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バッハのチェロ無伴奏6番サラバンドについて オルガン編曲版を見つけた
バッハのチェロ無伴奏6番のサラバンド。
弾くのも聴くのも超大好きな曲。
最近テレビドラマの『さよなら、マエストロ』でも第二話で効果的に使われていて嬉しかった。
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譜面ヅラから分かる通り、この重音を完全に譜面通りに弾くことはチェロでは不可能だ。チェロでは3つ以上の音を同時に弓で弾くことはできない。
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もともとバッハの頭の中ではオルガン曲のイメージだったんじゃないかなと以前から思っていた。
ふと思い立って探してみたら、まさにこれこれ、というのがあった。
オルガン編曲でもいろいろあるけど、この少し控えめな感じで敬虔な祈りを思い浮かべるような感じがとてもイメージにあっている。
また、前半の繰り返しの時に少し和声を変えたりしているのが心憎い。12小節目の3拍目のベースのA#などは一度弾いたらもう弾かずにはおられない絶妙な半音進行。見事な出来だと思う。
(これを逆にチェロアンサンブルの形にさせてもらったらまた面白いかも^^;)
バッハの頭のなかにはもともとこういうイメージ、響きがあって、そこからチェロで弾けるくらいに音を効果的に絶妙に削って現在の形にしたんじゃないかな、などと改めて思った。
どうなんだろうか。
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技と根性で、可能な限り重音を弾ききってしまおうと言うロストロポーヴィッチ ↓
教会の響きもあるんだろうけど、とにかくこのオーケストラのような豊かな巨大な響きに圧倒される。音楽の区切りで最後にフンッと気合いを入れるので聴いているこちらも思わず拳を握ってしまうような緊張感。しかし、後半の途中の静かなピアニッシモがこの曲の祈りの精神を凝縮しているようで感動的。
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それに対して、重音は最小限にしてこの美しいメロディーを誰よりも美しく浮き立たせて弾いているイッサーリス ↓
この演奏では後ろから2小節目の頭のバスの「G」を「G#」で弾いているのも面白い。この「G#」はいわゆる「ケルナー版」にしか出てこないものだけど、バスがG→G#→A→Dとなって非常に味わい深い。「G」のままでもその上の「F#」と長7度の絶妙な響きになって美しいのだけど。
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そんな名手たちの動画のあとで恥ずかしい出来だけど、自分の動画 ↓
多分、こんなに鳥のさえずりと一緒に聴けるものもなかなかないと思う(笑)
そうか、3月になるとこんなに緑も芽吹いて、小鳥たちも鳴き出しているのかと改めて思った。早く暖かくなってほしいもの。