「銀太郎さん」の能登の回を今、読んでほしい。
漫画で授業をしたい、というのは私のかねてよりの夢で、特に歴史的な知識は「風雲児たち」や「坊ちゃんの時代」などをはじめ、漫画のおかげで得たものが多いです。(司馬遼太郎さんの小説なども大好きですが)
もちろん、漫画なのだから、読みさえすれば勝手に学べます。授業なんかする必要はありません。ただ私は紹介したいのです。こんないい漫画がいっぱいあんねんぞ、と。
最近読んだ「銀太郎さんお頼み申す」もその一つです。多才で多作な東村さんの漫画は、妻が妊娠していたときの「テンパリスト」から始まりほとんどすべて読んでいて、ギャグのノリが好きすぎて読むたびに「なんでこの人はこんな天才的なギャグをこんなに連発できるんだ」とうなっているわけですが、いちばん好きな作品をひとつ選ぶとしたら、着物と日本的な文化を誠実に語っているこの本だったりします。
たとえばですが、ちょっと前に娘に「奥の細道」を授業で説明しましたが、そのときに芭蕉の弟子の曾良の俳句も、私の好きな俳句として紹介しました。
【行き行きて倒れ伏すとも萩の原】
この句を好きになったきっかけをくれたのも「銀太郎さん」でした。あれもいい回です。
そして、能登の回です。
「能登は昔、北前船のおかげで日本で一番豊かだったのよ~!」
そういう歴史のある地域です、能登は。失くしてはいけない豊かな文化があることが、この漫画を読むだけで伝わってきます。合鹿椀のくだりは本当に好きなエピソードだし、能登上布も着たくなります。そして話が最初から最後まで漫画としてちゃんとおもしろいですああもう天才!
私は能登の現状について訳知り顔であれこれ言うつもりはありませんが、ただ今回のこともまたはっきりと「日本は困っている人を切り捨てる国だ」ということが示されました。そしてそのことに国民の大多数が関心を寄せないのが日本という国です。福島にしても夢洲にしても、無意味なことに湯水のごとく税金が使われ海は汚され続け、ただただ一部の人が私腹を肥やしていく、そういう国です。アメリカで外遊して文字通り遊びほうけている首相は、自国が被災しても笑って酒飲んでいる、そういう国です。
できることはたくさんあります。一つは、誠実に学ぶことです。
そして、頭と心と体の健康のために化学物質に気をつけましょう。
ところで北前船ですが、なぜ江戸の船はみんなこういう形なのか。そしてそのことが生んだ悲劇と「大黒屋光太夫」のおもしろすぎるエピソードなどは、ぜひ「風雲児たち」でお楽しみください。
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