしネックが危うい状態だったらしい。5年前の定期検診の時も同じだったのが、ネックのつなぎ目が半分くらい剥がれかけていて、弦の張力で押さえつけて現状を保っている感じだったらしく、放っておくとまずいと補修してもらった。結果として、指板の位置が少し高くなって親指ポジションあたりの高音がかなりおさえやすくなった。今までが異常に弦高が高くなってしまっていた状態だったらしい。
弦は今までA線D線はヤーガー、G線C線はスピロコアだったが、今回は上の二本をラーセンを張ってもらった。試奏してみるとスピロコアのG線がビビりがひどい状態だったのでG線もラーセンにすることに。初体験。
G線とC線を違う線にするという発想が全くなかったので最初はかなり驚いたが。
弾いてみると全然違和感ないので良かった。
全体マイルドな感じになって非常に満足。少しは色っぽい音を出せるように練習しよう。
弓の毛は今回はじめてカナダ産の毛にしてもらった。
カナダの方が少し高いが長持ちするとの説明があって、「高い分は長持ちするととらえていいんですか?」という貧乏人丸出しの質問に対して、
「値段の差ほどに長持ちするとは言い難いです」という店主の正直な答えに惚れてカナダにした(笑)
いろいろとこまかい傷はあるが、今の時点で補修は必要ないでしょう、ということでそのままに。多少傷があったほうが、見た目オールドっぽくていいかも(笑)
そんな話をしている横にはオールドの楽器で、まるで古い家具のような独特な雰囲気のチェロが鎮座してあり、聞いたところ「300年前のもの」とのこと。バッハの時代かよ。形も微妙に丸っこくて、どちらかと言うとガンバっぽい感じ。
お値段も結構なもの。
こわくて早々にお店を後にした。
次はもう少し早めに健診を受けることにしよう。