好き探し
本noteは、全面的に私自身の「好き」を探すための備忘録とする。
いつからだろう、自分の好きなものを人に堂々と言えなくなったのは。
こっちに来て何度かお酒は好きかと聞かれた、はいと素直に、素直に言えたことは一度もない。同じカフェで働いている、とても夢見る少女な同僚は時々、好きな天気は、好きな時間はなど突拍子もないことを私に聞いてくる。いつも微妙な私の反応にめげずに。幼稚園でよく絵を描いていた時期があった。自分の好きな色は何色だったのだろう、おそらくクーピーの減りを見て認識していたのだろう。
何が好きかという質問がどうも苦手だ。一つには、相手のタイミングで自己開示を迫られるからだろう。どちらを好むかと聞かれる方が随分ましだ。初対面の人間にはあなたに開示する準備はまだ出来ていないと、仲のいい人間には、らしくない回答はするまいなどとどこかで感じている。自分の回答を相手が私のプロフィール欄に書き加えんとするのは、少々窮屈。私の好きはあなたが思っているほどの100%の好きではなく、可変性の非常に高い、「今、たまたま、わりと好きなやつ」に過ぎない。
周りの人達が就活にいそしんでいる。好きな仕事をする。やりたい仕事をする。多くの人の夢だ。私にとっては難題だ。まあ朝の公共交通機関に乗れば、本当に夢を叶えているのはそう多くはないのかもしれないが。あと1年で好きな事を決めなければ幸せな人生は、と言われている気になる。好きなことを人に言わないうちに、人に言えなくなって、自分でもわからなくなった。私にとって、潜在的かつ長期的なアイデンティティクライシスである。
言葉を紡ぐのは好きだ。
ある程度の技巧は持っているし、日本語それ自体好きである。
Agust D(BTS SUGAのソロ活動名)が好きだ。
彼の書く歌詞、考え方、音楽が好きだ。
ピアノ曲では、ドビュッシーやラヴェルが好きだ。
技巧的というよりも趣深さが魅力である。
作家でいえば、青山美智子が好きだ。
日常の中に人の心と小さな奇跡を描いている。
時間帯でいえば、夜10時以降が好きだ。
自分の(創造的)魅力が最大化する時間帯だと自負している。
朝と昼の私は保守的であまり面白くない。
冬の朝が好きだ。
空気の冷たさが、人の冷たさと重なり、心地よい孤独を感じる。
ジブリでいえば、千と千尋の神隠しが好きだ。
音楽が良い、風刺が良い、勇気をもらえる作品だ。
故郷にいるとある男が好きだ。
正直タイプでは無いが、そんなことはもはやどうでもいい。
音楽を聴いている時間が好きだ。
自分が唯一、外界から切り離され自分の世界に没入できる時間だ。
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