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公正証書遺言の証人になって思ったこと

 こんにちは。行政書士の大野です。
 先日、公正証書遺言の証人になる機会がありました。
 大切な思いを伝えるための遺言書作成に立ち会う、という初めての経験でした。緊張しました。

 公正証書遺言を作成するにあたり、作成当日に行われる手順は下記の通りです。

1. 公証人が遺言者に住所・氏名等、本人確認を行う。
2. 公証人が証人の本人確認を行う(民969一)。
3. 公証人が遺言者に、遺言の内容を質問する~遺言能力の有無および自分の意思で遺言を残すかの確認(民963・969二)。
4. 公証人が遺言者と証人に、事前に用意しておいた遺言書を配布して、読んで聞かせる(民969三 他参照)。
5. 遺言者と証人が、公正証書遺言の内容が正確なことを承認した後、公正証書遺言に各自署名をして印(遺言者は実印、証人は認印または職印)を押す(民969四)。
6. 公証人が「この証書は、民法第969条第1号ないし第4号の方式に従って作成し、同条第5号に基づき、次に署名押印する」と付記して、署名し、印を押す(民969五)。
7. 公証役場から遺言者に「正本」と「謄本」が交付される。「原本」は公証役場で保管。遺言執行者が「正本」を、遺言者は「謄本」を保管するのが一般的。

 わたしが常々思っていることは、自筆証書遺言であれ公正証書遺言であれ、遺言書は元気だからこそ残せるものなのだということです。
 
 しかしながら、遺言書が「死」を連想させるものであり、多くの人にとって、自分の死について考えるのは不快で避けたい話題だからこそ、ネガティブなイメージがあることは否めません。
 
 遺言書の内容が家族や親族間の対立を引き起こすのではないかという懸念があることも、ネガティブなイメージの原因のひとつとなります。遺産の分配に関する意見の相違や、遺言書の内容に対する不満から、家族間での争いが生じることがあります。
 
 また、家族仲が良いからといって、遺言書を残さないケースもあるようですが、どんなに仲が良い家族であっても、相続が始まった途端に我慢していた不満が噴出し、もめることが少なくないというのが実情です。
 
 さらに、遺言書の作成が複雑で専門的な知識が必要とされるため、手続きの煩雑さや費用面での負担もネガティブな要因です。
 
 それでも、遺言書は大切な人たちに対する最後のメッセージであり、家族間の争いを避けるためにも非常に重要です。自身の心の平穏や愛する家族の将来のために、遺言書のことを前向きに考えてもらう機会が増えることを願います。

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